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西川の1学年上には、現在オリックスの主砲である吉田正尚がおり、西川の2年時には3番・西川、4番・吉田と、今となっては夢のようなオーダーでした。吉田は1年夏と2年春に甲子園に出場していますが、この西川との3・4番の大会では甲子園出場を逃しており、高校野球というのは不思議と言うか、面白いものです。
3年前の2019年育成ドラフトで入団したのが木下元秀です。高校入学時は投手で、2年夏に左腕エースとして甲子園に出場しましたが、木更津総合高校相手に6回途中6失点で初戦敗退。その後はひじを痛めて外野手となり、4番打者として出場した3年夏はベスト16に進出しました。
甲子園での3試合では、2回戦の國學院久我山高校戦で5打数4安打5打点と爆発するなど、打率.583と強烈なインパクトを残しています。プロでも育成ながら1年目から二軍でチーム2位の7本塁打と非凡な長打力を見せており、本来ならば今春キャンプで持丸や二俣のように注目された可能性もありましたが、新型コロナ感染で惜しくも出遅れとなってしまいました。
昨年の育成ドラフト2位で入団した前川誠太は、木下とともに出場した1年夏にベンチ入りし、途中出場で2試合に出場。3年春は1回戦敗退で無安打に終わりましたが、夏はベスト8に進出し、3試合全てで安打を放っています。遊撃手の前川は俊足と守備の評価が高く、入団時には「最終的には日本を代表する選手になる」と抱負を語っています。
木下と前川の在学時の東哲平監督は、東出コーチの同級生で、敦賀気比の4番打者としてともに戦ったチームメイトです。育成の2人は東監督を通じて、高校時代から“東出イズム”のようなものを学んでいるのではないでしょうか。
東出コーチや西川に共通するのは、一筋縄ではいかない、いい意味でクセのある職人肌、という印象ですが、敦賀気比の遺伝子を受け継ぐ育成の2人にも、先輩のような活躍を期待したいところです。
文:大久保泰伸
大久保泰伸
フリーライター、編集者。1969年広島市生まれ、現在は神奈川県在住。出版社勤務を経て、20世紀の終わり頃に独立。別冊宝島野球シリーズの執筆、編集や広島などのOBの著書の編集協力などを行い、同社のプロ野球選手名鑑は創刊時から現在まで関わる。記者活動は2009年にベースボール・タイムズ紙の広島担当でスタートし、15年から野球専門サイトのフルカウントで広島、18年からはDeNA担当も兼務した。
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