中日ドラゴンズ、先発は高橋宏斗とマラーの2枚看板、リリーフ陣はライデル移籍をどう埋めるか。2025年戦力分析：投手編

高橋宏斗（ドラゴンズ）

3年連続最下位の屈辱を晴らす時が、いよいよ始まる。3月28日（金）、中日ドラゴンズの2025年シーズンが開幕。井上一樹新監督のもと『どらポジ』をスローガンに、チーム一丸となって戦っていくことだろう。

クライマックスシリーズ出場、そして14年ぶりのリーグ優勝に向けて、ポイントはどこになるのか。本稿では投手陣のみどころをまとめたい。

◆先発陣：高橋宏斗とマラーの2枚看板

先発の中心は若きエース・高橋宏斗と新外国人のカイル・マラーになるだろう。高橋宏は高卒4年目の昨季、12勝で防御率1.38をマーク。年間通して圧巻の投球を続け、立場を不動のものにした。

150キロを優に超える速球に、鋭く落ちる高速スプリットのコンビネーションは絶品。ナックルカーブ、カットボールの精度も高く、今季はさらなる高みを目指せる。具体的にいえば、沢村賞とチームの優勝をどうかその手で…。

マラーは本格派左腕で、アスレチックス時代の2023年に開幕投手を務めた。201センチの長身から角度のある速球を投げ込み、好調時は打者にまともなスイングをさせない。

メジャーリーガーらしい風格を兼ね備え、涼しい顔でマウンドに立つ様はローテの柱にふさわしい。渡米した小笠原慎之介（ナショナルズ）の穴を十分に埋めてくれるはずだ。

この他には来日3年目のウンベルト・メヒア、昨季チーム3位のイニング数を投げた松葉貴大に加え、柳裕也、大野雄大の実績組、プロ21年目を迎えた涌井秀章あたりが開幕直後の先発を務めるだろう。

若手・中堅では松木平優太、梅津晃大、仲地礼亜に期待。松木平は同級生で親友の高橋宏に追いつけ追い越せの精神でやってもらいたいし、梅津はストライク先行の投球ができれば一気に化けるはず。仲地は投げているボールは素晴らしく、故障を防いで1年を乗り切ってくれればと思う。

◆リリーフ陣：ライデル移籍も多士済々なメンバー

ここ5年ほどのブルペンを支えたライデル・マルティネスが巨人に移籍。絶対的クローザーが不在となり、今季は新たな「勝利の方程式」を作り上げる年だ。

オープン戦の段階では「8回に清水達也、9回に松山晋也」という、昨季の7回・8回を投げた2人がそのままスライドする形が有力。ともに侍ジャパンに選ばれるほどの実力を持ち、順当な選択といえよう。

清水、松山以外にも多士済々なリリーバーが揃っている。3年連続50登板の藤嶋健人は今季から選手会長に就任し、チーム内外で存在感を放つ。左腕の橋本侑樹は快速球と曲がりの大きいスライダーで頭角を現し、セットアッパーを狙える位置まで成長。

同じく左腕の齋藤綱記も、中日に来てからの2年間でブルペンに欠かせぬ存在に。勝野昌慶は158キロのスピードが最大の持ち味で、ベテランの祖父江大輔や岩嵜翔、福敬登は復権を誓う。そして、背番号が「30」に変わった根尾昂はロングリリーフに活路を見出し、奮闘を続ける。

◆新戦力：ドラ1・金丸を筆頭に楽しみがいっぱい

楽しみな新戦力も多い。筆頭は何と言ってもドラフト1位・金丸夢斗（関西大）だ。4球団競合の末に獲得した「金の卵」は、大学時代に腰を痛めた影響で、じっくりと調整中。

それでも春季キャンプの立ち投げでベテラン捕手を唸らせるなど、早速モノの違いを見せている。本稿執筆時点（3月26日）で、二軍戦の実戦登板に向けたGOサインが出ており、まもなくベールを脱ぐことになりそうだ。順調にいけば大型連休の9連戦で一軍デビューもあるか。

ドラフト2位・吉田聖弥（西濃運輸）は、金丸より早く一軍のマウンドに立つかもしれない。春季キャンプからオープン戦にかけて一軍に帯同しており、二軍でも先発として経験を積んでいる。余談だが整った顔立ちの持ち主で、ローテに入ればかなりの人気が出そうだ。

外国人は先述のマラー以外にも期待の存在がいる。新守護神候補として獲得したジュニオル・マルテは、常時155キロ以上の速球と落ちるボールで三振奪取能力が高い。ナッシュ・ウォルターズは実績こそマルテに劣るが、こちらも160キロ近いボールを投げ込み、思わぬ掘り出し物になるかもしれない。

現役ドラフトでやってきた伊藤茉央（楽天）は、自慢の高速シンカーで居場所を掴めるか。ソフトバンクから加入の三浦瑞樹（育成）は支配下登録が濃厚で、一軍で見られる機会はそう遠くないだろう。

文：加賀一輝