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練習後取材に応じる阿部
7月6日、蒸し暑いナゴヤ球場の2軍練習。左右にアメリカンノックを受ける選手の中に阿部寿樹の姿があった。若い野手達と時折笑顔を交えて汗を流していた。
6月28日。阿部寿樹、1軍登録抹消。我慢を続け復調を待ったが、1軍首脳陣は2軍降格を判断した。
取材制限の中、久しぶりの会話。私自身も聞きたいことは山積みだったが、真っ先に聞きたかったのは今の気持ちだった。
阿部は「2軍を言われた時は、まあしょうがないなって思いました。ショックでしたが、落とされても仕方ない成績だったんで。これだけ結果が出ていない中、よく我慢してもらえたと思います。しっかり受けとめています。ポジティブにはなれませんが、腐ってもしょうがないんで」。
今シーズン阿部の持ち味の打撃は影を潜め続けている。降格時の打率は.206 13打席安打がなく降格が告げられた。そもそも阿部寿樹に何が起きていたのか。
「キャンプからしっくり来ていなかったです。そもそも強く振れない。振れる形にならない。素振りではできても打席に立つとできない。正直、ごまかしごまかしでやってきました。ヒットが出ても、なんでヒットになっているのかよくわからない」。
「ホームランもほとんどが衝突で入った感じで。偶然ホームランになったなとしか思えなかった。よくなるかなって時期も長く続かない。自分がどうなっているのか、自分でもわからない、そんな日々でした」と振り返る。
開幕から悩み続けた。コンディションだけは維持しようと思い、無理にでも食事を喉に通した。しかし、体重は激減していく一方だった。2軍降格から1週間。今この時間をどう使うか。阿部はしっかり自己分析し切り替えていた。
「もともと右に狙って打つタイプじゃない。僕の基本は強く振る。ボールを長く見て、詰まりながら右へ飛ばすタイプ。それが今年はバットの先にあたって内野ゴロとか、何かがズレているんでしょうが、それが何かは今でもはっきりわからない」。
アメリカンノックを受け引き上げる阿部
「1軍にいた時はグリップの位置とかヘッドの角度とか、細かい事ばっかり気にしていて。結局、それもよくなってもすぐにダメになる。もっと根っこの部分じゃないかと思うんです。今は根本を見つめています」と話した。
では、その根っことは何なのか。
「まず、しっかり立つ。打席の中でしっかり立つ事です。ボールを長く見る形を作る。そしてバットを強く振る形を作る事からやっています。細かい事ばかりやっても同じ連鎖を繰り返すだけなんで」。
阿部は今、2軍での日々を新鮮に感じている。この数年感じる事のなかった刺激を若い選手からもらっている。
「いや~、2軍の選手はバッティングいいですよ。みんないい振りしますね。僕なんかより、みんな強く振っていますね。僕からバッティングを聞きにいったりしてますよ。参考になりますね。仁村監督からも、打席で色々試していいぞ、結果は考えなくていいからと言われています。本当にありがたいです」。
「打てなくて2軍に落ちているわけですから、打てるようにしないといけません。相手も攻め方を変えてきたりして、そんな中で僕のメンタル、技術が足りていないんで、もう一度原点に帰って土台から作ります」。
交流戦後、与田監督はこの先のキーマンに高橋周平と阿部寿樹を挙げた。低調打線を蘇らすのは、やはりレギュラー陣の奮起が一番だ。責任を感じ、焦る気持ちを抑え、阿部寿樹はこの夏、ナゴヤ球場で強固な土台を作り直す。
文/写真:森貴俊(東海ラジオ)
森 貴俊
1976年愛知県出身。東海ラジオ放送スポーツアナウンサー。ドラゴンズ戦中心のガッツナイターをはじめJリーグ、マラソン等スポーツ実況を担当。原点回帰を胸に、再び強き竜の到来を熱望する43歳。日々体力の衰えを感じるがドラゴンズへの喜怒哀楽は衰え知らず。今年もマイクの前で本気で泣いて怒って笑います!
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