【広島好き】選手の出身校からカープの先輩・後輩関係を調べてみた

広島好きコラム

昨シーズン、10年目のブレイクを果たした上本崇司が、悩めるドラ1・中村奨成と自主トレを行なったことが話題になっています。2人は同じ広陵高校出身で、先輩の上本が中村奨を誘ったということですが、個人事業主のプロ野球選手でも、同じ学校などでのつながりは浅くないようです。今回はカープの中での先輩・後輩関係を調べてみたいと思います。

まず、上本と中村奨の出身校である広陵高校は、地元・広島の名門校だけに、これまでも多くの選手が在籍しています。現役選手では、2人の他に野村祐輔とドラフト5位ルーキー・河野佳が同校の出身です。県内屈指の強豪校だけに、いずれの選手も甲子園に出場しており、それぞれが華々しい成績を残しています。

野村と上本は1学年違いで、準優勝した2007年夏の甲子園では野村がエース、上本は2年生ながら遊撃手のレギュラーとして活躍しました。ちなみに野村の同期には2018年引退で現在はスコアラーの土生翔平、上本の同期には昨年引退した中田廉がいました。

中村奨も2017年夏の甲子園で準優勝しています。この大会で中村奨は、準決勝までの4試合で3試合連続を含む6本塁打を放ち、あの清原和博が保持していた1大会5本塁打の個人最多本塁打記録を更新しました。ルーキーの河野は、2018年夏と2019年春の甲子園に出場。いずれも2回戦で敗退しましたが、2019年春の1回戦・八戸学院光星高校戦では3安打完封勝利をマークしています。

野村と上本は、進学した明治大学でもチームメイトでしたが、明治大学と言えば、いまやチームのエース格となった森下暢仁も明治大学の出身です。近年では山崎福也（オリックス）、柳裕也（中日）、伊勢大夢、入江大生（いずれも横浜DeNA）など、好投手を多く輩出している同大学ですが、ともに新人王に輝いた野村、森下の「エースの系譜」は、カープにとっては「黄金ライン」と言えそうです。

大学では、亜細亜大学と慶應義塾大学も3人ずつがチームに所属しています。亜細亜大学は古くから広島の強豪校と結び付きの深い大学でしたが、現チームの九里亜蓮と薮田和樹はいずれも岡山理大付高校出身で、野手の矢野雅哉は兵庫・育英高校出身。広島で生まれたのは薮田のみです。

近年、勢力を拡大中なのが、松田オーナーの出身大学でもある慶應義塾大学で、昨季プロ6年目でブレイクを果たした矢崎拓也に、ルーキーイヤーから外野の一角も担った中村健人、そして今ドラフトで本格派左腕の長谷部銀次が新たに加入しました。

明治大学や亜細亜大学出身の選手はいずれも大学からプロ入りしているのに対して、慶應義塾大学からの直接プロ入りは矢崎のみで、中村健、長谷部はトヨタ自動車を経てのプロ入りとなっています。また、地方大学では、野間峻祥、床田寛樹と投打の主力を輩出し、育成にも注目のナックルボーラー・坂田怜がいる中部学院大の存在も見逃せないところです。

高校では直接プロ入りでない選手を含めて、出身者4人を輩出しているのが中京大中京高校で、前述した大学、社会人経由の中村、長谷部に加えて、堂林翔太、磯村嘉孝の甲子園優勝バッテリーが、直接プロ入りを果たしています。

この他、智弁和歌山高校は林晃汰、小林樹斗、黒原拓未の3人。高校から直接プロ入りは林、小林の2人で、黒原は関西学院大学を経ての入団となっています。また、敦賀気比も現在3人の選手が所属しています。西川龍馬は社会人の王子を経ての入団ですが、いずれも育成の木下元秀、前川誠太は高卒でのプロ入りとなっています。

最後に学校ではありませんが、2020年から3年連続でドラフト指名されているのがこれまで何度も登場したトヨタ自動車です。絶対的守護神の栗林良吏、外野の一角を狙う中村健と、即戦力の流れを長谷部も継続できるか。プロ入りまでの経緯は様々ですが、選手の関係を先輩・後輩で見るのも、またプロ野球を楽しむひとつの方法かもしれません。

文：大久保泰伸