【広島好き】カープの交流戦を個人成績で振り返る

ファビアン（カープ）

交流戦の全日程が終了し、カープは9勝9敗で12球団中7位。勝率5割を何とかクリアした結果となりましたが、極端な「パ高セ低」となった交流戦で、セ・リーグでは最高順位でした。

これで新井貴浩監督就任以来、交流戦は3年連続で勝率5割以上となりました。衝撃的な逆転負けなどがあったものの、かつてのような「鬼門」からは脱した感もある交流戦。今季の数字を見てみると、『実は』と言いたくなる意外なものが多くありました。

まず全体ではチーム打率.265が、『実は』12球団トップの数字でした。74得点は2位、11本塁打は4位タイといずれも上位でしたが、75失点と防御率3.94がワーストの方の1位で、得失点差や投打のバランスの悪さが勝敗につながる形になってしまいました。

個人成績を見ると、打線を引っ張ったのがファビアンで、15打点は12球団でもトップの成績。チーム2位は坂倉将吾の10打点（12球団では8位タイ）、3位は末包昇大の8打点（14位タイ）でした。ファビアンは4本塁打もチームトップ（同4位）で、打率でもチーム2位の.329（同6位）と好成績でした。

その打率のチームトップは小園海斗で、.365（同3位）と、調子を戻しています。チーム3位の末包も.303をマークしており、「投高打低」の傾向の中、3割打者が3人いるのは、『実は』カープだけでした。さらにチーム4位の矢野雅哉も打率.276（同23位）と、シーズンの打率.216を大きく上回る数字を残しています。

盗塁数のチームトップは3個（同8位タイ）で、小園と羽月隆太郎龍太郎の2人が並んでいますが、交流戦全18試合にフル出場した小園に対して、羽月はわずか7試合の出場で3盗塁と、足のスペシャリストとして本領発揮といったところでしょうか。

打撃部門の上位には主軸選手の名前が並んでいますが、『実は』各部門で卓越した数字を残しているのが大盛穂です。大盛は15試合に出場していますが、当初は代走、守備固めでの起用で、打席数は規定打席の半分強の43打席に過ぎません。

それでも途中出場で、交流戦初打席となった6月8日の埼玉西武戦で本塁打を放つと、北海道日本ハム、東北楽天戦でも一発を放ってチーム2位の3本塁打、打率は.375をマークし、7打点もチーム4位（同24位）、2盗塁もチーム3位（同20位）で、出塁率と長打率を足したOPSは1.044と破格の数字を叩き出しています。

投手陣を見ると、規定投球回数以上での防御率チームトップは、『実は』森翔平で2.21（同15位）。森下暢仁が2.25（同16位）で続き、チーム3位の床田寛樹は3.32（同26位）で、シーズン防御率1.91を大きく下回る成績となっています。

勝利数では、森下と床田が2勝をマークし、森と玉村昇悟が1勝。先発で勝ち星を挙げたのはこの4人でした。奪三振数は、『実は』玉村が17でチームトップ（同13位）。チーム2位は森下と床田が13（同30位タイ）で並んでいます。

リリーフ陣で登板数チームトップだったのが、『実は』中崎翔太で7試合（同17位）。中崎は防御率0.00を記録しています。森浦大輔も7試合で並び、防御率は1.42。森浦はチームトップの5ホールド（同6位）をマークしており、同部門のチーム2位はハーンの3ホールド（同18位タイ）となっています。

リリーフで勝ち星を挙げたのは中崎、島内颯太郎、高橋昂也で1勝ずつを記録。高橋昂は2021年10月9日の巨人戦以来、1348日ぶりの勝利投手となりました。

セーブは栗林良吏とハーンの2人が1セーブずつを記録したのみで、栗林は6試合の登板で1敗1セーブ1ホールド、防御率3.60という成績でした。リリーフ陣では、勝ち星、ホールドなどはありませんが、ルーキーの岡本駿が6試合の登板で1失点のみと好投し、リーグ戦再開後も期待できそうです。

文：大久保泰伸