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森下暢仁(カープ)
沖縄春季キャンプ打ち上げ前日の2月25日に、新井貴浩監督が今季の開幕投手が、森下暢仁になることを明かしました。プロ6年目で初の大役となる森下ですが、今回はこれまでカープのエースと呼ばれた投手の『初めての開幕投手』について調べてみました。
◆北別府学
まず、カープ球団単独では唯一の200勝投手で球団最多の9度、開幕投手を務めた北別府学の初陣は、プロ7年目の1982年。生涯成績が52勝27敗という相性のいい中日相手に、9回被安打3、無四球の完封勝利を挙げています。
この年の北別府は開幕から11連勝という快進撃で、当時全盛期とも言えた江川卓(巨人)との壮絶な最多勝争いを制し、最終的に20勝8敗、防御率2.43という自身キャリアハイの成績で、沢村賞も獲得してエースの座を不動のものとしています。
◆大野 豊
北別府は1982年から1989年までの8年間で7度、開幕投手を務めていますが、空白の1985年に開幕投手となったのが大野豊です。プロ9年目で初の大役となった大野は、広島市民球場での阪神戦で延長10回を1人で投げきり、チームがサヨナラ勝ちして10回7安打3失点で勝利投手となりました。
この年の大野は10勝(7敗)をマークしていますが、シーズン途中からはリリーフにまわり、32試合の登板で2セーブも記録し、防御率は4.06となっています。
◆佐々岡真司
ルーキーイヤーから先発、抑えとフル回転し、通算138勝、106セーブをマークした佐々岡真司が、初の開幕投手となったのがプロ6年目の1995年。広島市民球場での横浜戦で8回被安打3、無失点の好投で勝利投手となっています。
この年は先発として好スタートを切りましたが、抑えでスタートした大野が不調で先発に配置転換となり、シーズン途中から佐々岡が抑えを務めました。
最終成績は44試合登板で7勝7敗17セーブ、防御率3.05。ともに100勝100セーブを記録しているレジェンド2人が、初の開幕投手を務めたシーズンで、いずれもシーズン途中でリリーフに配置転換となっているのは、面白い偶然と言えそうです。
◆黒田博樹
カープのもう1人の200勝投手、日米通算203勝をマークした黒田博樹が初の開幕投手となったのは、プロ7年目の2003年でした。神宮球場のヤクルト戦で、9回被安打7、1失点で完投勝利をマークしています。
この年の黒田は、8月の横浜戦で完封勝利を挙げてプロ通算50勝をマークするなど、自身3年連続2ケタ勝利となる13勝(9敗)、防御率3.11をマーク。投球回数205回2/3で自身初となる200イニング超えも果たしています。
◆前田健太
先発投手不足に苦しんだ、2010年代前半のカープを支えた前田健太が初の開幕投手を務めたのは、プロ4年目の2010年。最有力だった大竹寛が故障で出遅れての抜擢は、ナゴヤドーム(現・バンテリンドーム)の中日戦で8回を投げて被安打4、1失点で勝ち投手となっています。
この年の前田は7月中旬まで防御率1点台をキープし、前半戦だけで11勝をマークして、自身初となるオールスターゲームに出場。後半戦もその勢いは衰えず、最終的に15勝8敗、防御率2.21、174奪三振で史上最年少、球団史上初となる投手三冠(最多勝、最優秀防御率、最多奪三振)に輝き、沢村賞も獲得と大ブレイクのシーズンとなりました。
◆大瀬良大地
初の開幕投手となった2019年から2023年まで、4連続連続開幕投手を務めたのが大瀬良大地。プロ6年目での初の大役はマツダスタジアムでの巨人戦で、8回を投げて被安打7、11奪三振で無失点の快投を見せて勝利投手となりました。
この年の大瀬良は、4月の中日戦でルーキーイヤー以来となる完封勝利を挙げるなど、前半戦で6勝を挙げて自身初となるファン投票1位でオールスターに出場。シーズン中盤には自身4連敗を喫するなど苦しい時期もありましたが、最終的に11勝9敗、防御率3.53で自身3年連続となる2ケタ勝利を記録しています。
こうしてみると、カープで歴代エースと呼ばれた投手は、初の開幕投手で完封、完投、またはそれに準ずる投球で全て勝ち投手となっています。森下のプロ6年目というキャリアも平均的な年数ですが、開幕戦の快投で真のエースへ飛躍することができるか。注目したいと思います。
◆カープ開幕投手(1980年以降)
1980・81:池谷公二郎
1982~84:北別府学
1985:大野豊
1986~89:北別府学
1990:大野豊
1991:長冨浩志
1992:川口和久
1993~94:北別府学
1995:佐々岡真司
1996:大野豊
1997:山内泰幸
1998:大野豊
1999:N.ミンチー
2000~02:佐々岡真司
2003~07:黒田博樹
2008:大竹寛
2009:C.ルイス
2010~12:前田健太
2013:B.バリントン
2014~15:前田健太
2016・17:K.ジョンソン
2018:野村祐輔
2019~23:大瀬良大地
2024:九里亜蓮
文/写真:大久保泰伸
大久保泰伸
フリーライター、編集者。1969年広島市生まれ、現在は神奈川県在住。出版社勤務を経て、20世紀の終わり頃に独立。別冊宝島野球シリーズの執筆、編集や広島などのOBの著書の編集協力などを行い、同社のプロ野球選手名鑑は創刊時から現在まで関わる。記者活動は2009年にベースボール・タイムズ紙の広島担当でスタートし、15年から野球専門サイトのフルカウントで広島、18年からはDeNA担当も兼務した。
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