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広島好きコラム
オープン戦好調のベイスターズを敵地で圧倒し、順位予想での低評価を覆す開幕3連勝。リーグ3連覇を達成した2018年以来となる絶好のスタートは、セ・リーグ初となる開幕から2試合連続2ケタ得点に、9回2死からの大逆転劇と、大黒柱流出で不安視された打線の奮起によってもたらされたものでした。
シーズンに入り、このコラムでは1週間の戦いを振り返り、投打の週間MVPを選出したいと思います。選出の基準は、最終的には筆者の独断と偏見、ということになりますが、基本的に1週間の2カードでどの選手が活躍したか、「いいとこどり」でシーズン終了まで続けていければと思います。
今回は開幕カード3試合の週間MVPを選びたいと思います。横浜スタジアムでのベイスターズ3連戦は、リーグ史上初の開幕から2試合連続2ケタ得点など、3試合で28得点と打線が爆発しました。
スタメン起用された野手で最高打率を残したのが上本崇司と坂倉将吾で、上本は3試合で12打数6安打(3打点、2四球、1盗塁)、坂倉は14打数7安打(2打点)の打率.500をマークしています。2人に続くのがルーキーの末包昇大で、11打数5安打(1打点、1死球)の打率.455。西川龍馬が14打数5安打(5打点、1四球)の打率.357、菊池涼介が12打数4安打(1本塁打、4打点)、松山竜平も12打数4安打(1打点、2四球)の打率.333となっています。
開幕戦で強烈なインパクトを残したのが、チームの新人では2006年の梵英心以来となる開幕スタメンを果たした末包でした。末包は1死1・3塁で迎えたプロ初打席で、レフト前に今季チーム初得点となるタイムリー安打を放ち、プロ初安打、初打点を記録しました。続く、第2打席は二塁打、第4打席も安打で、球団の新人では1958年の古葉毅、森永勝治以来、史上3人目となる開幕戦での猛打賞を記録。第2戦、3戦でも安打をマークして3試合連続安打と、最高のプロデビューとなりました。
劇的な逆転勝ちを収めた第3戦のヒーローとなったのが西川龍馬です。1点ビハインドの9回2死満塁の場面で打席に立った西川は、抑えとして復活を目指す山崎康晃から走者一掃の三塁打を放って開幕3連勝の立役者となりました。
その他にも、開幕から3、2、2安打と3試合連続で複数安打を放った坂倉や、1・2戦でマルチ安打を記録して開幕4番の責任を果たした松山、1・2戦はセンター、第3戦はサードと異なるポジションで守備でも好プレーを見せた上本、スタメン以外でも第3戦に代打で登場して2点タイムリーを放ち、好走塁も見せた長野久義など、活躍者多数の中で、敢えてMVPに名前を挙げたいのが菊池涼介です。
3試合全てで安打を放った菊池涼はチーム初本塁打も記録し、3つの犠打と2番打者としての役割も完璧に果たしました。そして、打撃以上に評価したいのが二塁守備で、開幕戦では3点リードの4回1死2・3塁、第2戦も3点リードの4回1死1・3塁と同じような場面で、いずれも打者・宮崎敏郎の安打性の当たりを好捕して失点を最小限にとどめました。
投手のMVPは第2戦に先発した森下で間違いないはずです。開幕投手として抜群の安定感で球団史上2位タイとなる開幕戦3勝目をマークした大瀬良大地が作ったいい流れを受け継ぎ、8回3失点の好投で今季初勝利を挙げました。さらに投球以上に打者としても、2打席連続タイムリーを含む3安打猛打賞、3打点の大活躍で、文句なしのヒーローとなりました。
リリーフ陣は、塹江敦哉が2試合を投げて無失点で1ホールド、島内颯太郎が1試合を無失点に抑えました。しかし、それ以外では今季復活を目指す中崎翔太、ルーキーで開幕一軍入りを果たした松本竜也、セットアッパー候補のコルニエル、さらに昨季53試合でわずか5失点の絶対的守護神・栗林良吏も失点するなど、不安材料が多かっただけに、先発の柱となる2人に初登板で勝ちが付いたことは、今後に向けて好材料となるでしょう。
鈴木誠也という大黒柱が抜けた打線を全員でカバーしての快進撃は、エースの前田健太がMLB移籍しながら、結束力を見せて25年ぶりのリーグ優勝を果たした2016年に似ているような気もします。
最高のスタートを切った打撃陣も、長いシーズンでは必ず厳しい時が来るはずですが、ファームで来日1号本塁打を放った新外国人マクブルームや、開幕スタメンを逃した新キャプテンの野間峻祥、若き大砲候補の林晃汰、開幕3試合で惜しくも二軍落ちとなった中村奨成など、チーム全員の力で低評価を打ち破ってくれることを期待しましょう。
文:大久保泰伸
大久保泰伸
フリーライター、編集者。1969年広島市生まれ、現在は神奈川県在住。出版社勤務を経て、20世紀の終わり頃に独立。別冊宝島野球シリーズの執筆、編集や広島などのOBの著書の編集協力などを行い、同社のプロ野球選手名鑑は創刊時から現在まで関わる。記者活動は2009年にベースボール・タイムズ紙の広島担当でスタートし、15年から野球専門サイトのフルカウントで広島、18年からはDeNA担当も兼務した。
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