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野球 コラム 2024年9月2日

調子を上げる藤浪晋太郎にメジャー昇格はあるのか

野球好きコラム by 山田 結軌
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メッツ傘下3Aで過ごす藤浪晋太郎

場所はニューヨークから西へ約150キロ、ペンシルベニア州リーハイバレーという田舎町。メッツ傘下3Aシラキュースが、フィリーズ傘下3Aリーハイバレーに遠征しているタイミングで藤浪晋太郎投手(30)のもとを訪れた。

「シーズンの初めからしたら、かなりいい状態。ただ(メジャー)40人枠ではないのでパッと上がれるかといわれれば、そういうものではない。悪くないとは思いますけど、うーん、まあまあ。全体的にいいバランスで投げられている日は多いと思います」

2月14日にメッツとの契約が正式発表された。1年のメジャー契約で年俸は335万ドル(当時のレートで約5億円)。メジャー契約ではあるものの『本人の同意なしにマイナー降格できない』という条項はなかった。メジャー40人枠には入っているものの、開幕前にマイナー通告をされていた。昇格を目指す中、右肩を負傷。実戦復帰のタイミングでメジャー40人枠を外れる措置の通告(DFA)を受けた。昨季のように7月のトレード期間で優勝を争うチームに移籍する、あるいは、メッツでメジャーに呼ばれる、ということなく9月を迎えた。

「けが明けからは、割と一つのことに集中していい感じに継続できている。そういう意味でも迷いがない」

投球をできないリハビリ期間には、フォームや感覚の見直しに時間を使った。“けがの功名”が好投につながっている。

「シーズン当初は、すごく、こう…自分が思った通りにいかなかったり、ああでもない、こうでもない、とずっと迷いながら、技術的、フォーム的に迷いながら、日々を送っていました」

迷走はそのまま成績不振になり、メジャー昇格へのチャンスは時間とともに過ぎていく。それでも、向上するために新たに多くのことを試し、チャレンジする気持ちを持ち続けることも藤浪の能力。メジャー1年目の昨季“V字回復”したように、6月25日に右肩負傷から1Aや2Aなどのマイナー戦に復帰後の投球内容は、いつメジャーに呼ばれてもいい、という成績を残し、投げるボールの質は高い。

復帰後は、17試合(20回2/3)で防御率2・18の好成績。8月31日時点で5試合連続無失点を継続中だ。

「けが中に一つ、発見じゃないんですけど、再認識できて『あ、コレかな?』というのを継続できてやっている。(フォームの)よかった部分、悪かった部分を自分で判断がきている」

練習などで取り組む技術的なポイントで「基準がある」と投球の安定につながっている。8月31日のリーハイバレー戦では、最速98・7マイル(158・8キロ)をマークし、2回1安打無失点(無四球)と好投でアピールした。ただし、ポストシーズンの出場資格は、9月1日を迎える前にメジャー40人枠に入る必要がある。仮に今季中の昇格があっても、プレーオフで投げる機会はない。ただ、9月からは26人のメジャーベンチ入り枠が26人から28人に増える。“枠問題”はあるものの、今季中にメジャーのマウンドで投げるチャンスは残されている。

「自分のスキルアップのために1カ月を使いたいですし、今自分がやるべきこととか、目標とか、技術的なこと、フォーム的なことが定まっているのでそれを磨く1カ月にしたい」

藤浪は、静かに落ち着いて己のやるべきことに集中している。メジャーに上がれても、上がれなくても、日々全力を尽くす未来に希望があることは間違いない。

MLB(メジャーリーグ)

(文・山田結軌=サンケイスポーツMLB担当)

山田結軌(やまだ・ゆうき)

山田 結軌

1983年3月生まれ、新潟県出身。立教大時代にJ SPORTSの野球班でプロ野球中継の現場でスコアブックを書くアルバイトを経験した。サンケイスポーツには2007年4月入社。阪神、広島、楽天などを担当し、2016年2月より大学時代から夢みたMLB取材を続けている。

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@YamadaSANSPO

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