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野球 コラム 2022年2月9日

【横浜好き】メンバー表に記載されていない「新戦力」。『週刊ベイスターズいいとこどり』

野球好きコラム by 大久保泰伸
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横浜DeNAベイスターズ

春季キャンプも開始から1週間が経過しました。石井琢朗野手総合コーチなど、いわゆる「1998年V戦士」の新コーチたちの連日熱心な指導ぶりも伝わってきます。

一新された首脳陣にはもう1人、メンバー表には記載されていない、新たな“新戦力”と呼ぶべきスタッフがいます。コーチングアドバイザー(CA)という肩書きで古巣復帰を果たした小谷正勝氏です。

今年77歳になる小谷CAは、これまで4球団で投手コーチを務め、数多くの球史に残る投手を育てた名伯楽です。横浜大洋ホエールズのコーチ時代には、遠藤一彦や斉藤明雄をリーグを代表する投手に導き、さらに現監督の三浦大輔や投手コーチに就任した斎藤隆、大魔神・佐々木主浩、野村弘樹などの育成に関わりました。

関根潤三監督と、野村監督時代のヤクルトでコーチを務めた時には川崎憲次郎や五十嵐亮太、石川雅規などを育成して、1990年代後半のヤクルト黄金時代の影の立役者となり、2005年に二軍コーチに就任した巨人では内海哲也や山口鉄也などを指導し、ここでもリーグ三連覇に大きく貢献しました。

2013年には初のパ・リーグとなる千葉ロッテの二軍コーチとなり、唐川侑己や西野勇士、二木康太らを一軍の戦力に育て上げ、当時エースだった涌井秀章からも絶大な信頼を得ていたことなどが知られています。

多くの球団で指導者として名を馳せた小谷CAですが、現役時代は10年間、大洋ホエールズひと筋の生粋のOBと言える存在です。1968年の入団当時から主にリリーフ中心で、球団史上最初のストッパーとも言われています。

プロ3年目に53試合、翌年は58試合でリーグ最多登板を記録し、4年目の1971年にはほとんどリリーフで11勝をマークしました。入団後から引退まで一貫して背番号「24」を背負った右腕の通算成績は285試合登板(うち先発19試合)で24勝27敗、防御率3.07。

セーブ数は6となっていますが、NPBがセーブを公式記録として導入したのが小谷CAの現役晩年である1974年で、リーグ最多登板の時期には「太陽が出ない日はあっても、小谷が投げない日はない」と言われたほどの鉄腕ぶりで、実際はもっと多くのセーブやホールド数を記録しています。

巨人のコーチを務めていた2019年に胃と大腸のがんを患って現場を離れた小谷CAですが体調も戻り、今回の古巣復帰となりました。コーチではなく、コーチングアドバイザー契約となった今季は、シーズンを通じてチーム運営などにもアドバイスを送る立場で、コーチ歴40年の経験を齋藤、木塚淳志両投手コーチに指導歴40年で培ったノウハウを伝授し、投手陣全体のレベルアップにつながることが期待されています。

最下位からの下剋上を狙う今季、カギを握るのは投手陣であることは誰の目から見ても明らかなところで、稀代の名伯楽の手腕に注目です。

文:大久保泰伸

大久保泰伸

フリーライター、編集者。1969年広島市生まれ、現在は神奈川県在住。出版社勤務を経て、20世紀の終わり頃に独立。別冊宝島野球シリーズの執筆、編集や広島などのOBの著書の編集協力などを行い、同社のプロ野球選手名鑑は創刊時から現在まで関わる。記者活動は2009年にベースボール・タイムズ紙の広島担当でスタートし、15年から野球専門サイトのフルカウントで広島、18年からはDeNA担当も兼務した。

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