西日本の各地区を勝ち上がった個性あふれる5チーム。都市対抗野球チーム紹介（中国・四国・九州代表）

第93回都市対抗野球大会が、7月18日（月）に開幕する。今回は中国・四国・九州の代表5チームを取り上げる。

JFE西日本（3年ぶり11回目／福山市・倉敷市）中国第1代表

JFE西日本

◆過去5年間の成績
・2021年：予選敗退
・2020年：予選敗退
・2019年：ベスト8
・2018年：予選敗退
・2017年：予選敗退

津山裕希（JFE西日本）

三菱自動車倉敷オーシャンズ、シティライト岡山、JR西日本に3連勝して中国第1代表となった。エースの津山裕希は1回戦、中2日の決勝と完投勝利を挙げている。中部学院大学から入社して3年目の右下手投げで、速球は120キロながら独特の球筋や緩急、変化球で打者を打ち取る。

また、過去の都市対抗で好投している倉敷オーシャンズの本格派右腕・彦坂魁人、伯和ビクトリーズの変則左腕・平岡航を補強しており、津山への依存度を下げた状態で本大会を迎えられそうだ。

チームの主砲は何と言っても4番・指名打者の綿屋樹。180センチ・95キロの左打者で、2次予選の3試合で打率.417、2本塁打、7打点を記録している。入社3年目の外野手・上西嵐満は第1代表決定戦で5打数4安打4打点と爆発し、本大会出場の立役者になった。田中友博、岡将吾と実績のある二遊間コンビもチームの強みだ。

JR西日本（4年ぶり5回目／広島市）中国第2代表

JR西日本

◆過去5年間の成績
・2021年：予選敗退
・2020年：予選敗退
・2019年：予選敗退
・2018年：ベスト8
・2017年：ベスト8

石黒佑弥（JR西日本）

三菱自動車倉敷オーシャンズとの第2代表決定戦を制し、出場権を得た。高卒3年目の石黒佑弥は4試合全てに先発し、第2代表決定戦を11回1失点で完投したエース。石黒は178センチ・75キロの右腕で、常時140キロ台の速球、カットボールやフォークを武器とする。23回2/3で3四死球と制球力も高く、全国大会での躍動が楽しみだ。

リリーフには向井翔也、齋藤祐太と技巧派の2人が控えている。元横浜DeNAの右腕・加賀美希昇、佃勇典らのベテラン右腕も健在で、石黒は安心して登板できるだろう。

田村強は全国区の内野手で強打の右打者。4試合で打率.400を記録するなど、今予選は4番の期待に応えた。奥野翔琉は明徳義塾高校から入社してまだ2年目の外野手だが、すでに先発起用されている。俊足で守備範囲が広く、ライトの守備でも魅せられる。

四国銀行（3年連続21回目／高知市）四国代表

◆過去5年間の成績
・2021年：1回戦敗退
・2020年：ベスト8
・2019年：予選敗退
・2018年：予選敗退
・2017年：予選敗退

過去10大会の四国代表を見ると四国銀行が出場5回、JR四国が出場4回というライバル関係が分かる。四国銀行は社業優先で全体練習は週3日、部員は20名でそのうち2人はコーチやマネージャーとの兼任という体制ながら、2020年の第91回大会はベスト8入りも果たしている。

29歳で主将の右腕・菊池大樹がチームのエースを担っていたが、今年は3年目の右腕・佐田涼介がエースとして台頭しつつある。一昨年の東京ドームでは最速148キロを計測した本格派で、縦変化の質も高い。JR四国から補強された右腕・山本凌も150キロの速球を持つ右腕で、彼の登板も楽しみだ。

4番・捕手の南武志は180センチ・120キロの巨漢で、代表決定戦ではサヨナラ本塁打を放った。6番・指名打者の藤井拓海は投手登録の「二刀流」で、やはり代表決定戦で本塁打を放っている。

Honda熊本（7年連続16回目／大津町）九州第1代表

Honda熊本

◆過去5年間の成績
・2021年：準優勝
・2020年：ベスト8
・2019年：2回戦敗退
・2018年：1回戦敗退
・2017年：2回戦敗退

昨年の第92回大会では準優勝。今大会も九州第1代表として東京ドームに戻ってくる。片山雄貴は前回大会で久慈賞（敢闘賞）に輝いた28歳のエース。右スリークォーターの変則フォームで、多彩な変化球を武器にする技巧派だ。今予選も第1代表決定戦では、JR九州を相手に1失点完投勝利を挙げている。

明治大学から入社した新人右腕・高橋聖人、入社2年目の本格派・高山大河など若手投手陣にも人材はおり、さらに補強で西部ガスのエース・村田健が加わっている。

山本卓弥（Honda熊本）

山本卓弥は入社3年目の外野手で、前回大会の優秀選手だ。183センチ・86キロで一発も秘める左打者だが、2次予選は1番で起用され、何と打率.700を記録している。和田裕生は5番・指名打者で起用された第1代表決定戦で2本塁打を記録し、勝利の立役者となっている。

昨年は若獅子賞に輝いた古寺宏輝は今年も4番・一塁で起用され、予選では勝負強い打撃を見せた。元々若手の多いチームだったこともあり、期待値は昨年以上かもしれない。

宮崎梅田学園（3年ぶり2回目／宮崎市）九州第2代表

宮崎梅田学園

◆過去5年間の成績
・2021年：予選敗退
・2020年：予選敗退
・2019年：1回戦敗退
・2018年：予選敗退
・2017年：予選敗退

九州2次予選の1回戦で敗れたものの、第2代表決定トーナメントを5連勝で突破。九州の2枠目をつかみ、2回目の出場を決めている。選手たちは自動車教習所の指導員として働き、繁忙期の2～3月は全体練習ができないという少し難しいプレー環境だ。

エースは28歳、左サイドハンドの技巧派・林健太。スライダーが武器で、昨年はHonda熊本の補強選手として準優勝を経験している。松原孝成は189センチの大型右腕で、速球の最速は140キロ台後半。林に並ぶ先発の柱だ。

寶田和也（宮崎梅田学園）

寶田和也は宮崎産業経営大学から入社して1年目の内野手。2次予選は打率.565、3四死球、4盗塁と先頭打者の役割を果たした。堤喜昭は36歳の大ベテラン。草創期からこのチームでプレーする右の強打者で、今なお4番打者を譲っていない。3年前の都市対抗では本塁打も放っている。チームは都市対抗、日本選手権とも未勝利、まずは東京ドームでの1勝を決めたい。

文：大島和人