人気ランキング

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

コラム&ブログ一覧

野球 コラム 2022年12月1日

【オリックス好き】ブレイクの予感漂う大器~太田椋~

野球好きコラム by 大前 一樹
  • Line

太田椋

10月30日。日本シリーズ第7戦。プレーボールからわずか10秒、オリックス・バファローズの31番は1塁ベース手前で、自身の放った打球がセンターのフェンスを越えるのを見届けた。史上初の日本シリーズでの初球先頭打者ホームランという離れ業だった。「正直、あのホームランに関してはよく覚えていないんです(苦笑)。ただ、1番で起用して頂いたので、最初から振って行こうと決めていました。何とか、チームに勢いをつけたかったから・・・」太田椋の先制弾で有利に試合を進めたオリックス・バファローズは東京ヤクルトスワローズの反撃を振り切って、26年ぶりに日本プロ野球の頂点を極めた。

チームのリーグ連覇、さらには昨季のリベンジを果たしての日本一に貢献した太田にとって、2022シーズンはどんな1年だったのか。チームのトッププロスペクトにとって4年目のシーズンだった今季。「自分としては悔しいシーズンでした。一軍で起用された際になかなか結果が出ない。打ちたい気持ちが強すぎて・・。トータルで見れば一軍に定着できなかったわけですから」そう話す彼が、最も印象に残る試合として挙げたのは8月5日の北海道日本ハムファイターズ戦。この日は1番セカンドで先発起用されたのだが、結果は3打数3三振。中にはバント失敗の末の三振も含まれている。試合途中で交代となった太田は、翌日に舞洲行きを告げられた。今季5度目の降格だった。その際、中嶋聡監督は彼に「初球からしっかりスイングできるタイミングをつかむこと。後はバントを確実に決められること」の2点の宿題を与えたという。「狙い球を一発で仕留めるというのは僕のテーマですし、そこはしっかり突き詰めて行こうと改めて思いましたし、バントに関してはあれからみっちり練習しましたね(苦笑)」

今季、幾度か昇格・降格を繰り返した太田だが、ファームでの62試合では打率.302、5ホーマーと結果を残している。特に、シーズン半ば以降のウエスタンでの打撃は安定感を増して行った。「少し、打撃に関しては変えた部分があって・・。口で説明するのは難しいのですが、球の待ち方といいますか、目付けといいますか、自分の中で少し意識を変えたのですが、それが少しずついい感じに向かっていきましたね」そう話す彼が、自身の打撃における好転を実感した試合として挙げたのは6月30日の舞洲でのウエスタンリーグ。中日ドラゴンズの左腕・岡田俊哉から満塁ホームランを放った際に、「これかな?!」という何かを感じ取ったという。以降、ファームでは好調をキープ、「いつ上(一軍)から声が掛かっても良いように準備はしていました」

そして、その時が訪れる。シーズン最終盤、一軍が優勝争いの佳境を迎えていた9月15日。太田は一軍に呼ばれた。開幕から数えて7度目の昇格だった。登録即のスタメン起用で太田は2安打。首脳陣の期待に応えて見せた。特に延長12回の先頭打者として放った2塁打は、その後の若月健矢のサヨナラ打を呼び込む貴重な一打となった。そして、4日後の天王山、福岡ソフトバンクホークス相手に3つの犠打を見事に決めて、夏に指揮官から与えられた課題を見事にクリア。首位相手のスイープに一役買ったのだ。その後は、リーグ優勝、CS突破のシーンに立ち合い、日本シリーズでもバットで貢献。緊張感の中で、濃密な時間を過ごすことができた。「プロに入って、やっと一軍の勝利に貢献できましたかね(笑)。負けられない試合が続く、あのムードを肌で感じることができたのは、自分にとって貴重な経験です」悔しさを噛み殺しながら過ごした夏場までの努力が、まさに実りの秋に結実したわけだ。

毎年、春のキャンプでは目立ち、活躍が期待され続けてきた大器。そんな太田を指揮官は「“Mr.SOKKEN”(宮崎キャンプで使用する野球場がSOKKENスタジアム)やからなぁ」と、揶揄しながらも更なる成長を促してきた。「監督に直接言われましたね(苦笑)。僕って、フェニックスでも打てていて、宮崎とは相性が良いのでしょうか?」と本人は笑うが、脱・SOKKENはもちろんのこと、脱・舞洲が来季の最大のテーマ。とにかく一軍での結果にフォーカスしたい。「竜さん(辻竜太郎コーチ)からも、『とにかくここが舞洲やと思え!何ならここは奈良の橿原球場(高校時代に慣れ親しんだ球場)や!』って励ましてもらっていましたから」

秋の高知キャンプでは徹底してバットを振り込んだ。「速い球、力のあるボールに負けないスイングスピードと振る力を主眼に置いてやってきました。良い時間が高知でも過ごせたと思います」来季、目指すものは一軍定着と、その先のセカンドの定位置取り。「ライバルも多いですが、まずは自分に勝たないと・・」 5年目の来季、太田椋が立つべき舞台、主戦場は京セラドーム。レギュラー奪取へ、機は熟した。

取材・文:大前一樹

J SPORTS 放送情報

大前 一樹

1961年兵庫県生まれ。関西学院大学文学部卒業。 放送局アナウンサーを経て独立。今は、フリーアナウンサー、ライターとして活動中。 有限会社オールコレクト代表取締役、アナウンサー講座「関西メディアアカデミー代表」。 「J SPORTS STADIUM2022」オリックス・バファローズ主催試合の実況を担当。

  • Line

あわせて読みたい

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

ジャンル一覧

人気ランキング(オンデマンド番組)

J SPORTSで
野球を応援しよう!

野球の放送・配信ページへ