【楽天好き】スローガンは『鷲が掴む！』。新キャプテン浅村栄斗、新外国人がチームを牽引する

楽天野球団提供

今季の楽天のスローガンは『鷲が掴む！』。昨季の『譲らない！』と方向性は同じも、肯定の表現になったことでさらなる推進力を感じさせる。

「若手もベテランも関係なく、レギュラーポジションを実力で掴みにいくチーム内での競争、絶対に自分がレギュラーを獲得するという強い気持ちと意識を常に忘れず」、「追い込まれた時には自らに問いかけ、誰にも譲らない『自分が流れを掴む』という強い気持ちをプレーで体現してくれることを期待」されているという。

少し意地悪な見方をすると、このことを一番に掲げる必要があるほど、そうした気持ちがまだ足りないと考えたのかもしれない。昨季を思いだすと肝心なところでの悔しい負け方が印象深く、最たるホームでの最終戦は逆転負けで、オリックスの胴上げを目撃することにもなった。

しかし、雪辱は何よりの糧にもなる。最後まで、その胴上げをベンチで目に焼き付けるかのように見つめていた松井裕樹は、契約更改の会見で今季の目標に「胴上げ投手」と掲げた。実現への熱い気持ちが伝わってくるようだった。もちろん、そんなたぎる悔しさを秘めた選手は、他にも多くいるはずだ。

勝利への熱いエネルギーを発する一人が、チームの主砲・浅村栄斗だ。石井一久監督は、そうした浅村の背中を見習ってほしいと今季のキャプテンに指名した。昨年はキャプテンを置かなかったので、2年ぶりの復活となる。

試合以外での佇まいや普段の話しぶりから想像もつかないほどの集中力や執念を実戦でみせるのは、同じく主軸の島内明宏も同じだが、こうした軸となる選手がスローガンを体現することでチーム全員に浸透し、逞しい試合がより多く見られることに期待が募る。

早くも沖縄入りした新外国人選手からも、ポジティブな推進力が感じられる。球団YouTubeを見ると、先発候補のマニー・バニュエロスは「とにかく前向きで自分に自信を持ってプレーができる」。右の大砲マイケル・フランコは「どんな場面でもポジティブにプレーできる」。元巨人で育成契約を結んだエスタミー・ウレーニャは「日本の経験もあるし、守備でも貢献できる」と『自分が掴む』強い気持ちをアピールしているのだ。

また、バニュエロスは「日本語も覚えることにも挑戦したい」と明かすと、すでに言い慣れたような発音で「ありがとう」「こんにちは」と披露していたので、順応性も高そう。これを受けて、フランコも「僕も日本語を覚えたい」と前向きな様子。

3人とも母国語がスペイン語なので、互いにダイレクトにいい刺激を与えあっては、チームだけでなく日本に馴染もうとする気持ちが伝わってくる。皆一軍キャンプに帯同するので、J SPORTSのキャンプ生中継でも見られるだろう。

春季キャンプは、新しいチームとしての再出発。新しい選手だけでなく、既存の選手たちにも目を向けたい。選手たちは、オフのうちに身体づくり・体力づくりに励むため、ほんの数か月の間に逞しくなっていたり真っ黒に日焼けしていたりと驚くほど体型や雰囲気が異なっている選手も少なくないのだ。

若い選手が大幅に体重を増やしてしていることに気づくこともあるが、すべては野球の上達を願ってのチャレンジ。シーズンを通じて痩せてしまって戻したというケースもあるが、体重の増減1つとっても選手の苦労や試行錯誤が感じられる。

投手も野手も、毎年のように大なり小なりの改良を加えて新シーズンに挑む。一方で小深田大翔ように、チームが別々になっても3年連続で藤田一也（現横浜DeNA）と自主トレを共にして年々その守備技術を進化させていることもある。ひたむきに向上を目指す姿が見られる貴重な春季キャンプ。気になる選手たちの変化や進化への挑戦を見守りたい。

文：松山ようこ