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10月11日のドラフト(プロ野球新人選手選択)会議では、社会人野球から15名の選手が指名されている。第92回都市対抗野球大会には、そのうち14選手が出場する。
昨年のドラフト会議でも社会人の選手は10名が指名されている。その中でも2投手が特に目覚ましい活躍を遂げた。
栗林良吏は広島東洋カープにドラフト1位で入団すると抑えの切り札として台頭し、8月の東京オリンピックでは金メダル獲得に貢献。0勝1敗37セーブ、防御率0.85という驚異的な成績でシーズンを終えた。
伊藤将司は阪神タイガースにドラフト2位で加入し、10勝7敗と先発投手の役割を果たした。彼らの活躍を見ても分かるように、社会人球界は人材の宝庫だ。
今回は今大会に登録されたドラフト指名選手を紹介する。今回は8名の投手を紹介する。8投手とも速球の最速が150キロ台。野球界全体のレベルが上がった中で、「150」は希少性のない数字となりつつある。
巨人2位指名の山田龍聖(JR東日本)
山田龍聖(JR東日本)は読売ジャイアンツの2位指名を受けた。高卒3年目の左腕で、183センチ・78キロの本格派だ。高岡商業高校時代から「プロ注」ではあったが、JR東日本に入社した。田嶋大樹(オリックス)や上述の伊藤ら好左腕を送り込んだ育成手腕が、山田に対しても発揮された。
最速153キロの速球を持ちつつ、球速を追うタイプではない。コンパクトで力みのない、効率の良いフォームから“品のいいフォーシーム”を投げ込んでくる。スライダー、チェンジアップも素晴らしいのだが、変化球に頼るスタイルではない。球種も無理に増やさず、今はまず基本の速球、フォームを磨いているように見える。
2次予選は27回2/3で27奪三振を記録した一方で、16四死球と苦しみ、悔しい思いをした試合もあった。ただ、今後の可能性という部分で、高く評価できる好投手だ。
広島2位指名の森翔平(三菱重工West)
三菱重工Westは大卒2年目の2投手が指名を受けた。森翔平は関西大学4年の秋にブレイクした遅咲きの左腕。177センチ・77キロの本格派で、150キロの球威に加えて「小さく動くボール」「緩急」を使えるタイプ。ドラフトでは広島の2位指名を受けた。2次予選は第3代表決定戦でパナソニックから完封勝利を挙げるなど、エースの役割を果たしている。
千葉ロッテ6位指名の八木彬(三菱重工West)
八木彬は千葉ロッテマリーンズの5位指名を受けた。182センチ・88キロのパワフルな右腕で、最速152キロの速球とフォークを武器にしている。東北福祉大学を経て三菱重工名古屋で1年プレーし、チームの統合により今年は三菱重工Westへ移った。東北福祉大では故障もあって、3年秋以降の登板機会がなかった。しかし社会人で台頭し、2次予選は2試合にリリーフ登板している。
柴田大地(日本通運)は“隠し玉”的な存在で、東京ヤクルトスワローズの3位指名を受けた。手術の影響で日本体育大学時代は公式戦の登板がゼロ。2次予選も1イニングしか投げていない2年目の右腕だ。180センチ・90キロ、最速156キロという情報は伝わってきているが、彼の投球を生で見たファンはほとんどいないはず。だからこそ東京ドームでその速球を見てみたい。
廣畑敦也(三菱自動車倉敷オーシャンズ)は千葉ロッテの3位指名を受けた。昨年の第91回大会は開幕戦で先発。第90回大会の王者・JFE東日本から1失点完投勝利を挙げ、若獅子賞(新人賞)にも輝いている。最速154キロの速球にスライダー、カーブと決め球に使える球種が複数あり、リリーフ登板をこなすなど“使い勝手”もいいタイプだ。
松本竜也はHonda鈴鹿の所属で、今大会は東邦ガスの補強選手となった。高卒4年目で、177センチ・85キロの右腕だ。パワフルでなおかつしなやかなタイプで、最速151キロの伸びやかな速球が武器。ドラフトでは広島の5位指名を受けている。智弁学園高校時代から評価は高く、入社後も1年目から登板機会を得ていた。昨年はよもやの不調で指名を逃したが、プロの扉がようやく開いた。
横山楓(セガサミー)は國學院大學出身の2年目で、180センチ・83キロの本格派右腕。最速は153キロを記録している。2次予選は3試合、4回3分の2で防御率は11.57と苦しい結果に終わった。しかし社会人2年間のパワーアップ、フォーム改造などの取り組みもありスカウトの評価は高く、オリックス・バファローズの6位指名を受けた。本大会での復調に期待したい。
オリックス7位指名の小木田敦也(TDK)
小木田敦也(TDK)はオリックスの7位指名を受けた。地元・秋田の角館高校から入社して5年目の右腕だ。174センチ・75キロと大型ではないが、最速153キロの速球を持ち、カットボールやカーブといった変化球も高質。加えて制球のレベルも高い。高卒2年目の第89回大会で七十七銀行から補強され、東京ドームで150キロの速球を披露してプロ入りを予感させた。
しかし、3年目は補強選手として声がかからなかった。また、第91回大会は予選突破の立役者となったものの、本戦はコンディションの問題から短いイニングの登板にとどまっている。右肩の状態が万全ならもっと早く、もっと上の順位で指名されていた選手だろう。
大島 和人
1976年神奈川県で出生。育ちは埼玉で現在は東京都町田市に居住。早稲田大学在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れた。卒業後は損害保険会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。現在はサッカーやバスケ、アマチュア野球など多彩なボールゲームの現場に足を運んでいる。Twitter(@augustoparty)
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