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野球 コラム 2022年7月12日

強豪ひしめく激戦地区を勝ち抜いた5チーム、プロ注目の選手も多数。都市対抗野球チーム紹介(北関東・南関東代表)

野球好きコラム by 大島 和人
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第93回都市対抗野球大会が、7月18日(月)に開幕する。今回は北関東代表2チームと南関東代表3チームを取り上げる。

日立製作所(日立市/4年連続40回目)北関東第1代表

日立製作所

◆過去5年間の成績
・2021年:2回戦敗退
・2020年:1回戦敗退
・2019年:ベスト4
・2018年:予選敗退
・2017年:1回戦敗退

北関東地区は強豪チーム、プロ注目の人材が多いものの本大会出場枠が「2」しかない。日立製作所は投手陣が2次予選の3試合をわずか1失点で乗り切り、激戦区で第1代表の座をつかんだ。

岡直人(日立製作所)

チームの主戦投手は左腕・岡直人と、右腕・青野善行。岡は最速こそ140キロ台前半だが、「キレ」や「伸び」のある球質を持ち、「K/BBレシオ」(三振と四死球の比率)が高い。入社直後はスタミナに難があったものの、入社4年目を迎えて終盤の落ち込みも解消。2次予選準決勝ではSUBARUから完封勝利を挙げている。

青野は一昨年の都市対抗で151キロを計測している本格派。やはり入社4年目で、国際武道大学では大学選手権で2年連続準優勝を達成するなど、大舞台の経験もある。

2次予選は登板が無かったものの、入社3年目の原田泰成がやはり150キロ台の速球を持ち、東海大学時代から「プロ注」として名の挙がっていた剛腕。本大会はリリーフでの起用があるだろう。また、補強でSUBARUの左腕・阿部博光が加わった。昨年の2回戦では7者連続奪三振を記録している実力者だ。

打線は巧守のセカンド野中祐也、強肩の捕手・中園雄一郎、強打の外野手・大塚直人、入社21年目の一塁手・田中政則と「オーバー30」のベテランが健在。揃って今回の予選でも活躍をしている。

日本製鉄鹿島(鹿嶋市/2年ぶり21回目)北関東第2代表

日本製鉄鹿島

◆過去5年間の成績
・2021年:予選敗退
・2020年:1回戦敗退
・2019年:2回戦敗退
・2018年:2回戦敗退
・2017年:1回戦敗退

投手陣は飯田晴海、元DeNAベイスターズの伊藤拓郎と経験豊富な実力者がいる中で、台頭を見せているのが入社2年目の右腕・大津亮介。176センチ・67キロとやや細身だが、140キロ台後半の速球を持つ本格派だ。第2代表決定戦は7回途中からのリリーフでリードを守り、胴上げ投手になった。

樫村昌樹(日本製鉄鹿島)

打線は高畠裕平、堀越匠、藤本雄也と「定番」のベテランが並ぶ中で、新人の樫村昌樹が2次予選で大ブレイクを見せた。樫村は北関東地区予選で2番サードに入り、打率.563、7打点の大活躍で首位打者賞を獲得。入社当初の下位打線から、不動のレギュラーまで這い上がった。また三拍子の揃ったショート池間誉人、4番を任される強打の内野手・生田目忍も注目だ。

Honda(寄居町・小川町/6年連続36回目)南関東第1代表

Honda

◆過去5年間の成績
・2021年:1回戦敗退
・2020年:優勝
・2019年:2回戦敗退
・2018年:1回戦敗退
・2017年:2回戦敗退

昨年の第92回大会はよもやの1回戦負けを喫したものの、第91回大会の優勝チームだ。激戦区・南関東の2次予選をわずか3投手で乗り切り、第1代表の座を勝ち取った。

中村伊吹(Honda)

1回戦、第1代表決定戦で先発し好投を見せたのが入社3年目の左腕・中村伊吹。速球は140キロ前後にとどまるが、変化球とのコンビネーションがよく、加えて制球力が入社後に大きく向上。台頭は同期入社の朝山広憲、後輩の片山皓心に遅れを取ったが、今大会はエースとして東京ドーム進出に貢献した。

