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ダルビッシュと松井裕樹
ダルビッシュは、メジャーにやってくる後輩選手のことを「自分の子供のように思う」と表現したことがある。それだけ、無償の愛で接し、成功する手助けがしたい、と考えている。敵味方は関係なく助言を惜しまず、サンディエゴに来た際には試合前に日本食のお弁当を必ず差し入れする。
チームメートになった松井裕樹投手(28)には、あえて“下方修正のススメ”を説いた。
「アドバイスはそんなに(していない)。技術的なことではなくて、例えば目標をやっぱり高く持とうとするので目標を下げるような言葉をいったりとか、目標を下げるというか、褒めるように」
メジャー1年目。どうしても張り切り、理想を求めてしまう。自分のいいところアピールしたい。それを首脳陣、チームメート、ファンにみせたい。心理的にはそう考えるのは、自然なことだ。メジャーで13年目を過ごしているダルビッシュは、日本選手に限らず、多くのメジャー1年目の選手たちをみてきた。そのうえで日本人の国民性も理解している。だからこそ「目標を下げる」ことの必要性があるという。
「やっぱりもっとやりたい、結果を残したいって思うのが日本人なので。みんなの期待に応えたいって思うのが日本人。責任感もあるけど、同時にストレスを抱えることもある。そういうところの負担を少しでも取ってあげたい」
松井は2月22日、ドジャースとのオープン戦で初登板。1イニングを3者連続三振と最高のスタートを切った。ダルビッシュも後輩左腕のマウンド姿をみつめ「本当に1球目からどんどん行っていた」と感心。「帰ってきてすごく笑顔だったので、良かったなって僕がホっとしました」と“親心”の胸の内を明かした。
しかし、松井は同25日には背中の張りを訴え、カブス戦でのオープン戦2度目の登板を回避。知らず知らずのうちに体への負担がかかっていた。ダルビッシュの心配したように心身への「ストレスを抱えること」が日に日に重なっていたのかもしれない。幸い、症状は回復に向かっているようだ。
新たな環境に挑む松井にとって、ダルビッシュの存在は心強いに違いない。ダル流“下方修正のススメ”は、貴重で重要なメンタルサポートになる。
文・山田結軌=サンケイスポーツMLB担当
山田 結軌
1983年3月生まれ、新潟県出身。立教大時代にJ SPORTSの野球班でプロ野球中継の現場でスコアブックを書くアルバイトを経験した。サンケイスポーツには2007年4月入社。阪神、広島、楽天などを担当し、2016年2月より大学時代から夢みたMLB取材を続けている。
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