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敵地で大谷翔平へのブーイングも“名物”になるかもしれない
12月の“騒動”があったからこそ、トロントのファンはブーイングで迎えた。4月26日からのブルージェイズ3連戦。ドジャースの大谷翔平投手(29)はスタメンがアナウンスされ、ビジョンに映し出されるたびに、そして打席に入るたびにブーイングを浴びた。比較的、穏やかで優しいファン層として知られるカナダの野球ファン。実際、エンゼルス在籍時には全国的なスターとなった大谷には、敵ながら歓声を送っていた。
大谷のトロント行きの誤報についての経過は、ここでは割愛する。そして本人は当時を次のように振り返る。
「行った行かないに関しては、僕も一番びっくりしていた。ファンと同じ心境。ニュースで言われて、僕は(チャーター機に)乗っていないんだけどな、と」
ブルージェイズファンはスターの入団を信じて歓喜した。大谷に全く非はないが、期せずして“思わせぶり”となってしまった。ゆえに今回の大ブーイングにつながった。しかし、試合後の大谷は模範的で好感を抱かせるコメントだった。
「これだけ多くの人に(球場に)入ってもらって、自分のチームを好きだからこそ相手のチームの選手にブーイングしたりする。そういう熱量は別にドジャースファンでも、ブルージェイズのファンでも野球が好きなんだというリスペクトを逆に感じる」
ファンも大谷が憎くてブーイングをしているとは限らない。米国ではある種“まあ、やっておくか”というお約束でもある。ノリや遊びで「ブーー」というのも、球場に来ているからこそ楽しみのひとつ。スターになればなるほど、敵地ではそれがウェルカムのメッセージでもある。もちろん、メジャー7年目でア・リーグMVPを2度獲得している大谷は、よく理解している。
「別にまぁブーイングも嫌ではないというか、野球の一環ですし、ファンの人たちがそれで楽しいのが一番だと思う。選手は(ファンに)気にしてもらえるだけ、選手にとってはいいんじゃないかなと思います」
だた、地域やファン層によっては差別的な言葉や、汚い言葉が耳に入ることも現実問題としてある。子供のファンや、選手の関係者や家族がその場にいる場合もあるので、一概にブーイングも楽しめばOK、ということを主張するつもりは、ない。
ちなみにファンの熱狂度やブーイングのすさまじさはニューヨーク(ヤンキースもメッツも)とフィラデルフィア(フィリーズ)がツートップ。ある意味で“アメリカ野球っぽさ”を存分に感じることのできる土地ではないだろうか。ちなみにドジャースは今季、その3チームの敵地で試合が組まれている。
(文・山田結軌=サンケイスポーツMLB担当)
山田 結軌
1983年3月生まれ、新潟県出身。立教大時代にJ SPORTSの野球班でプロ野球中継の現場でスコアブックを書くアルバイトを経験した。サンケイスポーツに2007年4月入社、阪神、広島、楽天などを担当し、2016年2月より大学時代から夢みたMLB取材を続けている。2025年2月に18年間務めたサンケイスポーツを退社しフリーに転身。
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