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引退会見後、チームメイトから花束を贈られた中日・中田翔
夏の甲子園は沖縄尚学が県勢初の優勝を果たし、伝統校・県岐阜商の躍進も話題を呼んだ。筆者も準々決勝を現地観戦しており、県岐阜商と横浜の激闘には何度も心を揺さぶられた。酷暑の中で戦い抜いた選手・関係者の皆さまには心から御礼申し上げたい。
さて、高校野球の次はプロ野球の季節だ。気づけば8月下旬に差し掛かり、ペナントレースは残り30試合。ラストスパートをかける頃合いが訪れている。井上一樹監督率いる中日ドラゴンズは直近3カードをどのように戦ったのか、振り返ってみよう。
◆4連敗のち3連勝、そして1点差負け
8月5~13日の9連戦が明けて、15~17日は本拠地で横浜DeNA戦。週が明けて19~20日は阪神、22~24日は広島とそれぞれビジターゲームをこなした。
・8月15日(金):●3-4 横浜DeNA
・8月16日(土):●0-6 横浜DeNA
・8月17日(土):●4-5 横浜DeNA
クライマックスシリーズ進出のためには叩いておかねばならない横浜DeNAに対し、よもやの3連敗。うち2試合は1点差と悔しい結果となった。
初戦は細川成也の適時打と上林誠知のソロで優位に立つも追いつかれ、8回には逆転を喫する。すぐさまジェイソン・ボスラーのソロで同点にするも、延長10回に勝ち越されジ・エンド。先発の金丸夢斗は初勝利の次の登板を白星で飾れなかった。
2戦目は高橋宏斗が序盤から小刻みに点を取られ、打線は相手先発の竹田祐にプロ初登板初勝利を献上。投打ともに振るわない試合だった。
3戦目はダヤン・ビシエドに本塁打を喰らい、藤浪晋太郎に抑えられる苦しい展開も、上林のソロなどで同点にして終盤へ。7回には相手バッテリーのミスに乗じて2点を奪い、逆転に成功。このまま勝ちかと思われたが、8回に追いつかれ、延長12回に勝ち越し点を献上。またも接戦を落とした。
・8月19日(火):●4-5 阪神
・8月20日(水):◯2-1 阪神
京セラドームでの阪神2連戦も接戦続き。ともに1点差ゲームで1勝1敗を星を分け合った。
初戦は2点を追う5回にボスラーと山本泰寛の適時打で追いつくも、6回に失策絡みで2点を勝ち越される。8回に岡林勇希のソロで1点差とするが、反撃もここまでだった。
2戦目は初回に幸先よく2点を先制。その後は先発・大野雄大を起点に梅野雄吾、清水達也、松山晋也の継投で1失点に抑えて勝利。連敗を4で止めた。ちなみに梅野はこの日が今季初ホールドだった。
・8月22日(金):◯6-4 広島
・8月23日(土):◯5-2 広島
・8月24日(日):●4-5 広島
1日空いて金曜からは広島との3連戦。順位を争う相手に敵地で勝ち越した。
初戦は3点ビハインドの8回、上林と田中幹也の連続適時打で1点差とすると、細川がバックスクリーンに逆転2ランを叩き込み、逆転に成功する。その後、追いつかれるも、延長11回に途中出場のクリスチャン・ロドリゲスが値千金の勝ち越し打。さらに石伊雄太のスクイズが野選を呼び、さらに得点を追加。裏は松山がゼロに抑えた。
2戦目は細川、山本の適時打などでリードを広げると、終盤には細川とマイケル・チェイビスがそれぞれソロを放ち、相手を突き放す。投げては高橋宏が8回2失点の力投。松山は連夜のセーブを挙げ、チームの連勝は3まで伸びた。
スイープを狙った3戦目は、金丸が3回に5点を献上。失策がきっかけだったが、庇いきれなかった。打線はブライト健太の3ラン、細川の適時打で追い縋るも及ばなかった。
◆稀代のスラッガー・中田翔が引退
15日には背番号6・中田翔の引退会見が開かれた。
出場機会を求めて巨人からやってきた昨季は、序盤こそ快調だったが、その後は度重なる故障に見舞われた。迎えた今季は約15キロの減量に成功。見違えるような身体でキャンプインした時は、もうひと花咲かせる予感を抱かせたが……。半年後には引退会見を開くとは思わなかったし、正直残念で寂しい気持ちでいっぱいだ。
会見では「思うように身体が動かないのを感じ、これ以上チームに迷惑をかけられない」と引退の理由に言及。持ち前のフルスイングをかけられないのならと、スパッと決断したように感じた。
中田の目から涙がこぼれたのは、彼を慕うチームメイトがサプライズで駆けつけた時。代表して大野雄大とブライトが花束を渡し、周りを細川や土田龍空、鵜飼航丞など若い選手が囲んだ。とりわけ、ブライトは今年1月の自主トレに志願して参加した縁を持つ。広島戦の3ランは餞の一発になっただろうか。
引退会見以降、ファームを含めて試合出場はないものの、できれば最後にもう一度その勇姿を見せてもらいたい。奇しくも9月21日の本拠地最終戦は古巣・巨人との一戦だ。
◆横浜DeNAに敵地でリベンジを
今週の日程は以下の通り。
・8月26日(火)~28日(木):vs.東京ヤクルト(バンテリンドームナゴヤ)
・8月29日(金)~31日(日):vs.横浜DeNA(横浜スタジアム)
週の前半は東京ヤクルトと本拠地で対戦する。最下位に沈んでいるとはいえ、後半戦からは村上宗隆が故障から復帰。直近12試合で7本塁打と量産体制に入っている。走者を置いた場面での痛打に気をつけたい。中日の先発予想はカイル・マラー、大野、仲地礼亜とみられる。仲地は投げることになれば、今季初登板だ。
後半は横浜に乗り込み、3位の横浜DeNAと対決。お盆の本拠地では屈辱の3タテを喰らったので、ぜひリベンジしてもらいたい。警戒すべきは捕手の山本祐大。8月は打率.404、OPSが1.066と打ちまくっており、先の本拠地3連戦では9打数6安打2本塁打と好き勝手にやられた。山本を調子づかせないことが勝ちへの近道になる。
文:加賀一輝
加賀 一輝
1988年3月6日、愛知県生まれ。2016年~23年まで『スポーツナビ』にて編集・編成を担当。在職中に五輪・パラリンピックへの派遣、『Number』『文春オンライン』等への寄稿を経験。24年より独立。スポーツに関するライティング、編集、MCなど幅広く活動する。趣味は草野球で、1週間で20イニング投げることも。Xアカウント
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