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野球 コラム 2023年10月2日

苦しく、つらく、難しいマウンドから千賀滉大が見えたもの

野球好きコラム by 山田 結軌
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メジャー1年目を終えたメッツの千賀滉大

素晴らしい数字を各項目で並べ、メジャー1年目は総じて好成績でおさめた。さらに負傷者リストには、1度も入らなかった。メッツでのルーキーイヤーを終えた千賀滉大投手(30)は、29先発で12勝7敗、防御率2・98、166回1/3を投げ、202三振を奪った。しかし、シーズン途中からは、苦しく、難しいマウンドだったことを明かした。

「チームがなかなかうまく(好調や勢いに)乗れなくて、勝てなくてその中で自分の数字、自分の戦い方が全然、気持ちが乗らなくて大変だったな、というのを一番感じています」

大型補強で地区優勝、そしてワールドシリーズ制覇の有力候補として臨んだメッツ。しかし、ナ・リーグ東地区で4位に沈み、ワイルドカードでのポストシーズン進出争いからも脱落した。今夏のトレード市場では、主力選手を放出して再建モードにかじを切った。その状況は、千賀にとって入団前に想定したものではなく、当然、望んだものでもなかった。

「とにかくチームのために投げている自分とそうじゃない自分との差がすごくて、本当につらかった。自分の数字のためにマウンドに上がるのは苦しいし、やっぱり全然、違う自分がいたのは改めて思いました」

トレード市場で売り手にまわる、というチーム方針は、言い換えれば『フロントら球団幹部がチームとしては、ポストシーズン進出をあきらめました』という意味合いを持つ。つまり、目先の1勝の価値が変わる。再建モードでの1勝は、メジャー定着を目指す若手選手やマイナーを行き来する選手にとっては、もちろん重要だ。しかし、主力や複数年契約の選手たちは、自分の地位とチーム内の立場を確立するために活躍を期す、というよりはチームの成績・浮沈がモチベーションにつながりやすい、という傾向があるのではないだろうか。

千賀自身、一流投手の指標ともされる200三振を達成しても「(200三振に)いけなくても別にたぶん何も感じることはなかったと思います」と個人成績へのこだわりが薄かった。「本当にチームかなと思います。やっぱりチームが(プレーオフ進出に向け)もっともっと熱い立ち位置(順位)だったら、もう少し(200三振への感情も)変わっていたと思います」と続けた。それほどチームの勝利にこだわっていた胸のうちを明かした。

手応え、自身の成長、そして今後の伸びしろを感じることができた1年。「“やっと来られた感”が強すぎて、マウンド上で戦うというよりも心がどこにあるんだろう、という感じだった」。そう語った4月2日のデビュー戦(対マーリンズ)。メジャー移籍の希望が芽生えて、6年を経てようやくたどり着いた舞台で多くを経験した。

「いろんなことを試しながら、挑戦しながら入ったシーズンだった。来年以降は周りの見る目も違う。『どんなもんや?』から『働いてもらわなきゃ困る』に変わるその大変さはある。自分に期待しながらもプレッシャーかけてオフを過ごしたい」

さらなるレベルアップを目指し、2年目に向かう決意を新たにした。

(文・山田結軌=サンケイスポーツMLB担当)

山田結軌(やまだ・ゆうき)

山田 結軌

1983年3月生まれ、新潟県出身。立教大時代にJ SPORTSの野球班でプロ野球中継の現場でスコアブックを書くアルバイトを経験した。サンケイスポーツには2007年4月入社。阪神、広島、楽天などを担当し、2016年2月より大学時代から夢みたMLB取材を続けている。

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