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岡田俊哉(ドラゴンズ)
少しずつ秋の香りがするようになってきた。気温は未だ35度以上を記録する一方で、日没時間が早くなったり、鈴虫の鳴き声を聞く機会が増えている。
プロ野球界も秋の到来を実感する出来事が度々訪れている。7日には阪神タイガースが2リーグ制以降では最速のリーグ優勝を果たし、セ・リーグの関心はクライマックスシリーズの出場争いへ。井上一樹監督率いる中日ドラゴンズもギリギリの戦いをしながら、少しでも上の順位へ食い込もうとしている。
本稿では9月1週目の振り返りと今週の展望を綴りたい。
◆先週は2カード続けて負け越し
先週は本拠地・バンテリンドームナゴヤで6連戦。前半は阪神、後半は巨人と戦った。
・9月2日(火):●3-5 阪神
・9月3日(水):◯5-2 阪神
・9月4日(木):●5-7 阪神
阪神戦は1勝2敗。8月下旬から続いていた連続カード勝ち越しは「3」でストップした。初戦は先発のカイル・マラーが3回に2ランを2本被弾。5点を追う7回に山本泰寛の適時二塁打、代打・大島洋平の2点適時打で反撃するも、及ばなかった。
2戦目は1点ビハインドの5回、上林誠知の適時打で追いつくと、4番・細川成也が勝ち越し3ランを逆方向に叩き込む。続く、6回にはこの日一軍合流の石川昂弥が待望の1号ソロを放ち、試合を優位に進めた。投げては大野雄大が6回2失点で9勝目。沢村賞を獲得した2020年以来の2桁勝利に王手をかけた。
3戦目は7回表終了時点で0-7と完敗ムード。そこからドームの雰囲気をガラリと変えてみせた。7回裏、四死球でチャンスをつかむと、代打・板山祐太郎が適時打。さらに細川が2試合連発となる3ランを放ち、4-7とする。8回にも岡林勇希の犠飛で1点を返して5-7。9回こそ無得点で敗れたものの、ワンチャンスで逆転できるところまで持っていった。
・9月5日(金):◯1-0 巨人
・9月6日(土):●4-5 巨人
・9月7日(日):●3-6 巨人
巨人戦も1勝2敗。残念ながら2カード続けての負け越しとなった。初戦は柳裕也と相手先発・山崎伊織の息詰まる投げ合いが続く中、5回にジェイソン・ボスラーが均衡を破るソロアーチ。柳は6回まで投げて無失点ピッチング。その後は藤嶋健人、ウンベルト・メヒア、松山晋也が最少リードを守り切り、勝利をおさめた。
2戦目は細川&ボスラーの連続本塁打に加え、田中幹也の適時打で2回までに4点を奪う。先発の高橋宏斗は4回3失点で降板するも、リリーフ陣が堪え、1点リードで9回へ。あとは松山が締めるだけ――。
誰もが勝利を確信したが、よもやの9回2アウトから5連打を浴びて逆転を許してしまう。裏の攻撃は得点圏まで走者を進めるも、あと一歩及ばず。連勝とはいかなかった。
3戦目は1点を追う4回、細川の17号ソロが飛び出し同点。5回に3点差をつけられるも、裏に岡林の押し出し四球で点差を詰める。ただ、このあとは巨人のブルペン陣に反撃を阻まれ、逆にエラーをきっかけに失点。カード勝ち越しとはならなかった。
9月7日終了時点で、中日は56勝67敗2分けの4位。3位・横浜DeNAと3.5ゲーム差、2位・巨人と5ゲーム差となっている。残り18試合、1つでも多く白星をもぎ取りたい。
◆2人のベテラン投手が引退表明
先週はここ10年ほどの中日を支えてきた投手が、相次いで引退を表明した。祖父江大輔、岡田俊哉の2人である。
500試合登板を達成した祖父江大輔(ドラゴンズ)
祖父江はチームの地元・愛知県で生まれ育ち、12年間のプロ生活をドラゴンズ一筋で過ごした「フランチャイズプレーヤー」だ。投手としては、比較的小柄だが小気味良いピッチングでブルペンを彩ってきた。
