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野球 コラム 2024年8月8日

【広島好き】今季のカープは1991年に優勝したチーム状態に近い?

野球好きコラム by 大久保泰伸
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広島東洋カープ

8月7日終了時点で、8月は負けなしの7連勝。2位巨人と2ゲーム差の首位と、開幕前の大方の予想とは裏腹に、ひょっとすればひょっとする、状況になっています。

※数字は8月7日現在。

12球団ワーストだった完封負け15試合は、6日に巨人に完封勝ちしたことでワーストではなくなりましたが(巨人が今季16度目の完封負け)、歴史的とも思える貧打をチーム防御率2.16という、こちらも歴史的と言えそうな投手陣が支えています。

チーム打率、同本塁打のどちらも他球団と大差はなく、全体的な今季の傾向と言えるかもしれませんが、打率.234はリーグワースト、38本塁打に至ってはパ・リーグを含めても埼玉西武と並んで12球団ワーストタイと、貧打であることは間違いないと言えそうです。

ただ、本当に歴史的、であるのか、今回は過去にリーグ優勝したシーズンと比較してみたいと思います。

直近のリーグ優勝と言えば、ご存知の通り2016年から18年のリーグ3連覇になりますが、この時期のチームは間違いなく「打撃のチーム」でした。25年ぶりのリーグ優勝となった2016年のチーム打率は、2位東京ヤクルトの.256を大きく引き離して.272とダントツの数字。

684得点(2位594)、153本塁打(同140)、118盗塁(同82)と、ほとんどの数字でトップでした。この年はチーム防御率3.20もリーグトップで、まさに『最強』と呼べるチームは、2位巨人を17.5ゲーム離しての独走優勝でした。

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1980年以来のリーグ連覇となった2017年も、チーム打率.273は2位の横浜DeNA(.252)を寄せ付けない数字でした。736得点は2位の横浜DeNAの597を100点以上、上回っており、152本塁打(2位134)、112盗塁(同77)も他を圧倒する数字でした。

ただ、この年はチーム防御率3.39が阪神(3.29)、巨人(3.31)に次ぐリーグ3位で、540失点も同じくリーグ3位となっており、シーズンの成績は2位阪神と10ゲーム差と、前年よりはややその差が詰まっています。

そして、球団史上初のリーグ3連覇を達成した2018年は、チーム打率.262で東京ヤクルト(.266)、中日(.265)に次ぐリーグ3位。チーム本塁打175本も横浜DeNA(181)に次ぐ2位でしたが、721得点(2位658)と95盗塁(同77)は、2位を大きく離しての1位でした。

チーム防御率4.12も巨人(3.79)、阪神(4.03)に次ぐ3位で、651失点は4位。この年も5月以降は首位の座を明け渡すことなく、独走での優勝でしたが、リーグ2位の東京ヤクルトとのゲーム差は7.0となっています。

3連覇の前のリーグ優勝と言えば、1991年まで遡ることになるわけですが、この年の方が今季に近いチーム状態と言えそうです。91年のチーム打率は.254でリーグ4位(1位は横浜大洋の.269)、516得点、88本塁打はいずれもリーグ5位(1位は612得点、178本塁打)でした。

ただ、この年のチーム防御率は2位中日の3.59を大きく離した3.23とダントツの数字で、466失点もリーグ最少(2位521)となっており、得失点差で言えばプラス50と、リーグ優勝も納得の数字となっています。

個々の選手を見ても3割打者こそ、31盗塁で盗塁王に輝いた野村謙二郎(.324、リーグ4位)と山崎隆造(.301、同9位)の2人がいますが、チーム最多本塁打は江藤智の11本、同打点は野村の66打点という打線。

それに対して、投手陣はシーズンMVPの佐々岡真司が最優秀防御率(2.44)、最多勝(17勝)の投手二冠で、北別府学が最高勝率(.733)、最多奪三振が川口和久(230)と、投手タイトルを独占しています。

今季のここまでの数字を見ると、得点276、失点232で得失点差はプラス44。個人成績では、防御率0.85の大瀬良大地がリーグトップで、3位森下暢仁(1.63)、4位床田寛樹(1.73)、勝利数は床田が10勝でリーグトップタイ、森下が8勝で5位タイ、セーブ数でも栗林良吏が31セーブでリーグトップとなっています。

1991年は2位中日と3ゲーム差と、僅差の優勝争いを制していますが、今季もその再現はなるのか。勝負どころの8月、9月を迎えて、投手陣が現在の状態をキープできるかがカギになることは間違いなさそうです。

文:大久保泰伸

大久保泰伸

フリーライター、編集者。1969年広島市生まれ、現在は神奈川県在住。出版社勤務を経て、20世紀の終わり頃に独立。別冊宝島野球シリーズの執筆、編集や広島などのOBの著書の編集協力などを行い、同社のプロ野球選手名鑑は創刊時から現在まで関わる。記者活動は2009年にベースボール・タイムズ紙の広島担当でスタートし、15年から野球専門サイトのフルカウントで広島、18年からはDeNA担当も兼務した。

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