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野球 コラム 2023年10月30日

【横浜好き】社会人No.1野手、最速153キロのサイドハンド、最速149キロ&高校通算31本塁打の『二刀流』。ベイスターズのドラフト上位3選手紹介

野球好きコラム by 大久保泰伸
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1位指名のENEOSの度会隆輝

10月26日に新人選手選択のドラフト会議が行われ、ベイスターズは支配下選手6名と育成選手5名、計11選手の交渉権を獲得しました。

今年は大学生投手など、全体的に豊作と言われたドラフトで、1位指名は再抽選も含めて史上最多となる7選手が競合。コロナ禍前の2019年以来、4年ぶりとなる有観客で行われた会場は、抽選の度に大きなどよめきが起こりました。

2年連続Aクラスのチームから、来季以降は大きくその陣容が変わる可能性もあると言われているベイスターズはどんな選手を指名したのか。今回は上位3選手について紹介したいと思います。

今年も1位指名を事前に公表しなかったベイスターズは、社会人No.1野手と評価されるENEOSの度会隆輝を指名。中日、千葉ロッテと3球団競合の末、三浦大輔監督が当たりクジを引き当て、交渉権を獲得しました。

度会は元ヤクルト内野手の博文氏(現ヤクルトアカデミーヘッドコーチ)を父に持ち、中学時代には佐倉シニアでジャイアンツカップに優勝、U-15日本代表にも選出され、アジアチャレンジマッチ2017では最優秀選手に選出されました。同時期にはTBSテレビ『炎の体育会TV』に出演し、トスバッティングで100秒間に15枚の的を狙う企画で、プロ選手もなし得なかった番組史上初となる完全制覇を達成しています。

千葉県出身ですが、高校は横浜高校に進学。入学直後からベンチ入りを果たし、1年夏と2年春には甲子園に出場。高校通算24本塁打、公式戦通算打率.419をマークしてプロ志望届を出しましたが、指名漏れという結果に終わっています。

失意の中、入社したENEOSでは、2年目の2022年都市対抗で打率.429、4本塁打、11打点の活躍でチームの9年ぶりとなる優勝に貢献。橋戸賞、打撃賞、若獅子賞を受賞し、社会人年間表彰でも最多本塁打賞(7本塁打)、最多打点賞(21打点)でベストナインに選出されました。

ドラフトでは、開始直後に自身の名前が読み上げられた瞬間に号泣し、高校時代を過ごした横浜のベイスターズ指名が決まった際には、涙を拭きながらも喜びの表情を見せました。社会人の外野手で3球団以上の競合は史上初で、親子でのドラフト指名は17組目(育成ドラフトを除く)となり、プロでは1、2番打者の争いに割って入ることを期待されています。

2位では名城大学の松本凌人を指名。最速153キロのサイドハンド右腕の松本は、神戸国際大付高校では3年夏の県大会準優勝が最高で、甲子園は未出場。進学した名城大学では1年秋からリーグ戦に出場し、主にリリーフながら2年春に4勝、3年春は5勝でチームの優勝に貢献しています。

大学選手権には2年時と3年時に出場していずれもベスト8、3年時に出場した明治神宮大会ではベスト4に進出。大学選手権では2、3年とも初戦に先発して完封勝利をマークするなど、先発、リリーフどちらでも期待できる逸材と言えそうです。同大学からは同じ2位で岩井俊介投手が福岡ソフトバンクに指名されており、会見では「(2人でセとパの)新人王の取り合いをしたい」と抱負を語っています。

3位の武田陸玖は、山形中央高校で投げては最速149キロ、打っては高校通算31本塁打の『二刀流』で話題になった選手です。投手としては左腕から力のある速球だけでなく、切れ味鋭いスライダーやチェンジアップを駆使する本格派で、3年夏の県大会準々決勝では9回2失点完投でソロ本塁打も放つなど、スカウトからは投手、野手とも一級品の評価を受けています。

2年、3年とも夏の県大会で準優勝に終わり、甲子園出場はありませんでしたが、大会後には台湾で行われたU-18ワールドカップで高校日本代表に選出され、3試合に登板して1勝1セーブ、打撃でも11打数4安打3打点と活躍し、チームの初優勝に貢献しました。

一番のアピールポイントは「とにかく野球が好きで、誰よりも野球を楽しんでいること」という生粋の『野球小僧』は、プロでも二刀流挑戦に意欲を見せています。

文:大久保泰伸

大久保泰伸

フリーライター、編集者。1969年広島市生まれ、現在は神奈川県在住。出版社勤務を経て、20世紀の終わり頃に独立。別冊宝島野球シリーズの執筆、編集や広島などのOBの著書の編集協力などを行い、同社のプロ野球選手名鑑は創刊時から現在まで関わる。記者活動は2009年にベースボール・タイムズ紙の広島担当でスタートし、15年から野球専門サイトのフルカウントで広島、18年からはDeNA担当も兼務した。

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