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都市対抗に出場する元NPB選手
日本野球の歴史を振り返ると、社会人野球とプロ野球の関係が大きく悪化していた時期もある。1999年まで元プロの社会人野球入りは制度的に禁じられていた。しかし、今は元プロ野球選手も「1チーム2名以内」「社員契約」という条件の中で、在籍が認められている。
社会人野球のレベルは高く、元プロでも成績を残せず苦しんでいる選手は少なくない。逆に社会人球界でプロ時代以上に輝いている選手もいる。今回は8月28日に開幕する第96回都市対抗野球大会に出場する「元プロ」から、野手4名を紹介する。
武田健吾(三菱重工East)
◆武田健吾(三菱重工East/外野手)
・31歳 右投右打 183センチ・85キロ
・NPB経験:オリックス・バファローズ(2013~19年)/中日ドラゴンズ(2019~21年)
2012年のドラフト会議で、福岡・自由ケ丘高校からドラフト4位でオリックス入りした。走攻守の三拍子が揃い、パワーも兼ね備えたアスリートタイプの外野手だ。
2017年にはキャリアハイとなる97試合に出場、打率.295も記録している。ただ、一軍ではなかなか打撃面で結果を出せず、代走や守備固めの起用はあったものの、レギュラーに定着できないまま、NPB生活を9年で終えている。
しかし、社会人では実力を存分に発揮している。社会人初年度だった2022年夏の第93回都市対抗野球は、ENEOSの補強選手として優勝に貢献。三菱重工Eastの選手としても第94回大会のベスト8、第95回大会の優勝に貢献している。昨年の大会は5試合で打率.412と文句のない個人成績を残し、2年連続で優秀選手に輝いた。
NPBでは「準一軍クラス」にとどまっていた人材が、社会人では完全な主役となり、輝きを増している好例だ。
網谷圭将(ヤマハ)
◆網谷圭将(ヤマハ/外野手)
・27歳 右投右打 185センチ・90キロ
・NPB経験:横浜DeNAベイスターズ(2016~18年)
社会人で成長した、化けた人材の代表格と言っていいだろう。千葉英和高校から育成ドラフトで横浜DeNAに加入し、捕手や内野手として二軍戦に出場していた。しかし、支配下登録には入れぬまま、3シーズンで退団している。
ヤマハ入社後は外野へ転向するとともに打撃面が開眼。パワー、確実性とも上昇し、7年目の今では欠かせない中軸になっている。2024年には育成契約前提ながら、水面下でプロ入りの打診もあったという。
今大会の2次予選は打率こそ.267にとどまったが、3番・レフトで先発した第5代表決定戦では本塁打も含む4打数3安打2打点の大活躍。中堅選手として、チームを支えている。
北條史也(三菱重工West/NTT西日本補強選手)
◆北條史也(三菱重工West/内野手/NTT西日本補強)
・31歳 右投右打 177センチ・85キロ
・NPB経験:阪神タイガース(2013~23年)
彼の球歴に触れるなら、まず光星学院(現八戸学院光星)高校時代の活躍だろう。2011年夏、2012年春・夏と甲子園で3季連続の準優勝を経験している。
田村龍弘(千葉ロッテ)は幼馴染で大阪狭山ボーイズ、光星学院ともチームメイトだったライバル。北條は打力の高いショートとして、世代を代表する存在だった。2012年のドラフト会議では、阪神タイガースから2巡目指名を受けてプロ入りしている。
プロでは通算455試合に出場しているが、期待された「鳥谷敬の後継者」としての役割は果たせず、三塁、二塁でも定位置確保にはあと一歩届かなかった。2020年以降は出場機会が徐々に減少し、2023年はついに一軍出場がゼロ。同年オフに、阪神を退団することになった。
ただし、その打力は社会人で輝いている。2024年の第95回都市対抗大会では「2番・サード」で起用され、3試合で打率.364、4打点と大活躍。チーム初のベスト8入りに貢献し、自身も大会優秀選手に選出された。今大会はNTT西日本の補強選手として東京ドームに戻って来る。
小深田大地(日本製鉄瀬戸内)
◆小深田大地(日本製鉄瀬戸内/内野手)
・22歳 右投左打 176センチ・92キロ
・NPB経験:横浜DeNAベイスターズ(2021~24年)
彼はまだ社会人では、地位を確立できていない「ルーキー」だ。大阪の名門・履正社高校では1年夏から主力となり、2年時は春夏の甲子園大会に出場。3年時もコロナ禍に開催された「甲子園交流試合」に出場している。
ドラフト4位で横浜DeNAに進み、プロ生活をスタートさせた。二軍では1年目から主力として起用されたが、一軍には届かず、3年目のオフに「育成契約」に切り替わっている。結果的には4年でNPB生活を終えた。
2025年からは、日本製鉄瀬戸内でプレーしている。今夏の近畿地区2次予選は指名打者として起用されたものの、4試合で9打数2安打と期待には応えられていない。今のチームでどれだけ成長できるかに、今後の野球人生がかかっている。
文:大島和人/写真提供:小学館
大島 和人
1976年神奈川県で出生。育ちは埼玉で現在は東京都町田市に居住。早稲田大学在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れた。卒業後は損害保険会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。現在はサッカーやバスケ、アマチュア野球など多彩なボールゲームの現場に足を運んでいる。Twitter(@augustoparty)
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