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4月7日のマーリンズ戦先発へ準備をするメッツ千賀滉大
もしかしたら、これまでの1勝以上に重みある白星になったのかもしれない。
メッツの千賀滉大投手(32)は、4月7日(日本時間8日)のマーリンズ戦に中5日で今季2度目の先発に臨み、5回5安打無失点と好投。チームは2−0で5連勝を飾り、千賀自身も1勝目(1敗)を挙げた。
「今のところは離脱しそうなケガはないので、ちょっと安心しています」
昨年は苦難と故障続きの1年だった。春季キャンプで右上腕に不調が生じた。復帰へ一歩進んでは、後退を繰り返した。やっとメジャー復帰した7月26日のブレーブス戦では、守備の際に左ふくらはぎを負傷した。
ポストシーズンへ向けたリハビリ中も右腕の状態が一進一退。プレーオフでようやく復帰を果たした。レギュラーシーズン1登板、プレーオフで3登板。それが千賀の2024年だった。
「去年1年間で(故障で長期離脱があり)やっぱり自分の今まで培ってきたものが、けっこう崩れたのは、正直自分の中で理解している。そこに関して、葛藤しながらやっている」
千賀の練習やキャッチボールをみていると、常に投球フォームへの意識づけの予備動作をしてから投げている。目指すボールを投げる出力がありながら、故障をしない投げ方。スピードや強度が上がれば、それは故障リスクと比例する。
ケガをしない投げ方を習得しても、出力が上がらず、相手を抑えられないなら意味がない。先発投手として責任投球回を常に投げ、チームに勝機をもたらす許容範囲の失点でゲームメークする。
そして、負傷離脱するような負荷がかかる投げ方ではなく、効率よく投球に力が伝わるフォームを習得する。日々、千賀はそのテーマに向き合って、過ごしている。
4月6日、ブルペンで変化球の握りを調整するメッツ千賀滉大
★「(球速を)落としているわけではない。とにかく自分の中でそれのケガは、やっぱりそれだけ大きかった。無理せずに、というところも、もちろんある。(状態、球速が)上がるように日々過ごしていきたい」
メッツは開幕12試合を8勝4敗で好スタートを切った。オフにはフリーエージェントの目玉だったフアン・ソト外野手を獲得するなど、ワールドシリーズ制覇に向け、大型補強を成功させた。
昨季は故障続きで、レギュラーシーズンの先発は1度だけに終わった。しかし、メジャー1年目だった2023年にはローテーションを守り、29先発(166回1/3)で12勝7敗、防御率2.98の好成績を残した。健康でシーズンを過ごすことができれば、エース級の力量があることは証明済みだ。
「マウンド上でケガのことを思うことはあんまりないんですけど、ベンチ帰った時だったり、日々の生活の中では、ケアの仕方がやっぱ全然変わってきている」
試合になれば、目の前の打者を封じることに集中する。だが、それ以外の場では常に“ケガの恐怖”と向き合っている心境をうかがわせた。「今まで培ってきたものが、崩れた」という昨年の故障。技術、フォームを再構築する。メジャー3年目は、新たな千賀滉大を作る再スタートのシーズンだ。
文/写真:山田結軌(MLBジャーナリスト)
山田 結軌
1983年3月生まれ、新潟県出身。立教大時代にJ SPORTSの野球班でプロ野球中継の現場でスコアブックを書くアルバイトを経験した。サンケイスポーツに2007年4月入社、阪神、広島、楽天などを担当し、2016年2月より大学時代から夢みたMLB取材を続けている。2025年2月に18年間務めたサンケイスポーツを退社しフリーに転身。
X(旧:Twitter)
@YamadaMLB
Instagram
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