人気ランキング
コラム一覧
マツダスタジアム
前回このコラムで取り上げたセ・リーグの指名打者(DH)制導入ですが、チャンスを得る選手もいれば、貴重な機会を失ってしまう選手も出てきそうです。
現在の先発投手陣で左右のエース格である床田寛樹と森下暢仁は、高い打撃センスにも定評がありますが、DH制導入となれば、打席に立たない可能性が高くなるからです。
床田は今季(8月15日終了時、以下全て同じ)ここまで打率.209。投手としては高打率と言える数字で、2023年には50打席で打率.275をマークして二塁打も4本放つなど、先発ローテに定着した2019年以降の7シーズンで三度、打率2割以上を記録しています。
森下は今季こそ打率.098と低い数字ですが、昨季は52打席で打率.234をマーク。2023年には床田が記録していない本塁打を放っており、2022年は7打点を記録するなど、『9人目の打者』の役割を果たしています。
2人とも打線の援護に恵まれない試合が多く、孤軍奮闘の感もあるシーズンが続いていますが、これまでカープのエースと呼ばれた投手には、伝統的に打撃もいい選手が多くいます。
まず、球団創設時に通算197勝の大エースだった長谷川良平は、14年間の現役生活で通算打率.187を記録。入団6年目の1955年には144打席で打率.234、1本塁打、11打点をマークしており、その前年には3本の三塁打も記録しています。
通算62打点はNPB歴代の投手でも上位に入る数字で、弱小球団を支えた、まさに大黒柱と呼べる選手でした。
カープで最初の200勝投手となった北別府学は、19年間の現役生活全てのシーズンで打点を記録しており、通算打率は.135。1988年は81打席で.230、1989年は39打席ですが、打率.240をマークしており、通算5本塁打は球団の日本人投手では歴代最多となっています。
1976年に20勝を挙げて最多勝、沢村賞にも輝いた池谷公二郎は、12年間の現役生活で通算打率.181を記録。5シーズンで打率2割以上をマークしており、1977年は82打席で打率.299と、あと1本安打が出れば打率3割に達する成績でした。
1980年代から90年代にかけて左腕エースとして活躍した川口和久は、18年間の現役生活で通算打率.161。巨人にFA移籍する前年の1994年には52打席で打率.293と野手並みの成績を残しており、打点も通算55打点と高い数字を残しています。
昭和最後の沢村賞投手で通算22年間、43歳までプレーして『不惑のエース』と呼ばれた大野豊は、通算打率.184を記録。通算138セーブとリリーフでのシーズンも多く、あまり打席に立たないイメージもありますが、プロ2年目の1978年に15打席ながら打率.429、1本塁打、3打点をマーク。
先発転向2年目となった1985年は、59打席で打率.240、1987年には64打席で打率,288とハイアベレージを残し、現役最後の年も14打席ながら打率.333を記録しています。
投手の打撃で外せないのが前田健太ですが、NPBでの8年間では、意外にも打率2割を超えたシーズンはありません。それでも旧広島市民球場最後の公式戦でプロ初本塁打を放ち、MLB移籍の前年にはシーズン最終盤のマツダスタジアムでの試合で本塁打を記録するなど、インパクトの強い打撃を見せています。
8年間全てのシーズンで二塁打と打点を記録したマエケンは、MLB移籍1年目のドジャーズでも本塁打を放ち、2019年には48打席で打率.250と、自身初の打率2割超えを果たしています。
外国人投手の打撃で印象的だったのが、コルビー・ルイスで、わずか2年間の在籍ながら2008年は2本塁打、2009年も3本塁打と、パワーあふれる打撃を見せてくれました。
特に印象的だったのが、2009年6月26日の中日戦、朝倉健太から放った本塁打は推定飛距離150メートルの特大弾で、開業1年目のマツダスタジアムの左翼場外に消える衝撃の一打でした。
DH制の導入で投手が打席に立たなくなるのは残念ですが、ルール上では北海道日本ハム時代の大谷翔平のように、投手が打席に入るケースはあります。そんな『二刀流』がカープでも登場するのか、ルール改正の中の楽しみのひとつでもあります。
文:大久保泰伸
大久保泰伸
フリーライター、編集者。1969年広島市生まれ、現在は神奈川県在住。出版社勤務を経て、20世紀の終わり頃に独立。別冊宝島野球シリーズの執筆、編集や広島などのOBの著書の編集協力などを行い、同社のプロ野球選手名鑑は創刊時から現在まで関わる。記者活動は2009年にベースボール・タイムズ紙の広島担当でスタートし、15年から野球専門サイトのフルカウントで広島、18年からはDeNA担当も兼務した。
あわせて読みたい
J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題
ジャンル一覧
人気ランキング(オンデマンド番組)
-
広島 vs. 東京ヤクルト(10/4) J SPORTS STADIUM2025
10月4日 午後1:25〜
-
11月24日 午後4:30〜
-
11月26日 午前11:55〜
-
11月26日 午後3:45〜
-
【限定】中日ドラゴンズ応援番組!ドラナビ(スターキャットチャンネル2025年11月29日放送分)
12月3日 午後12:00〜
-
【限定】中日ドラゴンズ応援番組!ドラナビ(スターキャットチャンネル2025年11月22日放送分)
11月26日 午後12:00〜
-
ガンバレ日本プロ野球!? リターンズ25/26 【浅村栄斗・中島宏之編】 #1
11月15日 午後8:00〜
J SPORTSで
野球を応援しよう!
