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野球 コラム 2022年3月11日

【広島好き】12日に来日するライアン・マクブルーム選手を詳しく調べてみた。『週刊カープいいとこどり』

野球好きコラム by 大久保泰伸
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開幕まであと2週間。オープン戦も佳境に入ってきましたが、ここまで9試合を消化して3勝5敗1分のカープ。特に打撃面はチーム打率.223と振るわず、11日(金)の北海道日本ハム戦は6点をあげましたが、それまでの8試合は全てが3得点以下でした。

チームの大黒柱だった鈴木誠也不在の影響がもろに出ている感じですが、救世主に期待される新外国人選手の来日がようやく決まりました。昨季はMLBのロイヤルズでプレーしたライアン・マクブルーム内野手。チームの今季を左右する助っ人は一体どんな選手なのか、調べてみました。

2014年のMLBドラフト15巡目(全体444位)でトロント・ブルージェイズに指名され、プロ入りしたマクブルームは、傘下のLow Aクラスのバンクーバー・カナディアンズでデビューし、1年目は70試合出場で打率.297、11本塁打、59打点を記録。High Aクラスに昇格した2年目は、127試合に出場して打率.315、12本塁打、90打点をマークし、出塁率と長打率を足したOPSは.869と高い数字を残しました。

その後も着実にステップアップを果たし、2017年途中にトレードでニューヨーク・ヤンキースに移籍。ヤンキース3Aのスクラントン・レイルライダースでスタートした2019年には117試合で26本塁打をマークし、9月にカンザスシティ・ロイヤルズに移籍。メジャー契約を果たした当日に先発出場して安打を放つなど、MLBで23試合に出場し、打率.293、6打点を記録しました。

コロナ禍に見舞われた2020年は、MLB36試合で打率.247と低打率でしたが、この時期から導入したアッパーカット打法が奏功し、6本塁打を記録。8月にはわずか3週間の期間に、代打本塁打3本を放って球団のシーズン記録を樹立しています。外野とDHで定位置確保も期待された昨季は、MLB出場が7試合に終わりましたが、3Aで115試合に出場し打率.261、32本塁打、88打点と活躍しました。

右の大砲として期待されるマクブルームの類稀なるパワーが実証されたのが、昨年8月に3Aで放った“衝撃の本塁打”でした。6回1死1・2塁の場面で、フルスイングしたマクブルームの打球はレフトスタンドぎりぎりに入るホームラン。飛距離としては平凡でしたが、驚くべきことに、その一打を放ったバットは真っ二つに折れており、残されたグリップエンドから細長く残った木辺を持ったまま、小走りでベースを1周しました。

規格外のパワーで鈴木誠也の穴埋めに期待される右の大砲ですが、気になるのは三振の多さです。マイナー時代の2016年から4年連続でシーズン100以上の三振数を記録しており、MLBの3年間でも通算66試合出場で61三振と、ほぼ1試合に1個のペースで三振しています。

とは言え、MLBでのプレー動画を見ると、スイングはコンパクトで変化球にもうまく対応し、センターから反対方向への打撃も見せるなど、昨年所属したケビン・クロンのような極端なプルヒッターというわけではないようです。コロナ禍の影響で来日が遅れ、日本の投手の配球に慣れるまでには時間が必要だと思いますが、まずこのタイプの打者を判断する指針となるのが、外角へボール球になる変化球への対応でしょう。

バッティングスタイルを見たところ、個人的には一発屋のブラッド・エルドレッドというよりは、期待値も込めて2004年に40本塁打をマークしたグレッグ・ラロッカのようなタイプの打者にも見えるのですが、いずれにしても、今季のカープ浮沈のカギを握る選手になることは間違いなさそうです。

文:大久保泰伸

大久保泰伸

フリーライター、編集者。1969年広島市生まれ、現在は神奈川県在住。出版社勤務を経て、20世紀の終わり頃に独立。別冊宝島野球シリーズの執筆、編集や広島などのOBの著書の編集協力などを行い、同社のプロ野球選手名鑑は創刊時から現在まで関わる。記者活動は2009年にベースボール・タイムズ紙の広島担当でスタートし、15年から野球専門サイトのフルカウントで広島、18年からはDeNA担当も兼務した。

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