【インタビュー動画あり】昨季の新人王・山下舜平大、世界一を経験できるような選手を目指して

昨シーズンの新人王・山下舜平大（オリックス・バファローズ）

高卒3年目となった2023シーズン、山下舜平大はプロ初登板で開幕投手に抜擢されると、最速160kmを記録するストレートを武器に大ブレイク。8月末に腰のけがで戦列を離れたが、9勝3敗、防御率1.61でパ・リーグ新人王に輝いた。

けがも順調に回復し、3月の侍ジャパンメンバーに選出されるなど、更なる飛躍が期待される今シーズン、春季キャンプ中の2月中旬に話を聞いた。

◆「やるべきことはメニュー化してできている」

――　春季キャンプ前半はどのように過ごされましたか？

自分の中で徐々に慣らしていくというのがあったので、少しゆっくりと言うか、いい滑り出しでできたと思います。

けがで秋のキャンプでは全く投げられず、実戦から離れている期間が長かったので。少し難しい部分はありますが、これからもっと良くなるだろうと思っています。

――　その分、自主トレ期間はしっかりとメニューを行われていましたね？

でも、投げることに関してはゆっくり始めました。トレーニングはしっかりできたので、あとは身体と合わせていく作業にもう少し時間がかかると思います。

――　そんなキャンプ前半を過ごして、どのような後半にしようとお考えですか？

少しずつ実戦も入ってきますし、投球数も増え、投げる感覚も良くなってくると思うので楽しみです。

――　特にこのキャンプで課題として取り組んでいることは何でしょうか？

オフに作ってきた体をどう野球に移すか、というのが本当に一番難しいので、毎年そうですが、結構しんどい時期だと思います。

――　キャンプではいろいろな練習メニューがありますが、苦手なメニューはありますか？

ウェートトレーニングはがっつりしますし、アジリティーなどの瞬発系は、投球にかなり大事だと思うので、しっかりやってきましたが、ランニングは苦手です。

投手のメニューは少なくて、半分以上は個別練習という形ですが、自分がやるべきことはちゃんとメニュー化してやっていて、その継続にはかなり力を入れています。

◆「スピードはどこまで出るのか楽しみ」

――　山下投手といえばピードボールのイメージですが、スピードに対するこだわりはあるのでしょうか？

自分の最大の武器で、伸ばしていきたい部分です。現段階では、自分が計画を組んでいた最高速度は出ていないですが、最低ラインは出ています。あとはトレーニングしてきたことが噛み合えば、どこまで出るのか楽しみです。

――　フォークボールの感覚はどうですか？

まずはカーブとストレートをしっかりバランス良く投げて、その中にフォークを入れられたらと思います。ブルペンでは投げたりしますが、バッターがいる試合で投げる方が意外と良かったりするので。

――　昨年のキャンプで野茂英雄さんからフォークの握りを教えてもらっていましたね

野茂さんに教えていただく前は、「これ」というのがなくてバラバラでした。今は教えてもらったそのままではないですが、そこから自分で工夫して、どんどん自分の感覚に近いものになってきているので、いい感じだと思います。

◆「食事もトレーニングと同じぐらい大事にしている」

――　食べ物もかなり節制しているそうですね

トレーニングと同じぐらい大事なものだと思っているので、やって良かったと言えるようにしたいです。

――　何を一番食べていますか？

鶏肉ですかね。

――　宮崎はいいですね（笑）

宮崎は鶏がうまいんですよね。カロリーは高いですけど。美味しい料理がいっぱいあるので誘惑が多いです（笑）。

――　今、食べ物の制限なくて、何を食べていいよと言われたら何を食べたいですかね？

一杯あります！甘いものが好きなのでアイスとか食べたいですね。あと餃子が食べたいと、ずっと思っています。昨日、ホテルで餃子が出ていましたが、「ああ、うまそうだな」と思いましたが我慢しています。

◆「防御率はこだわっているので獲りたい」

――　昨年はデビュー戦が開幕投手でした。中嶋聡監督は「どうせ緊張するなら、デビューと開幕戦を一緒にやった方がいい」と記者には語っていましたが、実際はどうでしたか？

開幕戦と言われて実感するぐらいでした。初めてだったので、開幕戦の雰囲気がどんな感じかも分からなかったですし。

さらなる飛躍を目指す山下舜平大

――　緊張はしなかったですか？

そうですね。しなかったというか、なんかもう「無」でしたね。

――　「前日もゆっくり眠れました」と言われていました

開き直っていると思いますけど、普段の1つの試合という感じでした。

――　昨年は山本由伸投手、宮城大弥投手がWBC（ワールド・ベースボール・クラシック）出場でということもあり回ってきた大役でしたが、今は開幕で投げたいと思いますか？

昨年は、本当に何もこだわりがなかったので。由伸さんの代わりにはならないですけど、いないから自分が投げているぐらいの感じでした。ただ、今年は投げたいという気持ちもあります。

――　今季、目標とするタイトルはありますか？

防御率はこだわっているので、そこは獲りたいです。やるからには一番になりたいと思っているので。

◆「世界一を経験できるような選手になりたい」

――　侍ジャパンについてお聞きします。今回は欧州選抜チームとの強化試合で日の丸を背負うことになりますが、初めて聞いた時はどんな気持ちでしたか？

けがもあったので、びっくりしました。本当に光栄なことですが、自分がやるべきことが絶対にあるので、それは変えずにやっていきたいです。

――　自分の強みで勝負しようと思いますか？

相手が変わろうが、着ているユニフォームが違っても、やるべきことは変わらないし、投球スタイルは変わらないと思います。

――　侍ジャパンへの憧れはありましたか？

選ばれた人しか着られないユニフォームなので、そういう選手になりたいと思っています。

――　日本代表に憧れるきっかけとなる試合はありましたか？

井端弘和監督の台湾戦でのセンター前（2013年WBC第3回大会の2次ラウンド、1点リードされた9回2死二塁から同点タイムリーヒット）。小学生のぐらいの時に見ていました。

――　山本投手や宮城投手が日本代表で投げる姿を見て触発されますか？

近い存在の人が世界一の試合に出ていたので、すごいなと思いました。

――　今秋のプレミア12、2026年にはWBC、2028年はロサンゼルス五輪という世界の舞台がありますが、自分がマウンドに立つイメージはありますか？

イメージはできないですが、そういうところに選ばれるような選手になりたいですし、世界一を経験できるような選手になりたいです。

山下 舜平大（やました しゅんぺいた）
・生年月日：2002年7月16日（21歳）
・身長／体重：190cm／100kg
・投打：右投右打

福岡大学附属大濠高校では、2年生からはエースとなるも、3年次は新型コロナウイルスの影響で夏の全国高等学校野球選手権大会が中止。甲子園の出場はなかったが、2020年のドラフト会議でオリックス・バファローズから1位指名される。

初登板は2023年の開幕戦。新入団投手以外で、プロ初先発の投手が開幕投手となるのは2リーグ制以降では史上初。勝敗はつかなかったが、5回1/3を4安打1四球7奪三振1失点と好投した。その後は8月末に腰のけがで戦列を離れるまで16試合に先発。9勝3敗、奪三振101、防御率1.61を記録し新人王に輝いた。

今季から背番号を12から11に変更。3月に行われた「侍ジャパンシリーズ2024」欧州代表戦で侍ジャパンに初選出され、2回を1安打2三振の無失点に抑えた。