今永昇太、AIが予測する2025年シーズン成績：昨季に比べ、与四球が増えることで勝利数が減り、防御率が悪化

今永昇太（カブス）

昨シーズンに続き、今シーズンも『Opta』のAIによる成績予測を掲載する。第4回は今永昇太（カブス）だ。

昨季センセーショナルな活躍でファンを沸かせたシカゴの先発左腕、今永昇太の予測だが、AIの予測する今永の2年目を確認する前に、左腕のルーキーイヤーを振り返っておこう。

登板29 先発29 投球回173.1
防御率2.91 勝利15 敗戦3 奪三振174
与四球28 与死球3 自責点56 失点66
被安打149 被本塁打27 奪三振率6.21
与四球率1.45 被本塁打率1.40 被打率.225
BABIP.264 FIP3.72 WHIP1.02

まさに圧巻と言える成績である。チームではエースと称するに値する数字であり、ナ・リーグ全でみても防御率、勝利数、WHIP、BABIPで3位、クオリティスタート（19）で4位、与四球率で2位にランクインしたほか、堂々のトップに君臨したK/BB（奪三振と与四球の比率）では、リーグ唯一の6台となる6.21をマーク。

ナ・リーグの先発投手では投手三冠で、サイ・ヤング賞を受賞したクリス・セールに次うで事実上、ナンバー2左腕となり、シーズン終了後の新人王投票で4位、そしてサイ・ヤング賞投票で5位に入った。

では、そんな今永に対し、AIが予測した2025年の成績は次の通り。

登板28.63 先発28.63 投球回173.61
防御率3.94 勝利10.26 敗戦9.06 奪三振174.54
与四球41.34 与死球5.91 自責点75.98 失点83.59
被安打152.16 被本塁打26.38 奪三振率9.05
与四球率2.14 被本塁打率1.37 被打率.231
BABIP.289 FIP4.04 WHIP1.11

デビューから2年連続で大活躍できるほどメジャーは甘くない、とAIは見ているようだ。

それぞれの数字をつぶさに照らし合わせてみると、今年の今永は昨年とほぼ同じ数の試合に先発登板し、ほぼ同じイニングを投げ、ほぼ同じだけ三振を奪い、許す安打も本塁打もあまり変わらないながら、やや与四球率が悪化したことで、防御率が1点以上高くなってしまい、8割以上あった勝率は5割ちょいまで落ちてしまう、ということになる。

もし、本当にこの通りの結果になると仮定すると、昨季のカブスは今永の登板試合で大幅に勝ち星を稼いでいただけに、かなり大変なシーズンになってしまう。振り返ってみれば、昨年もAIは今永の与四球予測を3.35と高めに設定しており、今永はメジャーで四球が増えるという考えに拘泥しているようだ。

言うなれば、ジャンケンでチョキを出し続ける人、みたいな感じだが、今年の予測に関しては、悪化したといっても、与四球率2.14は昨年のメジャーのスタッツを参照すると、規定に達した投手ではMLB全体で16番目に良い数字であり、防御率が1点以上高くなる要因となり得るのか、首を傾げたくなる。

ただ、参考までに、昨季MLBで与四球率が16番目に良かったベイリー・オバー（ツインズ）の成績を見てみると、驚くほどAIが予測する今永の2025年シーズンと似ていることに気が付く。

昨季、ミネソタの先発右腕は奪三振率9.62、与四球率2.17、被打率.208、被本塁打27、WHIP 1.00、クオリティスタート18と高い水準の数字をマークしながらも、防御率はMLB全体で41位の3.98だったのである。

防御率とその他の数字の釣り合いが取れていないように思えるが、オバーの場合、ゲームログに目を通すと、その理由が明らかになる。1回1/3しか持たずに自責8を喫した3月31日のロイヤルズ戦を筆頭に、5月18日のガーディアンズ戦（4回、自責5）、5月29日のロイヤルズ戦（5回、自責6）、8月29日のブレーブス戦（2回、自責9）と、ちょいちょいマウンド上で炎上しているのである。

思い返してみると、昨季の今永にもこれがなければというゲームが2試合だけあった。4回1/3で自責7を喫した5月29日のブルワーズ戦と、3回で自責10と大炎上した6月21日のメッツ戦である。

以上から読み取れるのは、AIは今季の今永が昨年以上に多くの試合で炎上すると見ているということである。そう考えると、これはこれで深い洞察と言えなくもないし、恐らくこの辺がAIによる精一杯の大胆予測なのであろう。