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野球 コラム 2025年7月12日

吉田正尚、復帰戦で示した「自信」

MLBコラム by 山田 結軌
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復帰戦前、取材対応で笑顔をみせた吉田

さすが、そして見事な復帰戦だった。レッドソックスの吉田正尚外野手(31)が7月9日のロッキーズ戦でメジャー3年目の今季、初出場を果たした。

昨年10月に受けた右肩の手術から、リハビリを続けていた。3月のオープン戦では、DHとしてメジャーのオープン戦に出場。スイングをできる状態に右肩は回復していたが、チーム事情で外野守備を求められた。そのため試合の強度でスローングができるようになるまでリハビリを継続した。

「やっぱり雰囲気も違いますし、下(マイナー)で打っていたから上(メジャー)で打てるかという問題でもない。ここ(メジャーの試合)にきてどうアジャストするか、だと思っていた。身体が問題なければ、こっち(メジャー)でいける自信はありました」

マイナー戦のリハビリ出場は5試合。そのうち、2試合で左翼の守備についた。7月3日のマイナー3Aウースターの一員として、マイナー戦ながら、今季初めて公式戦でレフトを守った。

「(右肩の)不安なく来たので、試合に出られている。今日の(送球の)スピードも練習よりも速い球が出ました」。その後は2Aで3試合をこなした。あとはメジャーから呼ばれるのを待つだけだった。

昨年の9月27日以来、285日ぶりのメジャーの舞台。いきなりの3安打1打点の活躍でチームの勝利に貢献した。試合の出場機会さえあれば、打席にさえ立てば結果を出すはずだ。そんなファンの思いが『正解』だと示すようにヒットを重ねた。

復帰後、2度目のスタメンとなった11日のレイズ戦には「3番・DH」で出場し4打数1安打だった。1回には、レフトオーバーの二塁打。5回の第3打席は100マイル(161キロ)オーバーの打球でピッチャー返しを放つも、ショートの好守にヒットを阻まれた。吉田の言う「いける自信」は、打撃内容が証明している。

7月9日と表示されたスコアボードの前で守備練習をする吉田

★リハビリは1度、停滞した。5月上旬に右肩に炎症を緩和するコルチゾン注射を打った。「試合レベルのスローイングの時に痛みが出てしまった。そこで1回(右肩の状態が)落ちた時はちょっと先が見えなくなってしまったのでそこはちょっと(精神的に)堪えましたね」。

右肩の再強化に取り組み、チームの今季94試合目でやっとカムバックを果たした。「マサタカ、ヨシダ」の場内アナウンスには、確かに歓声が沸いた。しかし、本人は笑ってこれを否定する。

「たぶん、気のせいだと思います(笑)。ファンの方はやっぱり野球に詳しいですし、認めていただける結果をしっかり返せればいいなと思います」

レッドソックスの外野争いは激しい。昨季のオールスターMVPのデュランは左翼と中堅を守り、盗塁の能力もある。守備力がトップクラスの24歳ラファエラが中堅に入り、右翼の26歳、アブレイユも攻守に優れる。

さらに21歳の有望株のアンソニー、さらに左投手キラーとしてレフスナイダーがいる。DHを含めた4ポジションに吉田を含む6人がひしめき合い、チーム内競争が熾烈だ。

「あとはもうフロント、監督含めどう(自分を)使うかですので、自分としては出た時に最高のパフォーマンスを出せるようにしっかり準備したいと思います」

吉田の現状では、好結果がそのまま毎日の出場につながるとは限らない。出場機会で最善を尽くし、存在価値を証明する。

文/写真:山田結軌(MLBジャーナリスト)

山田結軌(やまだ・ゆうき)

山田 結軌

1983年3月生まれ、新潟県出身。立教大時代にJ SPORTSの野球班でプロ野球中継の現場でスコアブックを書くアルバイトを経験した。サンケイスポーツに2007年4月入社、阪神、広島、楽天などを担当し、2016年2月より大学時代から夢みたMLB取材を続けている。2025年2月に18年間務めたサンケイスポーツを退社しフリーに転身。

X(旧:Twitter)
@YamadaMLB

Instagram
yukiyamada_mlb

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