【楽天好き】キャンプの人気メニューは「明太子パスタ」。選手たちを支える管理栄養士・長坂さんの献身

選手に人気の明太子パスタ（写真：球団提供）

練習、準備、挑戦、プレッシャー。プロ野球の春季キャンプは、心身ともにハードワークの日々が続く。そうした日々を乗り切るため、重要になるのが「食」だ。何をどう食べるかで、コンディションは大きく変わるため、近年は専門の管理栄養士にサポートを依頼するチームが増えている。

楽天でその役を担うのが、管理栄養士・公認スポーツ栄養士として活躍する長坂聡子さん。2012年はフェンシング男子フルーレ日本代表選手の栄養サポートを担当し、ロンドンオリンピックでの銀メダル獲得にも貢献。

そうした実績を買われ、2016年から楽天をサポートするように。現在は一軍も二軍も長坂さんが一手に引き受け、遠征先のホテルや寮で出されるメニューの調整、サプリメントの管理・手配などを行う。

キャンプ中、選手たちは何をどのように食べているのか。また、どんなことを心がけてサポートに勤しんでいるのか、長坂さんに話を伺った。

選手の様子を観察する長坂さん（写真：球団提供）

「食事メニューに関しては、栄養価を考えるのはもちろんですが、選手が食べるメニューでないと意味がありません。そのため、今までのメニューの中で喫食率が高かった（食べる選手が多かった）ものや、選手が食べたいと言ったメニューを極力入れるようにしています」。

選手にとって、食べることは“仕事”の一環でもある。だが、「やっぱり食事は楽しく美味しくいただくのが、一番大事です。コロナ禍で難しいこともたくさんありますけれども」と長坂さんは力説する。外食も制限されている今、これまで以上に食べることは喜びでもあり、ストレス発散なのだ。

また、キャンプ期は運動量もストレスも多くなるので、疲労回復のためにも炭水化物をはじめ、栄養価の高いメニューを楽しくしっかり摂ることが大事になるのだそうだ。

オムライス（写真：球団提供）

「キャンプではエネルギーをたくさん使います。なので宿泊先のホテルに相談して、白いご飯だけではなく、オムライスやチャーハン、ガーリックライス、スパゲティやうどんのような麺類などもメニューに入れてもらい、炭水化物が多く含まれている食材がしっかり食べられるよう工夫しています」。

人気メニューを尋ねると、「先日はガーリックライスが大人気でした。他にも、パスタなら明太子のパスタが人気でしたね。カルボナーラが食べたいっていうリクエストももらいました」と語る。

レバニラ炒め（写真：球団提供）

他にも、選手からのリクエストで取り入れたメニューを尋ねると、レバニラ炒めと教えてくれた。全体的にガッツリ系が多いのは、それだけエネルギーを消費している証だろう。頑張って食べていても、体重が落ちてきてしまうと悩む選手も少なくない。

「栄養価が高い食材や、アスリートに必要な様々な食材を取り揃えてもらっていますが、同じ食材を使うにしても喫食率が上がるよう（より多く食べてもらえるよう）工夫しています」と長坂さん。

ほうれん草のナムル（写真：球団提供）

例えばホテルのメニューに「ほうれん草のお浸し」とあった場合、「ほうれん草とベーコンのソテー」や「ほうれそうのナムル」に変更してもらう。すると、選手がより好む味付けになるだけでなく、ほうれん草に含まれている脂溶性ビタミンであるビタミンAの体内への吸収をより高めることができるという。一石二鳥なのだ。

長坂さんは「食事はどう？」「食欲は？」「体調は？」と選手たちとこまめにコミュニケーションを取り、いつも選手たちの様子を注意深く観察している。他にも、体重や運動能力を図るパフォーマンスデータなど、様々な情報を見比べて、選手たちのコンディションを注視しているという。

2016年当時から比べて、全体的に食事や体重に対する意識の高まりを実感しているといい、今では積極的にちょっとしたことでも長坂さんに質問をしてくる選手も少なくないそうだ。その話はまた次のコラムでご紹介したい。

文：松山ようこ／写真：球団提供