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◆野手のMVPは桑原将志
続いて野手のMVP。こちらはチーム打率がリーグトップタイというだけあって、候補は五指に余るほどいる。エスコバーと同様に、来日が遅れながら7月の月間MVPに輝くなど、打率.314、19本塁打のオースティン。
開幕直後の低迷期に、唯一の希望とも言える活躍を見せたルーキーの牧修悟。今季も首位打者争いをリードする佐野恵太、6月末に国内FA権を取得し、今季も打率3割キープと安定した実力を発揮している宮崎敏郎と多彩な顔ぶれが揃う中、MVPに挙げたいのが打率.318をマークするなど、今季完全復活を遂げた桑原将志だ。
昨季は一軍定着後、自己ワーストの34試合出場とどん底を味わったが、今季は開幕から1番打者に定着し、攻守で溌剌としたプレーを見せている。マルチ安打が28試合、3安打以上の猛打賞が10回と固め打ちが多いのが特長で、得点圏打率は.310と勝負強さも抜群だ。5月には17試合連続出塁を記録するなどコンスタントに活躍を続け、6月は月間打率.372、4本塁打、12打点と絶好調でチームの月間勝ち越しの原動力となった。
印象深いのが4月6日の中日戦で、相手先発の沢村賞左腕・大野雄大から先制タイムリーを含む、3打席連続安打を放ち、その後も四球、犠打で勝利に貢献し、チームの鬼門となっていたバンテリンドームでの連敗を11で止めた。
桑原は5月の巨人戦で内野フライを打ち上げた際に全力疾走を怠ったり、同月のオリックス戦では自慢の守備でも平凡なフライを落球するなど、“ヤラカシタ”ことも多い選手だが、ダイビングキャッチなどチームの士気を上げるプレーも多く、ある意味“ベイスターズらしい”選手と言える。そんな桑原を、アメとムチをうまく使い分けながら、見事に再生させた三浦大輔監督も見逃せないところだ。
前半戦最下位に終わったベイスターズだが、悪夢としか言いようがない3・4月の6勝21敗4分から、5月は9勝10敗3分、6月は12勝8敗2分、7月も4勝5敗2分となんとか踏ん張り、外国人が合流してメンバーが揃った5月以降は25勝23敗7分と勝率5割を超えている。
不幸中の幸いというべきか、チームから五輪出場選手が少ないことで消耗も少ない。9月になれば横浜スタジアムに戻り、状況によっては多くの歓声の中で試合をすることもできるかもしれない。残りは57試合、「いいとこどり」だけでなく、ベイスターズはまだまだ楽しめそうだ。
◆先週のベイスターズ
・試合はありませんでした
文:大久保泰伸
大久保泰伸
フリーライター、編集者。1969年広島市生まれ、現在は神奈川県在住。出版社勤務を経て、20世紀の終わり頃に独立。別冊宝島野球シリーズの執筆、編集や広島などのOBの著書の編集協力などを行い、同社のプロ野球選手名鑑は創刊時から現在まで関わる。記者活動は2009年にベースボール・タイムズ紙の広島担当でスタートし、15年から野球専門サイトのフルカウントで広島、18年からはDeNA担当も兼務した。
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