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トレード移籍が、現実味を帯びてきた。カブスでメジャー3年目を終えた鈴木誠也外野手(30)は来季、違うユニホームでプレーするかもしれない。12月の上旬にニューヨーク・ポスト紙の敏腕かつ辛口ジャーナリストのジョエル・シャーマン記者が「カブスはセイヤ・スズキかベリンジャーをトレードすることを“決定”した」と報じた。
12月13日には、カブスが、アストロズからカイル・タッカー外野手(27)をトレード獲得。主にライトを守り、メジャー7シーズンでの通算OPS(出塁率+長打率).870を誇る強打の左打者だ。現状では、カブスはコディ・ベリンジャー外野手(29)が一塁に入る。鈴木は、DHでの起用が基本線となりそうだ。
ただ、この「レギュラーDH」としての方針が、「鈴木を巡るトレード話」のきっかけになっている。12月9日から12日まで開催されたウインターミーティングで鈴木の代理人を務めるジョエル・ウルフ氏(54)は、その可能性について「トレードされるか検討するだろう。誠也の契約はトレード拒否権を持っているがオープンマインドだ」と語った。
ウインターミーティング期間でウルフ氏は、カブスのジェド・ホイヤー編成本部長と会談を行い、鈴木の移籍について意見交換したという。
鈴木は、DHではなく、外野手として守備につきたい希望があるはずだ。ウルフ氏の「誠也が日本からポスティングされたとき、フルタイムのDHとして出場してくれと言われていたら、彼がその球団と契約していたとは思わない。だからDH起用はうれしいことではない」というコメントに鈴木の外野手としてのプライドが読み取れる。
一方でカブスは今季132試合(ライト72試合、DH59試合、代打1試合)で21本塁打、出塁率.366、打率.283の好成績を残した鈴木は、打線の中核。簡単にトレード放出するわけにはいかない。だからこそ、ウルフ氏も「誠也をトレードしたいとは(カブスは)思っていないと思うが、断れない取引だと感じるようなシナリオも出てくるかもしれない」といいながら「可能性は低いと思う」と語っていた。
ただこの談話は、タッカーのカブス加入前の話。そして、タッカーのレギュラーライトとしての起用は、ほぼ確実になった。センターには、クロウ・アームストロング、レフトにはハップ、そして「レギュラーDH」は鈴木……と布陣が固まりつつある。
5年総額8500万ドル(現在の為替レートで約127億4000万円)で2022年に入団。残りの契約は、年俸1900万ドル(約28億5000万円)で2年間だ。今季のようにOPS.848をマークする打者として、現在のメジャー選手の年俸相場としては“お手ごろ”な金額だ。つまり、基本的に移籍先の球団が負担するこの年俸は許容範囲内だろう。年俸が、その球団にとって高すぎると判断されれば、トレードの成立は難しい。年内、あるいは来春のキャンプ前、そしてシーズン中のどかかで…。誠也はカブス以外のユニホームを着ているのだろうか。
(文・山田結軌=サンケイスポーツMLB担当)
山田 結軌
1983年3月生まれ、新潟県出身。立教大時代にJ SPORTSの野球班でプロ野球中継の現場でスコアブックを書くアルバイトを経験した。サンケイスポーツに2007年4月入社、阪神、広島、楽天などを担当し、2016年2月より大学時代から夢みたMLB取材を続けている。2025年2月に18年間務めたサンケイスポーツを退社しフリーに転身。
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