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ホーム最終戦を終え、場内を一周する中日・井上一樹監督
少しずつ暑さが和らぎ、30度を超えない日が続くようになった。幾分か過ごしやすい季節がやってきたようだ。一方でプロ野球のシーズンは終盤を迎えており、多くのスタジアムで熱狂が生まれている。
井上一樹監督率いる中日ドラゴンズも残り少ない試合を全力で戦っている。本稿では連日セレモニーが行われた9月19~21日の振り返りを綴っていきたい。
◆本拠地ラストは連勝締め
まずは試合の振り返りから。19~20日は東京ヤクルト、21日は巨人と本拠地ラストゲームを戦った。
・9月19日(金):●2-6 東京ヤクルト
・9月20日(土):◯3-0 東京ヤクルト
・9月21日(日):◯5-2 巨人
東京ヤクルトとの第1戦は中田翔の引退試合だった。「4番・一塁」でスタメン出場し、初回の2死一塁が最終打席に。吉村貢司郎を相手にストレート3球フルスイングで空振り三振。2回表も守備につき、1死一塁になったところでベンチに退いた。
試合は柳裕也が2回までに3失点と振るわず、打線も6点ビハインドの7回に2点を返すのがやっと。この日敗れたことで3位の可能性がなくなり、クライマックスシリーズ出場権も消滅した。
続く第2戦は、祖父江大輔と岡田俊哉の引退試合。先発としてマウンドに上がった岡田は、村上宗隆を相手に見逃し三振で締めくくった。ベンチに戻り、涙を抑えられない姿が印象的だった。祖父江は2点リードの8回に登場。こちらは中村悠平にセンター前ヒットを打たれ、まさかの被安打締めで交代。ある意味「らしい」フィナーレとなった。
試合は3回に相手失策で2点を挙げ、7回には岡林勇希の適時打で追加点。投げては高橋宏斗が6回2/3を無失点。9個の三振を奪い、奪三振王のタイトルに望みを繋いだ。松山晋也も42セーブ目を記録している。
本拠地ラストの巨人戦は大野雄大vs.田中将大の同級生対決。田中は日米通算200勝がかかっており、注目度の高い試合となった。試合は大野がいきなり四連打で2点を失うも、その後は無失点。
すると、上林誠知のソロと石伊雄太の2ランが飛び出し、逆転に成功。中盤には細川成也の適時三塁打とジェイソン・ボスラーの犠飛で突き放した。また、松山は連日の43セーブ目を挙げている。
ちなみに、この日が今のドームの形で行う最後の試合となった。オフに大規模な改修を行われ、外野フィールドにテラス型観覧席「ホームランウイング」が誕生する予定だ。
◆監督挨拶を聞いて
21日の試合後、本拠地最終戦恒例の監督挨拶があった。要旨は以下の通り。
「春季キャンプで『10月いっぱいまで、ハラハラドキドキした試合をやろう』と話したが、叶わなかった。原因は9月に入っての失速」
「スローガンの『どらポジ(ポジティブ)』を掲げるも、自分自身が『どらネガ(ネガティブ)』になった時があったのも確か」
「ピッチャーも野手も牛歩ではあるものの、確実に成長している。観客動員250万人という数字が出たが、来季も感動したと言われる試合をやれるように鍛錬していく」
「来季は球団創設90周年。バンテリンドームナゴヤもリニューアルされる。残り6試合あるが、最後までやり遂げて2025年を締めたい」
「来年はさらに、皆さんが興奮して夜も眠れない―、職場で、学校で、家庭でもドラゴンズの話題満載!そんな1年を届けられるよう頑張る」
筆者は現地でこの挨拶を聞いていた。実に井上監督らしい、快活な内容だった。今季もBクラスに沈んだことによる謝罪は、ネガティブに繋がるから敢えてしなかったのかなと察する。
9月に入って6勝12敗(9月22日現在)と失速。一時は2位まで数ゲーム差まで迫るも、先に投手陣がバテて、追って野手陣も軒並み打てなくなった。特に9月1週目の本拠地6連戦、阪神戦と巨人戦で勝ち越せなかったのが痛かった。監督の試合後コメントも厳しい内容が増え、苦しさが伝わってきた。
それでもシーズンを通して、成長した選手がいたのは確か。投手では松山が筆頭だろうし、野手では上林が欠かせない選手になってくれた。故障者や本来の力を出せない者が多く出る中、彼らの存在が重しになっていた。
優勝した阪神とは互角に戦ったものの、ゲーム差は20以上離されている。目指すべきところは遥か遠く、やるべきことは山積している。個々のレベルアップはもちろん、補強や選手の入れ替えも必要だ。まずは残り試合でどんな「希望」が生まれるのか、楽しみにしたい。
◆ラスト6試合のみどころは
シーズン残りは6試合。日程は以下の通り。
・9月23日(火):vs.東京ヤクルト(神宮球場)
・9月26日(金)~28日(日):vs.阪神(甲子園球場)
・9月30日(火)~10月1日(水):vs.巨人(東京ドーム)
注目点は2点。個人タイトルと若手の一軍デビューだ。前者は岡林の最多安打や上林の盗塁王、高橋宏の奪三振王に松山のセーブ王が対象。特に松山は現在43セーブで、トップのライデル・マルティネス(巨人)に1個差。リーグ記録の46個(2005年の岩瀬仁紀氏)に迫るハイレベルな争いは、最終盤まで続くだろう。
後者は2年目右腕の草加勝、高卒ルーキーの森駿太のデビューがあるかどうか。草加は今週の二軍戦の出来次第で、最後の東京ドームで投げる可能性が浮上。森はファームで8本塁打を放ち、チーム有数のプロスペクトとなっている。彼らが来季以降の「希望」になれるかどうか、引き続く動向を見守っていこう。
文:加賀一輝
加賀 一輝
1988年3月6日、愛知県生まれ。2016年~23年まで『スポーツナビ』にて編集・編成を担当。在職中に五輪・パラリンピックへの派遣、『Number』『文春オンライン』等への寄稿を経験。24年より独立。スポーツに関するライティング、編集、MCなど幅広く活動する。趣味は草野球で、1週間で20イニング投げることも。Xアカウント
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