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野球 コラム 2025年8月25日

ドラフト候補に大企業の本気の応援。社会人野球真夏の祭典「都市対抗野球大会」のみどころ

野球好きコラム by 大島 和人
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前回大会を制した三菱重工East

社会人野球の最高峰「第96回都市対抗野球大会」が、8月28日(木)に東京ドームで開幕する。出場は32チームで、9月8日(月)の決勝まで12日間の熱戦が繰り広げられる。

コロナ禍や東京五輪の影響があった2020年、2021年を除いて、近年の都市対抗野球は7月後半の開催だった。しかし、第96回大会は例年より開催時期が約1カ月遅く、高校野球(硬式)の全国大会が終了した後の開幕となる。

熱心なアマチュア野球ファンやNPBのスカウトにとってはありがたいスケジュールに違いない。また8月も9月も変わらず、酷暑下で快適な気温・湿度が保たれる東京ドームは選手、観客にとって優しい環境だ。

◆ドラフト候補選手のチェック

都市対抗野球は「勝ち負け」の他にも色々な楽しみ方がある。この大会はまずプロ野球や、侍ジャパンで活躍するような「才能」を先んじて楽しめる、いわば「先物買いの場」。

例えば、2024年のドラフト会議(プロ野球新人選手選択会議)では、社会人野球から伊原陵人(NTT西日本→阪神)と、竹田祐(三菱重工West→横浜DeNA)の2人が1位指名を受けた。

伊原は阪神の中でも先発ローテーションの一角として起用され、セ・リーグ独走の一翼を担っている左腕だ。他にも近本光司(大阪ガス出身)、中野拓夢(三菱自動車岡崎出身)と社会人野球出身者が阪神の主力を担っている。阪神に限った話でなく、社会人野球はNPBにとって貴重な人材供給源だ。

また都市対抗はその名の通り、選手たちが「街」「地域」を背負ってプレーする場だ。その象徴が「補強選手制度」で、出場各チームは同じ地区予選で敗れたチームから最大3名を受け入れられる。

前回の95回大会を制して予選がシードだった三菱重工Eastは、この制度を使えないが、それでも第96回大会に出場するほぼ全チーム(30チーム)が補強選手制度を活用している。

当然ながら第96回大会の予選で敗れた中にも、人材豊富なチームはある。NTT東日本(東京)から9名、JR東海(東海)が8名、エイジェック(北関東)と日本新薬(近畿)が6名、日本製鉄かずさマジック(南関東)が5名というように、敗退チームからも他チームのユニフォームで東京ドームに登場する選手がいる。

◆大企業が本気で盛り上げる応援も必見

東京ドームの本大会に足を運んだことのあるファンならば先刻ご承知だろうが、都市対抗ほど出場チームが「応援」に力をいれる大会は、他のカテゴリーでもない。高校野球、大学野球の応援もそれぞれ魅力的だが、社会人野球は「大企業が本気で盛り上げ、エンタメを追求する」凄みがある。

広告に出演している有名タレント、その企業と関わりのある五輪アスリート、大物財界人が壇上でスタンドを盛り上げることも多い。

応援の「郷土色」も注目だ。西濃運輸は『奥の細道』の結びとなった岐阜県・大垣市の企業だが、松尾芭蕉に扮した大垣市長が披露する「一句」を楽しみにしているファンは多いはず。

過去の事例を見るとHonda熊本(大津町)の応援に、くまモン(熊本県営業部長兼しあわせ部?)が多忙なスケジュールの合間を縫って駆けつける可能性は高い。

TDK(にかほ市)ならば秋田県のプロスポーツチーム(秋田ノーザンハピネッツ/ブラウブリッツ秋田)からマスコットが応援に駆けつけるはず。

2022年の第93回大会では、ブラウブリッツ秋田(J2)のマスコット「ブラウゴン」の活躍が話題になった。応援を完コピし、1回戦から準々決勝までチームをサポート。その成長と献身的なサポートでマスコット好き界隈の感動と共感を呼んだ。

第93回大会ではJR東日本東北(仙台市)と、JR東日本(東京都)の直接対決が実現したが、このときは「Suicaペンギン」が同時に両チームを応援する微笑ましいシーンも見られた。

出場チームの応援席は、その企業の従業員や関係者でなくても入れるケースがほとんど。都市対抗の主役はあくまでもグラウンド内で戦う選手たちだが、応援やマスコット「だけ」でも楽しめる大会だ。

文:大島和人

大島 和人

大島 和人

1976年神奈川県で出生。育ちは埼玉で現在は東京都町田市に居住。早稲田大学在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れた。卒業後は損害保険会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。現在はサッカーやバスケ、アマチュア野球など多彩なボールゲームの現場に足を運んでいる。Twitter(@augustoparty

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