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佐々木朗希投手
タイトルが文字通りの意味で私が主張するとすれば、誤解を招くに違いない。だけど、半分本気で半分は違う意味がある。
『佐々木は日本で1年間を通してローテーションを守ったことがないのに、メジャーの中4日での先発ができるのか?』
日本には、こんな論調があるかもしれない。だが、そもそもドジャースは佐々木に対してメジャーの先発投手が務める中4日で30~32先発を“今すぐ”期待しているわけではない。成長過程の投手として、数年をかけて育成していく、そして将来的にはエースとして、中4日、中5日でローテーションを回ってほしい、と見込んで獲得に乗り出したはずだ。
つまり現状で佐々木は、いわゆる「プロスペクト」と呼ばれる、有望株の若手選手、という位置づけだ。それが今回、獲得に参戦した各球団の共通認識ではないだろうか。
むろん、佐々木も自身が成長過程の投手という自覚がある。
「まずは1年間通して自分のいい時のパフォーマンスを維持できるかが、一番大事になる」
1月23日、ドジャースタジアムで開催された入団会見で佐々木は、そうコメントした。そして「今はマイナー契約なので、まずはメジャー契約を、厳しい競争を勝ち上がってメジャーの舞台でプレーすることです」と続けた。
2024年、パイレーツでポール・スキーンズ投手(22)がメジャー1年目で23先発をこなし、133イニングを投げた(11勝3敗、防御率1・96)。100マイル(161キロ)を投げるスーパールーキーで、佐々木との比較では体格もよく、“ある程度整った”投手でありながら、先発登板では中4日はなし。中5日で19先発、中6日以上で4先発だった。佐々木も中5、6日以上の登板間隔を開けながら、慎重にメジャーへの適応を進める。日本投手では近年の成功例がある。メッツの千賀滉大投手(31)はメジャー1年で29先発のうち、中4日は3度のみ、ドジャースの山本由伸投手(26)は中4日の登板はなかった。代理人を務める大手代理人事務所ワッサーマンのジョエル・ウルフ氏は「メジャー移籍の初期はなるべく日本時代と同じような登板間隔、調整方法で順応を進めてさせてあげたい。ただでさえ、気候、食事、文化、移動など大きく環境が変化することに慣れる時間が必要だ」と話している。例えば、ウルフ氏は自身の抱える選手たちが入団する球団に対しては、メジャー1年目は、日本のキャリアでの年間最多イニング数から●%減でマネジメントしてほしい、というような内容で交渉のプロセスを進めてきた過去がある。佐々木もメジャー全体では「超有望な若手選手の1人」とみなされ、現状での契約と扱われ方は上位のマイナー選手だ。それゆえ、育成のプログラムでは大きな故障がないように慎重に進められるはずだ。
日本のファンは、開幕から100球で6~7イニングを任され、ガンガン投げる、という姿を期待するかもしれないが、それは少し先になるだろう。“過保護”にみえる扱いは、佐々木がメジャーのスーパーエースになるために必要なステップになるはずだ。
(文・山田結軌=サンケイスポーツMLB担当)
山田 結軌
1983年3月生まれ、新潟県出身。立教大時代にJ SPORTSの野球班でプロ野球中継の現場でスコアブックを書くアルバイトを経験した。サンケイスポーツに2007年4月入社、阪神、広島、楽天などを担当し、2016年2月より大学時代から夢みたMLB取材を続けている。2025年2月に18年間務めたサンケイスポーツを退社しフリーに転身。
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