宮崎キャンプで見たベテランの覚悟

　

J SPORTSコラムをご覧の皆さまお久しぶりです。

まだ少しだけ昨シーズンの余韻を引きずった気持ちのまま、早いもので球春到来、気がつけばオープン戦が始まっています。
宮崎春季キャンプ、今年は終盤に見に行くことができました。

京セラドームでよく見かける顔見知りの方々に久しぶりに会えたり、私のことを知って下さっているオリックスファンの方にも何人か声かけていただいたりして、ありがたくてうれしい限りです。なぜか試合の時より和気あいあいとしゃべることができて、選手との距離もですが、ファン同士の距離もいつもより少し近くなるところもキャンプの魅力の一つだなと感じます。ただ、ちょっとのつもりで声をかけて下さった方すみません（汗）気をつけるようにはしていますが、私、話が長くなりがちです（笑）

私が行ったのは2月22日(土)。ライブBPを見るために、まずはメインスタジアムへ。
ライブBPとは、ライブバッティングプラクティスの略で、投手が実際に打者を打席に立たせて投球をする練習方法のことだそうです。
久しぶりに生で見るプロの投球は、調整とはいえ迫力満点。ピッチャーもバッターもキャッチャーも全員オリックスの選手。まさに眼福！

野手のメニュー表ではライブBP終わりにランチとなっていましたが、メイングラウンドではそのまま、野手陣が練習を続けていました。

風岡尚幸コーチのノックを受けて、守備練習をする西野真弘選手と大城滉二選手の姿にすっかり心を奪われて、お腹が鳴っているのも忘れて見入ってしまった私。

「え！？なんでそのバウンドで来た球をそのタイミングと角度で捕球できるん？もしかしてちょっとだけ予知能力ある？」と思ってしまうようなナイスプレーを、いとも簡単そうに何度も続けるサード西野選手の職人技。まるでボールが勝手にグラブに吸い込まれていくようです。

そして大城選手の、とてつもなく正確で華麗なグラブトス。とにかく捕球してからの動作が素早すぎて思わず「おおっ」と何度も声が洩れてしまいました。ショートとセカンド、両方の練習をされていて、久しぶりに「ショート大城滉二」を生で見ることができたのも、すごくうれしかったです。

大城選手がたまにボールを逃すと、「コ〜ジ〜！」と西野選手がエールを送る声にもまたグッときて、この布陣、早く試合でも見たすぎる！

　

選手のお二人はもちろん、いろんな想定の打球を正確に打ち分けてノックを続ける風岡コーチのすごみにも惚れ惚れ。少ない言葉でスムーズに進む練習風景に、コーチと選手の信頼関係も伺えます。

しばらくして風岡コーチが「大丈夫か？自分で線引けよー」と仰ってからもしばらく練習は続きました。「ラスト！」と言ってからもまた何度も。こちらからは完璧に見えても、何かに納得がいくまで続けている様子でした。気がつけばお昼はとっくに過ぎて時刻は12時半。

お二人にとってはごく当たり前の練習だったのかもしれませんが、ファンというのは目の前の光景から勝手に頭の中でドラマを作ってしまうものです。練習後、まるで高校球児のような大きな声で「ありがとうございました！」と挨拶をした後、自ら丁寧にトンボをかけてきれいに後片付けをしてグラウンドを去るその姿に、昨年けがで悔しい思いをしたベテラン選手お二人の今年にかける覚悟を見た気がして、すごく胸が熱くなりました。

お昼ごはんを食べ、しばらくして再びメイングラウンドへ。そこでまた京セラドームでよく会う常連男性の方と、この日二度目のばったり。
「おう石原ちゃん、さすがにもう誰もいてないで〜」
階段の踊り場でしばし立ち話しながらサブグラウンドに目をやると、遠くからでもはっきりわかるぐらい顔を真っ赤にしてバットを振り続ける内藤鵬選手の姿が見えました。

「あんな姿見せられたら、負けても簡単に文句なんて言えませんねー」私が言うと
「そやねん！一生懸命な姿見てそう思えるとこが、ここまで来て練習見て良かったなーって思うとこやねん」
カメラを抱えて少年のように目をキラキラさせているオジサンと、しゃべっているうちに感極まって堪えていた涙が鼻から出てしまっているオバサン（私）。

今年はどんなシーズンになるのか。

いろんなことがあって、きっと良いことばかりじゃないけど、良いことばかりじゃないから、うれしいことがあると、余計にめちゃくちゃうれしく感じられるはず。何が言いたいんやろ私。

期待も不安もいろんな思いを全部そのまま持って、今年もオリックス・バファローズを精一杯応援させてもらいます！

皆さま今シーズンもよろしくお願いします。

文：チキチキジョニー 石原祐美子