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野球 コラム 2025年8月15日

【中日好き】ドラゴンズ、真夏の9連戦は4勝5敗。ルーキー金丸夢斗がついにプロ初勝利

野球好きコラム by 加賀 一輝
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初勝利の金丸夢斗(ドラゴンズ)

お盆の季節真っ只中。読者の皆さまはどんな日々を送っているだろうか。帰省でリフレッシュした人もいれば、いつも通りに仕事をこなす人もいると思うが、くれぐれも体調にだけは気をつけて過ごしてもらいたい。

セ・リーグは8月5日から13日にかけて、各チームが9連戦を戦った。身も心もタフな「真夏の9連戦」である。井上一樹監督率いる中日ドラゴンズの動向を振り返ってみよう。

◆4勝5敗でフィニッシュ

9連戦は本拠地で阪神と広島、敵地で巨人とマッチアップ。本拠地で負け越し、敵地で勝ち越すという、ちょっと歪な形となった。

・8月5日(火):●2-6 阪神
・8月6日(水):●2-3 阪神
・8月7日(木):◯8-3 阪神

阪神との初戦と2戦目はいずれも7回までリード。そこから救援陣が崩れて敗戦という、悔しい試合が続いた。

迎えた3戦目、ファン待望の瞬間が訪れた。黄金ルーキー・金丸夢斗がついにプロ初勝利を挙げたのだ。何度好投しても白星だけには恵まれず、デビューから足掛け3ヶ月、10度目の登板で「1勝」をつかんだ。

この試合では打線も8得点と奮起。特に1番に抜擢されたブライト健太は4安打の固め打ち。今季は代打の切り札的な役割を担うが、スタメンでもっと見たいと思わせる活躍だった。

・8月08日(金):●2-3 広島
・8月09日(土):◯2-0 広島
・8月10日(日):●5-6 広島

2カード目は順位争いをする広島との対決。全て2点差以内の接戦を演じるも負け越してしまった。

初戦は敗戦濃厚の9回裏に4番・細川成也が起死回生の同点2ラン。そのままサヨナラまで行くかと思われたがあと一歩及ばず、延長11回に勝ち越し点を献上した。

2戦目は高橋宏斗が先発。前週、広島相手に完封している右腕は、この日も序盤からアウトを重ね、8回まで無失点ピッチング。自らの23歳バースデー登板を良い形で飾った。9回は帰ってきた松山晋也が締めて、零封リレーを完成させた。

3戦目は一時3点リードを奪うも、相手打線の粘りに遭い、逆転負け。カード勝ち越しとはならなかった。

・8月11日(祝):◯2-0 巨人
・8月12日(火):●0-5 巨人
・8月13日(水):◯4-3 巨人

9連戦最後は東京ドームで巨人と対戦。4カードぶりの勝ち越しを決めた。

初戦はウンベルト・メヒアが久々の先発。速球とナックルカーブが冴え、5回を無失点と試合を作る。打線は細川の適時二塁打と山本泰寛のソロで援護。リリーフ陣も無失点に抑え、メヒアに4月6日以来の2勝目をプレゼントした。なお、松山はこの試合で30セーブに到達している。

2戦目は3回に守備の乱れから4点を失い、そのまま相手に主導権を握られ敗戦。ドラフト2位左腕・吉田聖弥がプロ初登板を果たしている。

連戦のラスト、3戦目も序盤からリードを奪われる展開だったが、5回に2本の適時打などで3点を返し同点とする。続く6回には、マイケル・チェイビスが勝ち越しの3号ソロを叩き込み、これが決勝点に。見事な逆転勝ちを収めた。

◆苦しい中に訪れた歓喜の瞬間

この9連戦は、チームにとって苦しいことの方が多かったように感じる。勝てると思った試合で勝てなかったり、思わぬアクシデントに遭遇したり……。それでも忘れられない歓喜の瞬間が幾度も訪れたりもした。

代表的なのは「金丸の初勝利」「松山の復帰」「東京ドームでのチェイビス」だ。

金丸に関しては上述の通り『10度目の正直』でプロ初勝利をマーク。4球団競合のドラ1ということで注目度も抜群で、投げる日は常に話題の中心に置かれていた。裏では苦悩やプレッシャーもあっただろうが、マウンドではそれをおくびにも出さず投げているのはさすがとしか言いようがない。

ただ、「1勝」を挙げたことで今後は良い意味で普通にやれるはず。次回以降の登板が楽しみである。

今季からクローザーに就任した松山は、開幕から着実にセーブを挙げていた。オールスターでもファン投票で選ばれ、チームの顔になりつつあるところで、まさかの右肘疲労骨折で離脱。いなくなって分かる9回の重み。離脱直後に7連勝こそあったが、そこから乗り切れないのは、背番号90の不在は少なからず影響していた。

8月9日の帰還以降はサンプルは少ないものの、3勝2敗と勝ち越し。勝利時は全て松山がセーブを挙げている。中日は伝統的に抑え投手に恵まれているチームだ。9回の逆算から勝利をつかんできた。松山にはぜひ名クローザーの系譜を継いでもらいたい。

チェイビスは8月11日、30歳の誕生日を迎えた。来日当初から底抜けに明るいキャラクターでチームに溶け込み、当日はファンにもらったというケーキを模した帽子で球場入り。ノリノリで記念撮影に応じていた。

その笑顔が一変したのが、試合開始直後の1回裏。ファウルゾーンへの打球に飛び込み、エキサイトシートの観客に衝突。観客は大事には至らなかったものの、チェイビスは「心ここにあらず」という感じで、攻守ともに精彩を欠き途中交代を命じられた。

そこから息を吹き返す、13日の決勝ホームラン。この日には愛用のバットが届く朗報もあったようで、しっかりと自分の野球を取り戻したようだった。試合後のインタビューでは日本語で「ドラゴンズファン、愛してる!」と叫び、ファンも大声援で応えた。きっとこれからもこうやって感情を共有してくれるのだろう。

浮き沈みしながらも、プロ野球選手の人生は続いていく。そう改めて感じさせてくれる9連戦だった。ペナントレースは残り40試合を切り、順位争いは激しさを増す。そこから生まれる人間の機微をあらゆるところで感じたいと思う。

文:加賀一輝

加賀 一輝

加賀 一輝

1988年3月6日、愛知県生まれ。2016年~23年まで『スポーツナビ』にて編集・編成を担当。在職中に五輪・パラリンピックへの派遣、『Number』『文春オンライン』等への寄稿を経験。24年より独立。スポーツに関するライティング、編集、MCなど幅広く活動する。趣味は草野球で、1週間で20イニング投げることも。Xアカウント

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