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ビシエド(ベイスターズ)
4年連続のクライマックスシリーズ(CS)出場へ向け、苦闘が続くベイスターズで打線のカンフル剤に期待されて獲得されたのが、元中日のダヤン・ビシエドです。
ビシエドは中日での9年間で通算1012安打、139本塁打の実績を持ち、2018年には首位打者と最多安打のタイトルも獲得したスラッガーで、今年7月のベイスターズ入団後も、スタメン起用時の打率は3割を超えるなど(8月31日現在)、存在感を発揮しています。
ビシエドは中日での9年間で国内フリーエージェント権の取得条件を取得し、日本人選手扱いになっていますが、過去にも他球団で実績を残した選手が、ベイスターズに移籍したケースは少なくありません。
昭和の時代には、ジーン・マーチン(中日→大洋)、レオン・リー(ロッテ→大洋)など、ベストナイン選出経験もある選手の移籍がありましたが、2000年代に入るといわゆる『ハズレ』外国人が顕著になり、2010年代からは、他球団で実績を残した選手の獲得が多く見られるようになりました。
2010年にベイスターズに入団したターメル・スレッジは、北海道日本ハムの2年間で43本塁打を放った左の大砲で、ベイスターズでも移籍1年目から28本塁打をマークし、78打点も自己最高の成績でした。
2011年も2度の1試合3本塁打を記録するなど、96試合で20本塁打と長打力を発揮しましたが、シーズン終盤に右脚を故障して戦線離脱となり、この年限りで契約終了となりました。
日本ハム時代から3年連続20本塁打のスレッジをリリースしたのは、新たな強打者を獲得したからです。2012年に移籍したアレックス・ラミレスはヤクルト、巨人で11年間プレーし、首位打者1回、本塁打王2回、打点王4回の実績を持つ最強助っ人でした。
ビシエドと同様に、すでに日本人選手扱いになっていたラミレスは、全盛期の力こそ残ってはいませんでしたが、移籍1年目から4番に定着し、137試合に出場して打率.300、19本塁打、76打点をマーク。
12年連続の2ケタ本塁打は外国人選手最高記録で、同年には日米通算2000安打を記録。翌2013年は56試合出場に終わりましたが、外国人枠で入団した選手では史上初となるNPB通算2000安打を達成しています。
ラミレスはのちに球団史上初の外国人監督となり、2016年には球団史上初となるCS進出など、5年間で3度のAクラス入り、2017年には日本シリーズ出場も果たしています。
2013年にラミレスの出場機会が減ったのは、同年に中日から移籍したトニ・ブランコの存在もありました。ブランコは来日1年目の2009年に39本塁打で本塁打王を獲得。2010年も32本塁打をマークするなど、中日での4年間で111本塁打を放ちました。
移籍1年目の2013年は、投手のエンジェルベルト・ソト、ホルへ・ソーサと3人の外国人選手が中日からベイスターズへ移籍と、史上初となる出来事もありましたが、同年にブランコは、4月に球団新記録となる月間14本塁打を放つなど、最終的に打率.333、41本塁打、136打点と大爆発。
この年、NPB記録を更新したウラディミール・バレンティンの60本塁打には及びませんでしたが、打率、打点の二冠王に輝く活躍でした。2014年は度重なる故障に苦しみ、85試合の出場に終わって契約終了となりましたが、それでも二度のサヨナラ本塁打など17本塁打を記録しています。
2014年から2年間、阪神、オリックスでプレーしたアローム・バルディリスが所属した後、球団史に残る外国人選手となったのが、2015年に巨人から移籍したホセ・ロペスです。
ロペスは巨人1年目の2013年に打率.303など、2年間で221安打をマークしましたが、契約終了となり、ベイスターズに移籍。移籍1年目から140試合に出場して打率.291、25本塁打、73打点を記録すると、2017年には171安打、105打点で自身初となる最多安打、打点王のタイトルを獲得しました。
その後も2020年まで、ベイスターズでは6年間プレーし、NPB通算1500安打も記録したナイスガイは、チームメイトやファンからも「チャモ」の愛称で親しまれる存在でした。
文:大久保泰伸
大久保泰伸
フリーライター、編集者。1969年広島市生まれ、現在は神奈川県在住。出版社勤務を経て、20世紀の終わり頃に独立。別冊宝島野球シリーズの執筆、編集や広島などのOBの著書の編集協力などを行い、同社のプロ野球選手名鑑は創刊時から現在まで関わる。記者活動は2009年にベースボール・タイムズ紙の広島担当でスタートし、15年から野球専門サイトのフルカウントで広島、18年からはDeNA担当も兼務した。
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