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野球 コラム 2023年3月3日

誠也は何倍も強くなって、帰ってくる

野球好きコラム by 山田 結軌
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アリゾナの日差しにまぶしそうな表情をする鈴木誠也

金髪になった頭をみて「スーパーサイヤ人みたいですね」と話題を振った。2022年10月のことだ。強い相手に立ち向かうほど、自らも強く成長する姿をどこか重ね合わせたかった。セイヤがサイヤ人。「サイヤ」と「セイヤ」。音も似ている。

「そうです」
ニヤリと笑ったカブス、鈴木誠也外野手(28)は、メジャー2年目に向けたオフの過ごし方について、語り始めた。
「地獄です。死ぬほどやります」
心は、メラメラと燃えていた。ゆえにオフのトレーニングはハードに追い込み、スケールアップすることを宣言していた。
理由がある。

「(数年前に)日本代表の練習で(大谷)翔平のバッティングを生でみたときに度肝を抜かれた。それ以来(大谷を)超える選手がいなかったんですよね。ただ、ジャッジとスタントンだけは、超えていきましたね。(打球の)強さもそうだし、飛距離もオーラも」
鈴木誠也の野球人生で衝撃を与えたのは、同い年の二刀流選手だった。しかし昨季、ヤンキースのアーロン・ジャッジ外野手(31)やジャンカルロ・スタントン外野手(33)の打撃練習をみて、衝撃が走った。
「次はコイツらだ」

世界最高峰の舞台でトップのバッターたちをみて、メジャーで目指すべきレベルを理解した。この超一流のレベルと渡り合うために「地獄」で「死ぬほど」のオフを過ごし、鍛え上げてきた。
それだけにショックは大きいだろう。

左脇腹を痛めWBCの出場を辞退。鈴木の言葉から感じ取ったことがある。「体重を増やした=ケガをした」という安直な考えの否定だ。2月28日のコメントを振り返ってみる。

「体重の増量自体は、もともとの日本の体重からそんなに変わっていないんですよ。ただ去年がちょっと落ちすぎてしまっただけで。ほぼ戻した、プラスちょっと2、3キロ増えたぐらい」

昨季シーズン開幕時点で98キロ。ただし、広島カープ在籍時、何キロをベスト体重に設定していたのかは、定かではない。昨季のシーズン中には、開幕比較でマイナス5キロ、93キロまで落ちてしまった。シーズン終盤には、95キロまで戻したという。その時点を基準にするから「プラス10キロ」ということが派手に世に出てしまった。

メジャー2年目、今季のキャンプインの2月20日には「106キロ」ということを明かしている。ハードなトレーニングと食事で「自然に」増えたという。ケガをするときは、さまざまな要因が重なり、決して原因はひとつではない。オフのハードトレーニングとWBCをにらんだハイペース自主トレを振り返りながら「ちょっと気合い、入りすぎたのかな」とやや自虐気味に笑みを浮かべた。

「でも、トライしてきたこのオフの取り組みには、後悔はないですか?」。そう質問を続けようと思ったら、先に鈴木自ら言葉を続けた。

春季キャンプ中の鈴木誠也

「今こうやってトレーニングをして、こうなった(故障した)からといって後悔はないですし、自分の考えなりに課題を見つけてやってきましたので」

悔しく、無念でやるせない気持ちでアリゾナに居残っていることだろう。今ごろ、日の丸の入ったスパイクや手袋を身につけ、侍ジャパンに合流しているはずだった。

ただ、次に起き上がるときは心も体も強くなって帰ってくるはずだ。スーパー“セイヤジン”は傷つき、痛んでも、復活する過程で強くなる。そんなシナリオを望んでいる。

(文・山田結軌=サンケイスポーツMLB担当)

山田結軌(やまだ・ゆうき)

山田 結軌

1983年3月生まれ、新潟県出身。立教大時代にJ SPORTSの野球班でプロ野球中継の現場でスコアブックを書くアルバイトを経験した。サンケイスポーツには2007年4月入社。阪神、広島、楽天などを担当し、2016年2月より大学時代から夢みたMLB取材を続けている。

Twitter
@YamadaSANSPO

Instagram
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