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野球 コラム 2024年6月27日

球速をあえて求めない今永の意図は

野球好きコラム by 山田 結軌
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メジャー1年目を過ごすカブスの今永

進化を目指す過程で試練の時を迎えているのかもしれない。カブスの今永昇太投手(30)は6月21日のメッツ戦でメジャー移籍後最短となる3イニング0/3で74球を投げ、ワーストの3本塁打を含む11安打、10失点と大炎上した。

この日のフォーシームの平均球速は90・1マイル(145キロ)でシーズン平均の91・8マイル(147・7キロ)より2キロ以上、下回った。米国では球速が低下した場合、肩や肘の故障を疑う声が大きくなる。そのため試合後の会見では、球速低下についての質問が多かった。

だが、球速は出なかったわけではなく、出さなかった。

「出力を抑える、というのが正確な表現。その方が僕の真っすぐの質が生きる。アメリカ人の投手を目指すのではなく、異ならなければいけない。90マイルよりも、93、94マイルの方がいいと思うんですけど、それで(投球フォームなどの)メカニズムを崩して体力を消耗すると長続きしない」

メジャーにきたから、パワー投手になろうとするのではなく、自分の長所を生かす。端的に言えば、今永の直球(フォーシーム)はメジャー平均より回転数が多く、打者には伸びるように感じる。良質な球種を最大限に生かすためにむやみに力む、力いっぱいに投げる、ということは不必要。速ければいい、ということではない、という趣旨だ。

「ストレートの球速を上げたところで僕の場合は、僕は93マイルとかなので、それで得られるものよりも失うものの方が多すぎる。もちろん(自分の出力を)ボトムアップ(底上げ)して、155キロ(96マイル)とか投げられたらいいんですけど、僕はそうではない。(出力を)抑え気味に投げてでも一定のクオリティの真っすぐを投げる、というのがベスト」

継続的に安定したパフォーマンスを発揮することが、チームへの貢献。だからこそ、あえて球速を出さない、という投球術を選ぶ登板もある。カブスはナ・リーグ中地区で下位に低迷中。前半戦をストロングフィニッシュさせ、後半戦からの巻き返しを期すためには、今永の好投が不可欠だ。

(文・山田結軌=サンケイスポーツMLB担当)

山田結軌(やまだ・ゆうき)

山田 結軌

1983年3月生まれ、新潟県出身。立教大時代にJ SPORTSの野球班でプロ野球中継の現場でスコアブックを書くアルバイトを経験した。サンケイスポーツには2007年4月入社。阪神、広島、楽天などを担当し、2016年2月より大学時代から夢みたMLB取材を続けている。

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@YamadaSANSPO

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