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野球 コラム 2021年9月11日

【中日好き】三ツ俣大樹、生き残る道

野球好きコラム by 森 貴俊
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取材に応じる三ツ俣

後半戦が始まったプロ野球。キャリアハイの数字を残す三ツ俣大樹にとっては勝負の夏だった。しかし、後半開始早々、東京ドームでアクシデント発生。打撃の際に左足首を故障し、翌日二軍降格となった。

ボールを打ちに行った際、ついた左足のスパイクの歯が土に引っかかった。強引に一塁に走り出した時、左足首を捻挫した。

「走り出した瞬間にヤバいって思いました。すぐに交代し病院に向かいました。その場で明日から2軍と言われましたね。自分でも、なにやってんだろ…って。僕は痛みには強い方だと思っていましたが、今回の故障はさすがに厳しい。無理にやってもチームに迷惑をかけるだろうなと思いました。痛みで守備ができなかったんで」。

患部は腫れた。故障が癒えるのを三ツ俣はもどかしく待つしかなかった。

「そりゃあ常に焦りはありますよ。今年ダメならクビと思ってやっていますから」。

今年の開幕前から三ツ俣は死にもの狂いでやってきた。この数年三ツ俣は年明けの自主トレを広島の菊池涼介と行っている。親身になってくれる菊池の言葉で三ツ俣は自分の生き残る道を決めた。

「菊池さんから、ドラゴンズはしっかり右打ちする。右に転がす。バントを決める。そんな右バッターは少ないでしょ。と言われました。確かにそうです。左打者は多いんですが、うちには小技をきっちり決める右打者は少ない。ここだと思いました」と話す。

きっかけは広島から打撃投手として戻った元中日、久本祐一さんの誘いだった。三ツ俣は思い切って菊池に電話をした。

「自主トレ参加させてください!」菊池からは二つ返事でOKが出た。

菊池の華麗な守備、そして意外性のある長打力。三ツ俣は菊池の“映えるプレー”に惹かれていた。しかし、時間を共にすると同時に現実を知った。菊池涼介の美しいプレーは、計算と経験と地道な努力によって支えられていたのだ。

三ツ俣は「菊池さんは、簡単に捕っているように見えて実はバッテリーの配球、グラウンドの状態、点差や打者の傾向。すごく考えて守備をしていたんです。練習を一緒にしていても、すごく細かいし地道にやります。能力だけではない、経験や努力はすごいものがあります」と話す。

故障個所はテーピングで固めている

そんな菊池の言葉で三ツ俣は吹っ切れた。チームプレーこそ自分の生き残る道。自分の武器である守備力に加えて、小技を徹底的に磨いた。そして掴んだ1軍でのプレー。だからこそ、悔やんでも悔やみきれない故障離脱だった。

「菊池さんからすぐに連絡がありました。何やってるんだ!って言われました。だけどやってしまったものはしょうがないんで。隠してチームに迷惑をかけたら信頼を失う。もう一度、一軍の舞台に戻れるようにやります。何とか今シーズン中に戻りたいです」と話した。

9月9日。故障後初のシート打撃。実戦形式の練習に復帰した。二軍本体に合流後、三ツ俣は再び一軍を目指す。

キャリアハイの数字以上に、今年の三ツ俣大樹のプレーからはがむしゃらを感じる。なりふり構っていられない。もっと言うとプロ野球選手として子供の頃誰もが描くキラキラした自分を捨てている。それこそが三ツ俣の決意だと思う。

チームに必要な選手になる。そのために自己犠牲を払い、泥にまみれる。そんな強い決意は今ドラゴンズに最も必要な事かもしれない。

文:森貴俊(東海ラジオ)

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森 貴俊

1976年愛知県出身。東海ラジオ放送スポーツアナウンサー。ドラゴンズ戦中心のガッツナイターをはじめJリーグ、マラソン等スポーツ実況を担当。原点回帰を胸に、再び強き竜の到来を熱望する43歳。日々体力の衰えを感じるがドラゴンズへの喜怒哀楽は衰え知らず。今年もマイクの前で本気で泣いて怒って笑います!

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