人気ランキング

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

コラム&ブログ一覧

野球 コラム 2023年3月14日

【WBC現地レポート】「野球は世界を救い、笑顔をもたらす力がある」。チェコ共和国代表のハジム監督が信じる野球のすばらしさ

野球好きコラム by 松山 ようこ
  • Line

帽子を取るとそこにハチマキが…

静まり返った会見場が一気に明るくなった。チェコ共和国のパベル・ハジム監督が、会見場に入ってきて着席。おもむろにキャップを取ると、額には日の丸デザインの「必勝」と書いたハチマキが巻かれていたのだ。集まったメディア関係者らもドッと笑う。

オーストラリアとの試合に敗れ、1次ラウンド敗退が決まった直後の記者会見だが、ハジム監督は清々しい表情で語り始める。

「負けて気分は良くないですが、選手たちを誇りに思います。格上のオーストラリア相手に最後まで粘り強く戦ってくれたのですから。ハチマキは日本への感謝の気持ちです。来日してから、感謝しっぱなしです。日本のすべての人に感謝の気持ちを伝えたいです」。

なお、今大会で異次元のスーパースターぶりを発揮しているため、必ず挙がるのが大谷翔平に関する質問だ。だが、監督はこれについて熱弁しだした。

佐々木投手からデッドボールを受けたエスカラ外野手

「大谷選手はすばらしいです。でも、日本には彼だけでなくすばらしい選手が多い。試合前の会見でも話しましたが、佐々木朗希選手は昨夜の死球のお詫びにたくさんのお菓子とサインボールを持って来てくれたのです」。

「野球は戦争でもビジネスでもない。世界を救い、笑顔をもたらす力があるのです。今、ウクライナでは戦争が起きていますが、若い選手たちとで野球を通じて、こんなにもすばらしい世界があることを知らしめたいです」。

試合前も試合後も、繰り返し話したのはそれだけ監督が感動し、伝えたかったからなのだろう。思わず聞いていて目頭が熱くなった。

前回のコラムでお伝えしたチェコ代表をサポートしている田久保賢植(けんしょく)さんによると、神経科医でもあるハジム監督は、ボランティアで長年ずっと野球の指導に携わっているという。だからこそ、戦争でもビジネスでもない、つまり勝ち負けやお金ではない野球のすばらしさを純粋に訴えることができるのかもしれない。

当然それも、クオリティが伴わなければ説得力もない。だが、今大会でチェコのレベルの確かさは証明された。監督は自負して続ける。

2023 WORLD BASEBALL CLASSIC

【ハイライト動画】中国 vs. チェコ共和国

「私たちの育成プログラムが奏功して、ここまでの選手たちが出てきました。いい見本としてヨーロッパやアフリカなど世界中に発展させて、野球の振興に寄与したいと考えています」。

熱い思いそのままに、「次、また3年後のWBCに戻ってきたいと思います。その時にまた会いましょう!」とハジム監督は笑顔で会見場を後にした。

加えて伝えておきたい。ハジム監督は会見のたびに、日本への感謝を語っていたのだが、チェコと日本の交流をもっと深めたいとも明かしていた。こんなにも野球を愛しているファンはいない、すばらしい応援だったとも。

「皆さんには、チェコの野球シーズンにも来てほしいです。街も綺麗ですし、歓迎いたしますので」。

今回のWBCで、またたく間に日本中のファンを虜にしたチェコ代表。チェコの歴史ある美しい街並みと美味しいお酒や食べ物だけでなく、新たに野球観戦を目的に訪れたくなったという日本人はすでにたくさんいるのかもしれないけれども。

文/取材:松山ようこ

松山ようこ

松山 ようこ

フリーランス翻訳者・ライター。スポーツやエンターテイメント関連コンテンツの字幕翻訳をはじめ、Webコンテンツ、関連ニュース、企業資料などの翻訳や制作を請け負う。J SPORTSでは、主にMLBや侍ジャパンのほか、2015シーズンより楽天イーグルスを取材し、コラムやインタビュー記事を担当。野球の他にも、幅広くスポーツ選手はじめ著名人を取材。Twitter @yokobooboo

  • Line

関連タグ

あわせて読みたい

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

ジャンル一覧

人気ランキング(オンデマンド番組)

J SPORTSで
野球を応援しよう!

野球の放送・配信ページへ