クローザーを任されるのが、ベテラン右腕の福島由登。2008年の全国高等学校野球選手権では大阪桐蔭高校のエースとして日本一に輝き、その後もアマチュア球界の先頭に立ち続けてきた。150キロ近い速球と、激しく折れるスライダーは今も健在だ。

打線は佐藤竜彦がこの2次予選も打率5割、出塁率.667と圧倒的な結果を出している。また、JFE東日本から第90回大会の優勝メンバーである峯本匠、平山快も補強された。

一昨年の都市対抗制覇を知らない新世代も台頭している。峯村貴希は入社1年目ながら3番に定着し、打率.444、3打点と好成績を挙げた大型ショート。同じく新人の瀬戸成一郎も1番ライトで定位置を得ている。

日本通運(さいたま市/8年連続47回目)南関東第2代表

日本通運

◆過去5年間の成績
・2021年:2回戦敗退
・2020年:1回戦敗退
・2019年:1回戦敗退
・2018年:2回戦敗退
・2017年:準優勝

47回目出場の日本通運。今大会ではENEOSの52回に次ぐ出場回数を誇り、数多くの名選手をプロに輩出してきた古豪だ。

投手陣は若手が2次予選で活躍を見せた。第2代表決定戦に先発して完封勝利を挙げたのが3年目の右腕・前田敬太。前回大会の1回戦でも先発して勝ち投手になっている大型右腕で、過去には150キロ台を計測しているが、徐々に「打者を観察して丁寧に投げる上手さ」を身に着けた実戦派へと脱皮しつつある。

第1代表決定戦の先発を任されたのが中央学院大学出身の新人右腕・古田島成龍。175センチとそこまで大柄ではないが球威、変化球のキレともに社会人トップレベルの「プロ注」だ。

高野脩汰(日本通運)

ドラフト候補として名の挙がる存在は、関西大学から入社して2年目の高野脩汰。出雲商業高の大先輩・大野豊を彷彿とさせる本格派左腕だ。入社時から一回り大きくなり、現在の最速は149キロ。インコースを突く強気の投球を武器にしている。

打線は捕手の木南了、3番サードの稲垣誠也が侍ジャパン社会人選抜。4番・ライトの北川利生も社会人を代表する右の強打者だ。1番ショートの添田真海は入社3年目で、明治大学時代は東京六大学の首位打者を獲得したこともある巧打者。若手の多い投手陣に比べて実績、経験の豊富な選手が揃っている。

日本製鉄かずさマジック(君津市/2年連続14回目)南関東第3代表

日本製鉄かずさマジック

◆過去5年間の成績
・2021年:2回戦敗退
・2020年:予選敗退
・2019年:予選敗退
・2018年:2回戦敗退
・2017年:予選敗退

3年前の都市対抗王者・JFE東日本が早々に敗退する波乱があったなか、進境著しいテイ・エス テックと競り合って「最後の1枠」をもぎ取った。指揮を執るのは2006年、2009年のWBC連覇に貢献した元千葉ロッテのサブマリン・渡辺俊介監督だ。

第3代表決定戦で完投勝利を挙げたエースが橘朋晃。速球の球速は130キロそこそこだが、変則フォームで打者の振り遅れを誘う「異能」の右サイドハンドだ。2019年はJFE東日本、2020年はHondaの補強選手として都市対抗制覇に貢献していて、実力は折り紙付き。第3代表決定戦は点差のついた9回に3ラン本塁打を浴びたものの、8回までは1失点と万全の内容だった。

山本晃希は右の本格派で、最速で150キロ台中盤の速球を持つ。元広島カープで、元WBCブラジル代表の変則派左腕・仲尾次オスカルも貴重な戦力だろう。

奈良原稔也(日本製鉄かずさマジック)

2番セカンドの奈良原稔也は2次予選の打率.333でレギュラーの中では最高だった。粘り強い打撃、広い守備範囲は父・浩氏(現・東北楽天コーチ)を彷彿とさせる。1番ショートの内山翔太はクラブチーム、BCリーグを経て入社した選手。彼も2次予選は打率.318、5打点と好調だった。

文:大島和人

大島 和人

大島 和人

1976年神奈川県で出生。育ちは埼玉で現在は東京都町田市に居住。早稲田大学在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れた。卒業後は損害保険会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。現在はサッカーやバスケ、アマチュア野球など多彩なボールゲームの現場に足を運んでいる。Twitter(@augustoparty

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