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大谷翔平選手
目の前の状況でベストな結果を得るために最善を尽くす。快挙の連続と前人未到の記録を打ち立て続けた背景には、チームの勝利だけにフォーカスし続けた姿があった。ドジャースの大谷翔平選手(30)は史上初の「50本塁打、50盗塁」を達成。最終的には54本、59盗塁、134得点はいずれも日本選手のシーズン最多記録を更新した。レギュラーシーズン最終戦を前に三冠王の可能性もあった。だが、最高の打撃タイトルを前にしてもそれを狙う考えは全くなかった。
「それはあんまり考えていなかったですかね。どのくらいの(打率の)差があるのか、良く分かってないですし、とりあえず自分のいい打席を送りたいと思っていた」
5厘差で臨んだ162試合目。周囲の期待感をよそに本人は、至って平常心で無関心だった。このスタンスは、今季たびたび試合後の会見で繰り返されてきた。目の前の打席に全力をかける。好結果と記録は、後からついてくる、との姿勢を貫いている。
「ホームランは狙ったら出ないものだと思うので本当に自分のいい打席を積み重ねていくのが、一番近道じゃないかと思っていた」
さらには9月17日のマーリンズ戦(マイアミ)で48号2ランを放ってメジャー通算219本塁打、秋信守(チュ・シンス、韓国)を抜いてアジア出身の選手として単独最多となった。このときも「(記録は)分からなかったので、それはいいことですし、一個でも多く積み上げていければいい」と語った。さらに「まだまだキャリアの途中ですし、あまり今の数字がどうのこうのというのは、気にしなくていい。まあ、終わったときに『このくらいやれたな』と確認すればいい」と続けた。
50-50が近づいた際には「最後に振り返れば、もちろんいいかなとは思う」と同じように返答していた。シーズン中盤には「チームが変わっているのであまり今年は自分の数字がどうのこうのみたいなのを気にする余裕があまりない」と移籍1年目の新チームで必死な毎日を送っていた。
メジャー7年目で初めての10月戦線に臨む。大谷のレギュラーシーズンの出場通算860試合は、ポストシーズン未経験の現役選手として最多記録だった。
「ここから先はシーズン中に積み上げた成績とか数字は意味ないですし、しっかり自分の調子を維持する。気持ちを切らさずにまず、その間の日(地区シリーズまで試合のない日程)を過ごしていきたい」
勝利に飢えた大谷は、短期決戦でどんな集中力を発揮するのだろうか。
(文・山田結軌=サンケイスポーツMLB担当)
山田 結軌
1983年3月生まれ、新潟県出身。立教大時代にJ SPORTSの野球班でプロ野球中継の現場でスコアブックを書くアルバイトを経験した。サンケイスポーツには2007年4月入社。阪神、広島、楽天などを担当し、2016年2月より大学時代から夢みたMLB取材を続けている。
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