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野球 コラム 2024年8月28日

【広島好き】首位カープ、9月の連戦で鍵を握る4本柱以外の投手は?

野球好きコラム by 大久保泰伸
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マツダスタジアム

レギュラーシーズンも残すところ1ヶ月となりましたが、8月26日終了時点(以下、成績などの数字は全て同じ)でカープは首位をキープしています。リーグ3連覇を果たした2018年以来となる優勝に向け、勝負の9月を迎えるわけですが、懸念されるのが試合日程です。

昨今の異常気象のせいもあってか、今季は雨天中止がマツダスタジアムで5試合(うちノーゲーム1)、ビジター球場で4試合と計9試合もあり、他のチームは試合数が減ってきますが、カープの9月は6連戦から7連戦を挟み、また6連戦と続きます。

そこで心配になるのが先発投手のやりくりですが、今季は大瀬良大地、床田寛樹、森下暢仁、九里亜蓮の4本柱がリーグトップクラスの安定感を見せています。

大瀬良、床田、森下がいずれも防御率1点台で、先発投手が6イニング以上を投げて3失点以内のクオリティ・スタート(QS)率も床田の95.0%を筆頭に、森下88.2%、大瀬良73.7%のハイアベレージで、九里も防御率こそ3点台ですが、QS率は66.7%をマークしています。

この『ローテ』の4人は盤石なだけに、カギを握ることになりそうなのが、いわゆる『裏ローテ』と呼ばれる投手ですが、今季ここまでの成績を振り返りながら、『勝負の9月』のキーマンになりそうな投手を探ってみたいと思います。

今季、ここまでの110試合で、4本柱以外の投手が先発したのは36試合。アドゥワ誠、玉村昇悟、ハッチ、森翔平、野村祐輔、黒原拓未の6人が起用されています。

成績を見ると、アドゥワが6人の中で最多の15試合に先発して6勝3敗、防御率3.02と、4本柱に劣らぬ成績を残しています。続くのが玉村で10試合に先発して3勝4敗、防御率2.85をマーク。ハッチが5試合で0勝3敗、防御率7.36、森が2試合の先発で1勝1敗、防御率4.00、野村も2試合の先発で0勝1敗、防御率2.70となっています。

黒原は開幕2戦目の先発を任されるなど、当初は先発ローテの一角として期待されていましたが、今季初登板の試合ではわずか3球を投げただけで危険球退場となり、2戦目も5回1失点ながら負け投手となり、以降はリリーフに配置転換。ここまで38試合に登板して4勝2敗2ホールド、防御率2.08と違う形でチームに貢献しています。

個人成績だけでなく、先発試合でのチームの勝敗を見ると、ここでもアドゥワが11勝4敗と高い勝率を残しています。対照的に玉村は4勝6敗と負け越しており、ハッチに至っては1勝4敗と、チームの勝利につながる投球はできていません。森、野村はいずれも1勝1敗で、森は5イニングと4イニング、野村はいずれも5イニングで降板と、似たような結果に終わっています。

アドゥワと玉村の成績を深掘りしてみると、アドゥワは6回以上を投げたのが7試合でQS率は46.7%。8月6日には巨人との首位攻防戦でプロ初完封勝利をマークしています。玉村も6回以上を投げたのが7試合で、こちらはQS率70.0%の好成績。7月30日と8月12日には、いずれも横浜DeNA戦で2試合連続完投勝利を記録して、夏場の苦しい時期のリリーフ陣を助けています。

カード別に見ると、アドゥワが巨人と横浜DeNAから2勝ずつを挙げており、特に巨人戦は3試合で対戦防御率1.83と好相性。逆に横浜DeNA戦は最多の5試合に先発して2敗を喫しており、防御率も3.96となっています。玉村はセ5球団相手に勝ち投手となったのは、前述した横浜DeNA戦の2勝のみですが、中日戦では2試合に先発して勝ち負けなしも、防御率1.50と好投しています。

優勝争いのライバルとなるもう1チーム、阪神相手にはハッチが1試合のみの先発で勝ち投手になっており、森は2試合の先発がいずれも阪神戦で、今季初登板で初勝利をマークしています。ただ、2人とも勝ち試合でも5回で降板しており(ハッチ1失点、森は無失点)、いずれにしてもリリーフの助けが必要になりそうです。

残り30試合余り、『裏ローテ』の先発でどれだけ勝ち星を稼げるのか。ここまで『マジック』とも呼ぶべき巧みな選手起用を見せている新井貴浩監督ですが、全てが決する9月の先発起用に注目しましょう。

文:大久保泰伸

大久保泰伸

フリーライター、編集者。1969年広島市生まれ、現在は神奈川県在住。出版社勤務を経て、20世紀の終わり頃に独立。別冊宝島野球シリーズの執筆、編集や広島などのOBの著書の編集協力などを行い、同社のプロ野球選手名鑑は創刊時から現在まで関わる。記者活動は2009年にベースボール・タイムズ紙の広島担当でスタートし、15年から野球専門サイトのフルカウントで広島、18年からはDeNA担当も兼務した。

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