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島内宏明
チームの主軸として安定した活躍を見せた島内宏明選手。このファンからの質問シリーズで多かったのは、昨季は打点王、今季は最多安打に輝いたように、ここぞの集中力に象徴されるメンタルに関するものでした。
シーズン終盤も、一戦ごとの重みが増すなか、島内選手は最多安打でトップを快走し、打率や打点でもランキング上位をキープ。チームとしても個人としても、ますます大事な時期ながら、変わらぬ安定感をみせました。
果たして、その心中はどうだったのか。今回は、初めて詳しく語ってくれました。独特の言い回しながら、胸中のニュアンスを伝えるべく、これまでにも何度となくパスを投げている村上広報が、今回も登場。島内選手の真意を説明する重要な役割を担ってくれています。
―― このシリーズで最も多かった質問がメンタルに関することでした。いろんな方の質問をまとめてお尋ねしますね。島内選手はチームの4番なので、得点に絡む場面も多く見られますが、チャンスでも飄々としていたり、いつも平常心で仕事をこなされていたりするように見えます。一体、島内選手がプレッシャーを強く感じる時はあるのでしょうか?あるとしたら、どういう場面でしょうか?
それはもう、いつもプレッシャーは強く感じてますよ。他の選手がどう感じているのかはわからないですけど、僕は普通の人の感覚と同じで、チャンスとかそんなに回ってきてほしいって、あまり思いませんから。
―― 普通の人の感覚と同じとは?
じゃあ広報の村上さんに聞いてみましょう。村上さん、どうですか? 野球やってた時、チャンスで回ってくると考えたら、どう思いますか?
村上広報:あ~…「チャンスで回って来い」なんて思わないですね。
そういうことなんですよ。これが本音なんです。本当に普通の人の感覚だと、「チャンスで回って来い」なんて思わないんですよ。たまにそう言う選手がいるかもしれないですけど、結局は自分に言い聞かせて、発破かけてるだけじゃないかと思うんです。
というのも、チャンスで回ってきた時が、一番メンタルの振れ幅があるところなわけですよ。ここでもし打てなかったら、すごく落ち込む。チャンス以外ならね、そこまで落ち込まない。
僕は一喜一憂したら『負け』だと思ってるんです。あまり感情に引きずられないようにって努めていて。嬉しいっていう感情であってもです。まあ、『負け』は言いすぎかもしれないですけど、メンタルに振れ幅があると元に戻すのが大変なので、気持ちを高ぶらせないようにはしています。
だって毎日試合があるわけですから。いちいち一喜一憂してたら持ちません。人それぞれとは思いますが、僕はそうやって気持ちをコントロールするのが性に合ってるんです。
―― そもそもになりますが、質問にもありまして。では、島内選手は野球をしている時、試合中など、カッとなるほど感情的になってしまうことはありますか? あるとしたら、それはどんな時ですか?
感情的になることはあります、あります。試合中、カッとなって目の前のベンチをぶっ壊してやろうかって思う時だってありますから。外から見てもわからないかもしれないですけど、きっと近くにいる人には何か伝わってしまってるだろうなとは思います。
そもそも僕、練習の時でもピリピリしてる時ありますから。特に去年は多かったですね。そういう時は誰とも喋らないです。練習中ずっと。周りに対して何かというのではなく、自分に対してです。なんでこんなにできないんだって、気が立って仕方なくて。できれば仏の心を持って、どれだけしんどくても見せないようにしたいです。
*****
島内選手はいつも平静を保って、難なくこなしていたのではありませんでした。当たり前ですが、トップアスリートであろうと、普通の人間でもあるからです。最近は、アスリートのメンタルヘルスについて報じられることが増えているので、少しずつ理解も進んでいますが、まさにそうした話を伺うことができました。
島内選手はこれまでも今も、自問自答したり葛藤したりしながら、ここぞの場面では重圧を感じながらフィールドに立ち続けているのです。こうして細やかに言葉にして語ってもらうと、改めて実感させられます。次回はついに最終回。シーズン終盤の心中や島内選手のキャリアの展望について、お伝えします。
取材・文:松山ようこ/写真:東北楽天ゴールデンイーグルス提供
松山 ようこ
翻訳者/ライター/インタビュアー。主にスポーツやエンタメ分野にて実績多数。野球はプロ野球からMLB、他にもマイナースポーツからオリンピック大会まで、国内外の競技場や大会での現地取材を数多く経験するスポーツ好き。アスリートはじめ、一般人から著名人まで幅広くインタビューし、日本語と英語ともに記事やコラムにする。訳書『ピッチングニンジャの投手論』『ベイダータイム』。 ※『ピッチングニンジャの投手論 PitchingNinja's analysis of Japanese MLB Aces』 ※『VADER TIME ベイダータイム: 皇帝戦士の真実 』
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