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野球 コラム 2021年9月7日

【中日好き】小笠原慎之介、憧れの存在へ

野球好きコラム by 森 貴俊
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インタビューに答える小笠原慎之介

「今年ダメなら、もうダメ」。大袈裟に聞こえるが、“マジ”な決意だった。

球団がどう考えるか、そんな事は知らない。小笠原慎之介は自分の中で退路を断った。「数年後にこれくらいできたらいいな」なんて甘い空想は捨てた。プロ野球最終年と思ってやる。それが小笠原の今年のスタートだった。

ここまで18試合に先発。6勝7敗 防御率3.23(9月7日現在) 勝ち星はキャリアハイの数字を残している。そして何より開幕から先発ローテを守っている。勝ち星はともかくローテに関しては強い口調で話す。

「ローテを守ってシーズンを終わる。そこは最低限です。その目標は超えたい。ローテを守っていくのは大事だと考えています」と話す。

先発ローテを守るのはタフな作業だ。当然、精神的な苦しさを伴うだろうと思ったが、小笠原の答えは意外だった。「今年、野球をやってて一番楽しいんです。だから辛くありませんね。僕は中学から野球が全然楽しくなかった。高校も楽しいと思って野球やってた記憶はほとんどないです。こんなに楽しいのは小学生以来です。だから全然辛くないですよ」。

強豪校のエースなりに背負ってきた物もある。楽しむ以上に重圧を抱えてきた野球生活。その野球を仕事にした今、初めて「楽しい」の感覚を思い出した。

1つには外国人の存在だ。ドミニカに行った時も野球文化の違いに驚いた。マウンドでは気迫あふれる表情を出すが、試合が終われば別人のようになる。チームに在籍している外国人からも声をかけられる。「なんでそんな苦しい顔をするんだ?終わった事はしょうがない。切り替えてやろうぜ」。

そんな言葉に小笠原は何度も救われた。さらに高校時代の恩師、東海大相模の門馬敬治監督の退任もある。

小笠原は「高校時代、毎日口酸っぱく言われた言葉。『一日一生』。一日を一生のように生きる。その瞬間に全力を出していく。そんな言葉も今わかる気がして…」。

甲子園優勝投手からドラフト1位ルーキー。注目と責任を背負い歩いてきたプロ人生。全て消化し、そして開き直った。

強い意思で臨んだ今シーズン

「故障しないためのフォームを考えて、うまくいかなくて…。そんな繰り返しで、もういいや。故障してもいい。思い切りやってダメならしょうがない。そう思えるようになったんです」。

小笠原は昨シーズンのスタートは「力感なくいかに強いストレートを投げるか」がテーマだった。「去年は上手くいかなかったんですが、今はやっててよかったと思えます。今年はバン!って感じが出てきた」。

「ストレートに強さが出ていると思います。指のはじきもいい。もちろん完成はしていませんし、まだ掴めていませんが、でも、去年取り組んだことは繋がってきています」と話す。

「実際にシーズンが始まってから真っすぐもよくなってきました。柳さんとキャッチボールしていても、『慎之介いいぞ!』って言ってもらえる。柳さんのキャッチボールは質が異常だから絶対に勝てませんが、その人に言ってもらえれば自信になりますね」と手応えを感じている。

普段の小笠原はあまり数字の目標を話さない。しかし、この日はめずらしく自分の近未来像を語った。「高校時代に、グラウンドに菅野さんが来たんです。監督さんへ挨拶にいらっしゃったと思うんですが。おお!すげー!菅野だって思いましたもんね。だから僕も後輩からそう思われたい。すげー!小笠原だ!って。そんな選手になりたいです」。

あの日、菅野智之に注いだキラキラしたまなざしは忘れていない。何より、小笠原慎之介自身、今そんな目で野球を楽しんでいる。数年後、野球少年たちがワクワクする、そんな投手に必ずなってくれるはずだ。

文:森貴俊(東海ラジオ)

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森 貴俊

1976年愛知県出身。東海ラジオ放送スポーツアナウンサー。ドラゴンズ戦中心のガッツナイターをはじめJリーグ、マラソン等スポーツ実況を担当。原点回帰を胸に、再び強き竜の到来を熱望する43歳。日々体力の衰えを感じるがドラゴンズへの喜怒哀楽は衰え知らず。今年もマイクの前で本気で泣いて怒って笑います!

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