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ファーム日本選手権
中日ドラゴンズの2025年シーズンが終了した。
10月1日の最終戦は、2年目右腕・草加勝がプロ初登板初先発。巨人打線にいきなり5点を奪われるも、4回途中まで5奪三振をマークするという、手応えと課題が両方残るマウンドとなった。
そんな草加をはじめ、多くの若手選手が研鑽を積むのがファームリーグ。今季の中日は見事にウエスタン・リーグを制し、4日に行われる「ファーム日本選手権」の出場を決めた。本稿では「ファーム日本選手権」のみどころを綴っていきたい。
◆ソフトバンクに3連勝で大逆転V
14年ぶりのウ・リーグ優勝を果たしたわけだが、相当困難なミッションを乗り越えてのものだった。
9月25日終了時点で、中日は首位・ソフトバンクと3.5ゲーム差離されていた。逆転Vの条件は「26日からの直接対決3試合で3連勝」のみ。引き分けや敗戦はもちろん、試合中止も許されない状況だった(試合数が違い、3連勝の場合はマイナス0.5ゲーム差で優勝)。
本拠地・ナゴヤ球場で迎えた第1戦、中日は5-2で勝利。同点の5回、土田龍空が勝ち越しの適時二塁打。続く代打・佐藤龍世が2点適時打を放ち、3点差に突き放した。投げては先発・三浦瑞樹が8回2失点の熱投を見せた。
第2戦は点の取り合いで、逆転に次ぐ逆転が起こる展開に。7回終了時点で4-6とビハインドを背負ったが、8回裏に一挙5点を挙げて9-6とし、そのまま逃げ切った。ちなみにこの日も決勝点は土田の適時打だった。
「勝てば優勝、引き分け以下ならV逸」の大勝負となった第3戦、中日は尾田剛樹が満塁から適時打を放ち、2点を先制する。投手陣は先発・松木平優太が5回無失点、2番手の涌井秀章は2イニング目に失点するも、後を継いだ森山暁生が追加点を許さず。8回以降は、勝野昌慶と橋本侑樹が抑え込み、優勝を勝ち取った。
一軍・二軍を通じて、中日にとっては14年ぶりの歓喜。ほとんどの選手はプロ入り後初めての優勝ということで、喜びもひとしお。決まった後にマウンド上でウォーターシャワーのかけ合いをして、喜びを共有していた。
優勝セレモニーではファームを預かる落合英二監督が挨拶。次のような言葉を残している。
「誰が監督をしても球団主導の組織となり、ドラゴンズの育成システムを確立しなければ、未来はないと思っています。ここにいる選手たちがドラゴンズの未来です。未来を信じてこれからも見守ってください」
育成システムの構築は始まったばかりだが、今回の「3連勝しての逆転優勝」は選手や組織全体に大いなる自信を与えたことだろう。ファーム日本選手権でもその「自信」を胸に躍動してもらいたい。
◆「ファーム日本選手権のみどころ
ここからは試合当日について展望したい。
中日はソフトバンク戦で投げた三浦、仲地礼亜、松木平のいずれかが先発と見られる。一発勝負なので、誰が投げようと開始から飛ばしていくだろう。一応、金丸夢斗も出場資格を有するが、どうなるか。
ブルペンはソフトバンク戦で投げた橋本と勝野の出場資格がないため、他の投手でやりくりしなければならない。育成ながら37試合に投げて防御率2.25の森山、チームトップの40試合に登板した根尾昂に頑張ってもらおう。最後は梅野雄吾とナッシュ・ウォルターズが控えている。
打線の鍵は尾田と土田の1・2番コンビ。ウエスタン首位打者&最多出塁率の尾田が出て、土田がチャンスメイクすれば得点確率は上がる。9本塁打を放ったルーキー・森駿太にも期待だ。
対する巨人はイースタン・リーグを独走V。桑田真澄2軍監督のもと、分厚い戦力を誇る。
先発は育成2年目右腕・園田純規と見られる。6月の2軍戦デビューから無傷の8連勝をマーク。一気にエース格に上り詰めた。勢いに乗って登板しそうなので、中日としては立ち上がりに叩いておきたい。
野手で注意したいのは石塚裕惺とフリアン・ティマ。高卒ドラ1の石塚は1年目ながら打率.327をマーク。トップバッターで起用される見込みで、出塁は避けたいところだ。大砲のティマは今季こそ8本塁打にとどまったが、昨季は15本塁打を放っている。走者を置いての一発は厳禁だ。
落合2軍監督の言葉を借りれば、「ジャイアンツを倒すことは使命」。一軍だろうと二軍だろうとそれは変わらない。本気で頂点を狙いに行ってもらいたい。
試合は10月4日(土)、午後1時から『ひなたサンマリンスタジアム宮崎』でプレーボールの予定だ。
文:加賀一輝
加賀 一輝
1988年3月6日、愛知県生まれ。2016年~23年まで『スポーツナビ』にて編集・編成を担当。在職中に五輪・パラリンピックへの派遣、『Number』『文春オンライン』等への寄稿を経験。24年より独立。スポーツに関するライティング、編集、MCなど幅広く活動する。趣味は草野球で、1週間で20イニング投げることも。Xアカウント
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