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横浜DeNAベイスターズ
2023年シーズンの新スローガンが発表されました。『横浜反撃』で前年最下位から一気に2位に浮上した昨季から、1998年以来のリーグ優勝が期待される今季は『横浜頂戦』。「挑」戦ではなく、25年ぶりの「頂」を意識したこの造語には、強い意志が感じられます。
就任3年目を迎える三浦大輔監督は、1年目から『横浜一心』、そして反撃、頂戦と横浜に漢字二文字を加えたスタイルで統一していますが、これまで球団はどんなスローガンを掲げていたのでしょうか。ここでは21世紀以降のものを振り返っていきたいと思います。
新世紀がスタートした2001年、西武黄金時代を率いた名将・森祇晶監督を迎えてのシーズンは『Fight in Unity(ファイト・イン・ユニティー=一致団結して戦おう)』。前年に続くFIGHTから始まる言葉で、3年連続となる3位となりましたが、『Break with Tradition』の2002年は最下位に終わり、森監督は2年で退任となりました。
チームの生え抜きスター選手だった山下大輔監督が就任した2003年は『Start afresh and Strive 一新・躍進』と文字通り新たなスタートを目指すも、結果は2年連続最下位。そして2004年から3年間使用されたのが『BE A HERO』。ベイスターズのスローガンと言えばこれ、と思えるほど、個人的には馴染みの深いものです。
この3年間の成績は最下位、牛島和彦監督に代わって3位、最下位でしたが、ハマスタの電光掲示板や広告などに、この短いながらもインパクト十分の言葉が踊っていた、記憶に残るキャッチフレーズでした。
1997年以来の再登板となった大矢明彦監督は、2007年から3年間、一貫して『MOVE ON〜なせば成る〜』を採用しました。1998年日本一の基盤を作ったと言われた大矢監督への期待はかなり高いものでしたが、4、6、6位と結果を残せませんでした。
2010年からは、セ・パ4球団で名投手コーチとして評判だった尾花高夫監督が就任。『FULL SEASON FULL POWER, Analyzing Baseball』と、全力かつ緻密な分析野球を掲げましたが、同監督は2年連続、チームとしては4年連続最下位と散々な成績で、オフには親会社だったTBSの撤退が決定しました。
2012年に横浜DeNAベイスターズが誕生し、初代監督となったのが、巨人のスター選手でアテネ五輪では、病気で倒れた長嶋茂雄監督の代行を務めた中畑清監督でした。中畑監督は、それまで英語が続いたスローガンを『熱いぜ!横浜DeNA』(2012年)とベタな日本語に変更。
2013年からは『勝』『心』『導』と、漢字一文字のシリーズを確立させましたが、最下位、5位、5位、そして最後の年となった2015年も最下位と、長らく続いた不振脱出はなりませんでした。
それでも中畑監督最終年には前半戦を首位で折り返すなど、チームは徐々に変化を見せていました。そんな流れで2016年に就任したのが、球団初の外国人指揮官となるアレックス・ラミレス監督(19年に帰化し、現在は日本人)でした。
『WE PLAY TO WIN』と、再び英語に戻してスタートした1年目は、シーズン勝率こそ5割に達しませんでしたが3位に入り、球団初のクライマックスシリーズ(CS)進出を達成。指揮官自らが発案した『THIS IS MY ERA.』、今年は俺の時代だ、という意味を掲げた2017年には、今度は勝率.529で堂々の3位となり、CSで阪神、広島を破り、1998年以来となる日本シリーズ進出も果たしました。
『VICTORY is within US.』と「優勝」の文字を意識した2018年は4位でCS進出を逃しましたが、『GO Beyond the Limit.』と限界突破を目指した2019年に1997年以来となる2位と躍進。1980年以降では球団最長となる監督5年目を迎えた2020年は『NEW GENERETION IS HERE』のスローガンで4位に終わり、ラミレス監督は退任となりましたが、後を継いだ三浦監督がこの新たな世代を開花させつつあります。
38年ぶりのリーグ優勝、日本一を決めた1998年のスローガンは『GET THE FLAG!』と、優勝を明確に意識したものでした。「頂」を目指す今季はどんな結果になるのか、今から楽しみです。
文:大久保泰伸
大久保泰伸
フリーライター、編集者。1969年広島市生まれ、現在は神奈川県在住。出版社勤務を経て、20世紀の終わり頃に独立。別冊宝島野球シリーズの執筆、編集や広島などのOBの著書の編集協力などを行い、同社のプロ野球選手名鑑は創刊時から現在まで関わる。記者活動は2009年にベースボール・タイムズ紙の広島担当でスタートし、15年から野球専門サイトのフルカウントで広島、18年からはDeNA担当も兼務した。
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