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野球 コラム 2023年5月1日

マイナーで今、やるべきことだけに集中、筒香嘉智の現在

野球好きコラム by 山田 結軌
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レンジャーズ3Aで過ごす筒香

悲壮感や焦りはない。今、目の前にある状況を冷静に理解し、やるべきことに集中する。レンジャーズ傘下3Aラウンドロックの筒香嘉智内野手(31)からは、そんな姿勢が感じられる。メジャー昇格を目指す確たる信念はブレず、マイナーで汗を流している。

「自分にコントロールできない範囲をコントロールしようとすると、どうしても(本来の)自分自身では、いられなくなる。本当の自分でいる、ということがすごく大事だと思う」

就労ビザの発給が遅れ、春季キャンプ合流は3月4日。オープン戦には、30打席ほどと少なく、打席での試合勘が戻らなかった。開幕はマイナーで迎え、一塁やDHなどのレギュラーで出場を続ける中で実戦感覚が研ぎ澄まされ、さらに昨季痛めた腰の状態も良好。集中できる心身が整っている。

試合開始前に笑顔を見せる筒香

レンジャーズ自体は、ア・リーグ西地区で1位に立つなど好調。一方で、筒香が昇格するためには一塁手やDHの選手たちの状況次第、となる。左打ちの正一塁手、ネート・ロー内野手(30)は3本塁打を放ち、打率は2割中盤とまずまず。DHで同じく左打者のブラッド・ミラー(33)は打率1割台、右打ちの左翼手、レスリー・トンプソン外野手(24)も同1割台だ。

筒香が昇格するためには、マイナー契約からまずはメジャー40人枠の契約への切り替え、それにともないその枠をどう空けるか、など編成上の問題がある。そのため、筒香がどんなにこれから打ちまくって好調をキープしたとしても単純に“調子がいいからハイ、昇格ね”とはいかない事情がある。それが、米球界の仕組みだ。

メジャー昇格には自分以外の選手に何かが起こらなければ、可能性は低いまま。条件としては、故障者が続出したり、似たタイプの選手が極度の成績不振に陥る、などだ。こうした状況下でも、あくまで己ができることだけ、を考えているという。

「この人が打っていなかったら(自分に)チャンスがあるな、とかそういう目で人をみたくないのが、正直な気持ちです。人の成績がよくないのを願うのは、僕はすごく嫌なことなので、そういう見方はしないです」
他人の成績悪化を願うような人間では、メジャーに昇格したとしても、そこで活躍できる選手にはなれない。そういう人間には、メジャーを生き抜くメンタルも技術も伴わない、という意味合いを含んでいるのかもしれない。最善を尽くし、できることだけに集中する。メジャー昇格や契約などは、周囲の兼ね合いに左右されること。メジャーでプレーするため、筒香は静かに、そして落ち着きながら、地道にマイナーでの日々を過ごしている。

(文・山田結軌=サンケイスポーツMLB担当)

山田結軌(やまだ・ゆうき)

山田 結軌

1983年3月生まれ、新潟県出身。立教大時代にJ SPORTSの野球班でプロ野球中継の現場でスコアブックを書くアルバイトを経験した。サンケイスポーツには2007年4月入社。阪神、広島、楽天などを担当し、2016年2月より大学時代から夢みたMLB取材を続けている。

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@YamadaSANSPO

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