26歳でのプロ入りで「オールドルーキー」と呼ばれ、1年目からリリーフでフル回転。以後、509試合登板の全てがリリーフによるものだ。中日の投手で500試合以上投げたのはわずか4人。その中で全試合リリーフ登板なのは祖父江だけ。球団史に残って然るべき右腕である。
マウンド上では「眼光ビーム」と呼ばれる鋭い視線で相手を怯ませる一方、先輩・後輩問わず愛されるキャラクターなのは竜党ならご存知だろう。爆笑をさらい、花束贈呈に来たチームメイトがボケ倒す引退会見なんて見たことない。
それでも会見後のナイターでは、先発の柳を筆頭に登場曲を『宙船』(TOKIO)で統一して惜別。他球団でも又吉克樹(ソフトバンク)、笠原祥太郎(オイシックス新潟)が登板時に『宙船』をかけ、存在の大きさを感じさせた。
岡田は2009年のドラフト1位左腕。智弁和歌山高校で甲子園に4度出場した「エリート投手」で、プロ入り後は主にリリーフで活躍。キレのある速球と曲がり幅の大きいスライダーを軸に、三振奪取能力が高いのが特徴だった。
一軍デビューは4年目で、いきなり66試合に登板。7勝15ホールド、防御率2.79と好成績を残した。その後もキャリアを積んで、2017年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では侍ジャパンの一員に選出。オーストラリア戦での窮地を脱したピッチングは今も語り草だ。
キャリアの転換点は2023年の春季キャンプ。生き残りをかけてサイドスローに転向していた岡田は、楽天との練習試合中にマウンドで転倒。痛みで大きな声を上げ、自力では立ち上がれないほどの大ケガを負い、診断結果は右大腿骨骨折。リハビリ当初は命があるだけでもよく、まずは日常生活からと言われたそうだ。
それでも不屈の闘志で翌春には投げられるようになり、今年の4月末に支配下復帰。入団時につけていた背番号「11」で再出発を果たした。5月4日の広島戦(マツダ)で一軍で4年ぶりの先発を務め、6月19日のオリックス戦では本拠地のマウンドに帰還。引退会見で「一生忘れない」と本人が振り返るほどの大歓声だったのは記憶に新しい。
16年のプロ生活で通算353試合登板、19勝24敗62ホールド19セーブ。細身の体に鞭打って投げ続ける姿は美しく、瑞々しく輝いていた。
◆翌週月曜までビジター7連戦
今週からの予定は以下の通り。来週月曜までビジター3カード、7連戦をこなす。
・9月09日(火)~11日(木):vs.東京ヤクルト(神宮球場)
・9月12日(金)~13日(土):vs.広島(マツダスタジアム)
・9月14日(日)~15日(月):vs.阪神(甲子園球場)
先週がホーム6連戦で勝ち越せなかった分、敵地でしっかり勝ちを拾っていきたい。東京ヤクルトは絶好調の村上宗隆を抑えられるかがカギ。今季初登板初先発の松木平優太、ドラフト1位左腕・金丸夢斗らが立ち向かう。
広島と阪神とはそれぞれ2連戦を戦う。広島は順位争いのライバルで、連勝を狙っていきたいところ。先発が予想される柳と高橋宏に期待だ。阪神は早く優勝した分、残り試合はある程度、主力を休ませる方針と思われ、その隙を狙っていきたい。
文:加賀一輝
加賀 一輝
1988年3月6日、愛知県生まれ。2016年~23年まで『スポーツナビ』にて編集・編成を担当。在職中に五輪・パラリンピックへの派遣、『Number』『文春オンライン』等への寄稿を経験。24年より独立。スポーツに関するライティング、編集、MCなど幅広く活動する。趣味は草野球で、1週間で20イニング投げることも。Xアカウント
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