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ただ、宗佑磨の強みは何も守備力だけではない。むしろ、彼のプレーヤーとしてのキャラクターは、極めてオフェンシブだということである。2番という打順に身を置いて、出塁率の高いリードオフマンと、勝負強いクリーンアップを繋ぐ重要な役割を粛々とこなしてる。「僕の前に周平さん、後ろに正尚さん、ラオウさんですから、その間で何ができるかです。攻撃的な2番打者とも呼ばれますが、僕はバントが得意じゃないので・・・(苦笑)。とにかく打線の流れを切らないという部分を意識していますね」だからと言って、彼は決して脇役ではない。なぜなら、サヨナラ打を含む決勝タイムリーなど、重要な局面での勝負強さで、時にチームの主役に躍り出ることだって少なくないからだ。
今季、宗佑磨は7年目のシーズンを快走している。これまでの決して順風満帆とは言えなかったプロ生活の中で、彼はひとつの結論にたどり着く。「年齢的にはまだまだ若いのでしょうが、チームの中の立ち位置を考えれば、もはや“若手”ではありません。今後、入団してくる選手の多くは年下になるだろうし、実際、僕と同年齢やそれよりも若い選手がこの世界を去って行くのを見てきました。プロで生きてゆくためには、自分がどうあるべきかということを真剣に考えるようになりました」そう、この野球界の中で生き残るための覚悟を決めたのだ。
かつては自由奔放な面ばかりが目立っていた若者が、今や自らの“定位置”を確保し、チームの顔のひとつになりつつあるのは頼もしい限り。短く刈り上げた髪からも、彼の覚悟が伝わってくる。「これまでにない充実感の中でシーズンを過ごせているのは確かです。ここからが本当の勝負だということも理解しています。ただ、今まで自分が練習などでやってきた事以上の事はできないという割り切りもありますね。だからこそ、納得がいくまでやらないといけないのだと思います」
2014年のドラフト2位。与えられた背番号は「6」。彼に寄せられた期待の大きさがうかがえる。だが、これまでは故障や不調など意のままにならない時間の中に身を置いてきた。逆境からはい上がってきた強さは伊達じゃない。2番サード、宗佑磨。
覚悟を決め、ただ前を向く姿に、もう迷いはない。
取材・文:大前一樹
大前 一樹
1961年兵庫県生まれ。関西学院大学文学部卒業。 放送局アナウンサーを経て独立。今は、フリーアナウンサー、ライターとして活動中。 有限会社オールコレクト代表取締役、アナウンサー講座「関西メディアアカデミー代表」。 「J SPORTS STADIUM2022」オリックス・バファローズ主催試合の実況を担当。
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