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今永昇太投手
メジャー初の開幕投手に向け、調整は順調だ。カブスの今永昇太投手(31)は2月21日に米国ではシミュレーションゲームと呼ばれる試合形式の投球練習に登板。打者10人を想定して、39球を投げ5三振と好投した。2安打(1本塁打)されたが、2イニング目の3アウト後に球数調整のために追加打者に投げた3人目。マイナー選手に投じた直球は、ガシャンという音を立ててライトフェンスを越え、室内練習場の鉄製の壁にぶつかった。
「まあ本当だったら3アウトで代わっているので、という言い訳をさせてください」
ジョークを言う笑顔が順調なメジャー2年目を象徴しているようだった。それでも投じた1球は思わず声を出して投げた直球。打球を見つめ、悔しそうにグラブを叩く仕草を見せた。最速は92マイル(約148キロ)。
「僕は総合力で勝負しないとボールの単体だけでは勝負できないピッチャーであるとは思う。今日みたいに自分が真っすぐいきたいなと思っていても、やっぱりスプリットが出たりとか、そういった投球が必要じゃないかなと思います」
登板後の取材では反省点を言い聞かせるように語った。
次回の実戦投球は、中5日で2月27日(日本時間28日)のエンゼルス戦。3月18日の開幕戦に向け、いよいよオープン戦初先発に臨む。
開幕投手の大役を伝えられた時期の明言は避けたが「聞いた時はある程度、頭の中にはありましたし、非常に光栄な気持ちです」と話した。日本のメジャー開幕戦。ルーキーイヤーだった昨季、15勝3敗、防御率2.91の好成績を残した。少なからず手応え、自信があったからこそ「頭の中にあった」のではないだろうか。2月18日に球団が今永の開幕投手を発表。翌日19日の朝、クラブハウスがメディアに解放されると地元シカゴと日本メディアが背番号18のロッカー前に陣取り、約15分に渡り質問を続けた。そこでは、実に今永らしいと言うべきか、先人への感謝の思いを日米のメディアを通して伝えた。
「まずはじめに自分が考えないといけないのは、過去にMLBに挑戦してきた日本人選手の歴史の上に(ドジャースの山本由伸投手と)僕らが投げ合うことが注目されている。まずは過去の日本人の選手たちに感謝を申し上げますし、そういった方々のおかげで僕らがこういうふうに注目してもらえるとはすごくうれしいです」
さらには、自身の周囲へも。
「今年プロ10年目ですけど10年前の自分にメジャーに行って東京で開幕して東京で投げるよと言われても、当時の自分は信じないと思う。それくらいの実力だった。ここまで育ててもらった僕の野球人生に携わってくれた方々にすごく感謝の気持ちです」
調整は順調そのもの。オープン戦登板の実戦マウンドで課題を見つける作業に入る
(文・山田結軌=MLBジャーナリスト)
山田 結軌
1983年3月生まれ、新潟県出身。立教大時代にJ SPORTSの野球班でプロ野球中継の現場でスコアブックを書くアルバイトを経験した。サンケイスポーツに2007年4月入社、阪神、広島、楽天などを担当し、2016年2月より大学時代から夢みたMLB取材を続けている。2025年2月に18年間務めたサンケイスポーツを退社しフリーに転身。
X(旧:Twitter)
@YamadaMLB
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